第十一話 婚約者の悩み3
デートとは、交際中又は互いに恋愛的な展開を期待していて、日時や場所を決めて会うこと。
その内容は、遊園地や動物園などのレジャーや、町を歩きながら気になるお店に入ってみるなどウィンドーショッピングを楽しみながら、お互いの理解を深めていくことである。
なぜ私がデートについて認識を改めているかというと、マリアシスとデートに来ては見たものの町には見る所が全くなかったのだ。
だが、廃れているとかそう言う意味ではない。
この世界の町というものを理解していなかったのだ。
町のおじさんに聞いた話だと市場などがあるそうだが、それは午前中のみで昼前には大体閉まってしまうのだとか。
ここに着いたのは昼過ぎで、私達がデートを始めた時のはもう遅かったのだ。
これはよくよく考えると仕方ない事である。
前世の家電の代わりにこの世界では魔道具というものがあるが、その値段は一般庶民ではなかなか手が出せないものなのだ。
その為、市場などそもそも露店をするような店では持ってるはずもなく、鮮度が落ちてくると店を閉めてしまうのだ。
店も前世のような大きなガラスケースの冷蔵庫など無く、食べ物をたくさん入れて置けるほどの冷蔵庫を持つ店はその殆どが貴族に卸すような高級店だ。
そんなわけで食べ物のお店は全滅。
宝石店は子供だけで入るのは断られるし、雑貨屋は田舎の店みたいに色々あるが、生活必需品ばかりで子供が見て楽しいものは無かった。
「ど、どうしようか?」
「私はこのままでも」
行き場のない私達は広場のベンチで途方に暮れていた。
マリアシスはデートという事もあり、かなりおめかししてきてくれている。
初めて会った日以外は動きやすいズボンとシャツだけで過ごしているのに、今日は動きやすそうではあるが綺麗な白色のワンピースを着て来てくれている。
彼女自身楽しみにしていたのかもしれないし、公爵に言われてかもしれないが。
このままいくと公爵にはあまりよろしくない報告が行くはず。
それに、たまに視線を感じる。
近くに護衛がいるはずだ。
そこからも。
とりあえず、話を。
「そういえば、マリアシスさんは剣も上手ですね」
「剣だけ、の間違いですよ」
そう言うと、マリアシスの言葉に影が出始める。
何か地雷を踏みぬいてしまったか。
「そうですか? いつも努力されていて、すごいなあ、て思ってますよ」
「でも、結果が」
そんなこと気にしなくていいのに。
子供は好きなことを、精一杯楽しめばいい。
なぜそんな結果ばかりに固執するのだろうか。
「そんな、結果ばかり気にしていたらつまらないでしょ?」
「母様が、結果が伴わない努力は無駄だと」
母親の方だったか。
よく考えればあの公爵が愛娘にそんなこと言うはずないか。
「努力はいつかは叶うよ」
「カルマイン公爵家なのにまだ魔法のスキルが無いの。魔術もアルベルトさんより下手で」
私も追い詰めていた要因か。
それに、スキルの話となると努力以外の運の話になるしな。
「れ、レベルは?」
「2です」
私と同じか。
でも、天職によるところもあるし。
「天職を聞いても?」
「魔法剣士です」
「なら、時間の問題だと思うよ。学校でレベル上げをすれば、すぐに手に入るよ」
「そうでしょうか?」
「それに母様の話だと、魔力は年を取ると上がりずらくなるから、魔術を使って研鑽を積むマリアシスさんはスゴイと思いますよ」
「うん」
あまりピンと来てないな。
何をそんなに不安に思うのだろう?
「やっぱり、魔法家系の公爵家で魔法を使えないのは、欠点になるかと」
「仮に欠点だとして、何が問題なの?」
彼女は公爵家の令嬢だ。
公爵家の男子ならまだしも女性であれば軍役もなければ、戦闘に出ることもほとんどないだろう。
自衛で少し必要になるくらいか。
「結婚とか」
「なら、問題ないだろ」
「え」
「だって、私がいるのだから」
マリアシスに心から慕う人ができれば話は変わってくるが、現段階では私が結婚することになっている。
小さな少女がまだずっと先の話になる結婚の事で、子供という大事な時間を勉強や訓練だけで埋まってしまうのがもったいない。
私で少しでも不安が無くなるなら、それがいい。
「でも、アルベルトさんは魅力的な女の子の方がいいでしょ?」
「魅力ですか。少なくとも魔法の有無で魅力が変わるとは思いませんよ」
「そうなの、ですか?」
「そうですね。いつも、笑顔でいる女の子の方が好きですね」
よくよく思い返してみるとマリアシスの心から笑った顔を見たことが無かった。
どこか無理やり笑顔を作っているような。
「どうすれば」
彼女は笑顔が苦手なんだな。
「とりあえず、どこか行ってみたいところはありますか?」
「え、あ! でも」
「なんでも、いいのですよ」
「なら、武器屋に」
遅くなりました。
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