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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

n回目覚め

作者: R.nova

その夢は、突然にして始まった。




家庭科の授業だというのに、実技テストという名目で、折り紙工作をしたり、立体的に文字を書いていたりと、なんだか美術みたいなことをしていた。


屋根のない、青空教室の下で。


試験中なのに、隣と喋るのも当たり前。



しかし自分も皆んなも違和感など少しも感じなかった。



すると、その時だった。急に眠りから覚めるような感覚に陥り、すっきりした気分になった。


目を開けてみると、教室でクラスのみんなが目覚めて先生の前で話を聞いていたのである。


そう。さっきまでが夢だったのである。


確かに川辺で、青空教室のように授業していたり、テスト中にやたらと自分から喋ったりするなどおかしいことであった…が、問題はここからなのである。


ほぼ同時に目覚めたクラスのみんなは、同じ夢を見ていたのである。


先生がにこやかとしながら、青空ではなく校舎の中にある、僕達の教室を後にした。

授業のチャイムがなったのをきっかけに、皆は一斉に喋り始めた。


「ねぇ、おんなじ夢見なかった?家庭科のテスト受けてたっていう」と、僕が友達に話しかけたら、「ね、そうだよね、俺も同じ夢みた。」や、「ちょっとサボってはいたけど、確かにテストは受けたよ。」などといった返事が返ってきた。

このようなことがあるのだろうか。寝ながら文字を書いていた友達は、自分が起きたときにその書いていた文字をひしひしと見て、こう述べていた。


神の仕業か天命か…。


友達と話している間に、色々考えすぎて疲れてきたので、また寝てしまった。




すると、また皆が同じ教室で、同じ時間に起きていた。二回目であるため、クラスのみんなは動揺を隠せずにいた。


「え、また皆一緒の夢見たの?」「これはきっと、神隠しにちがいねぇぜww」などと、皆の話題は夢の話で持ちきり。

「ねぇみんな、こんなの絶対おかしいよ。ずっと同じ夢見続けるなんて。」

「どうせこれも夢だろ?夢ならば、好きなことしようぜ。」

そうしようとしても、いきなり好きなことしろと言われても、思い浮かばない。

「とりまもう一度寝てみたら治るんじゃね?」

らちが明かないため、もう一回みんなで寝てみた。




…また同じ風景のままだ。

みんなも起きるや否や、青ざめた顔になっていた。

このままだと、永遠にこの夢に閉じ込められたままになってしまう。


と、その時である。



皆が心配を感じたからか、皆の目の前に、恐怖が膨れ上がっておどろおどろしい姿をした幽霊が現れ始めた。




その幽霊が現れるや否や、いきなり我々に襲いかかってきた。




幽霊はとぐろのように捕まえた者の体に巻き付け、急激に締め付けて苦しませる。

「ぐぇえ…!だ、だれか、助け…」

分裂していく幽霊に、皆逃げ惑うのが精一杯で、捕まったクラスメートを助ける余裕なんてなかったのだ。


僕は逃げて逃げて逃げまくり、校庭の片隅でうずくまった。

震えが止まらない。

動いたら見つかり、殺されてしまう。



と、その時、肩に冷たい感覚がした。


反射的に振り向くと、




そこには幽霊がいた。




僕は、泡を吹いて気絶した。






…すると、また目が覚めた。教室のみんなの顔色が真っ黒であった。


不幸なことに、前の夢で受けた苦しみや痛みは、すべて覚えているのである。


血相を変えた1人の女子が、こう叫んだ。

「もう、こんな夢を見続けるなんて…!うんざりっ…!!」

皆が止める心の余裕もなく、少女は首を吊って死んだ。



少女の死体が振り子のように動く中、僕はどす黒い雰囲気で寒気を感じた。


突然、皆が血走った目を開いた。


驚くのもつかの間、皆がナイフやカッターなど、あらゆる刃物を持っていた。


そして、嘘のように皆が一瞬のズレもなく言った。



「皆殺しにするしかない!!」



そういってみんなは、いっせいに殺し合いを始めた。

皆が繰り返し夢を見て、その悩みや不安が蓄積して新たな苦しみを生み出すのだから、いっそのこと自分以外の皆を殺して苦しみを無くしてしまおうと、クラスの皆がそう考えたのである。


地獄絵図の始まりだ。


僕は目をつぶって耳を押さえ、叫んだ。

「ゆ、夢なら覚めてくれぇええええ!!!」






すると、目を開けたときの風景が、自分の部屋だった。


強く押しつけていた耳がヒリヒリするのを感じる。


い、今までのは本当に夢だったんだ…


少年はひと安心して、朝食を食べにダイニングへ向かった。

母が嬉しそうな顔でダイニングテーブルへやってきた。家庭科の先生と嬉しそうな雰囲気が似ているなぁ〜と思っていると、母はこういった。




「今日は豚の丸焼きよ」




え!?しかもスプーンで食べろと?


「たーんと食べてね〜」そう言いながら、母の腕が変化してタコのような触手になった。


腰を抜かし、慌ててテレビをつけてみると、「今日は太陽と月の連携協定です」


太陽と月が笑顔で生えた腕を組んで仲良くしている。






…僕は拳銃を創り出し、自分のこめかみに撃ち込んだ。













…再び目が覚めることは、決して無かった。


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