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第十話 貴族の婚約とは3

このファウセント王国は魔王を討伐した賢者が興した。

元々魔王に滅ぼされた国のいくつかをまとめて作ったのが起源とされているが、その為か色々な人種がこの国に住んでいる。

その為、貴族の中にも人間族以外の種族がいるのだ。

だが、貴族に求められる素養がある。

それが魔法の素質だ。

軍部や新興貴族ではスキルによる戦闘技術があればとされているが、魔法部や古参貴族、王族は魔法の素質を重んじる。

それは初代国王が賢者だったから、ではない。

ではなぜかと言うと魔法部や古参貴族、王族たちは初代国王から賜わった魔道具があるからだ。

そのどれもが一般的な魔道具とは比べ物にならないほどの有用性があると言われている。

だが、魔道具は共通して使用者の魔力が必要になるのだが、初代国王の魔道具は多量の魔力が必要なのだ。

つまり、古参貴族や王族は高い魔力を持つ人間が必要になる。


だから、公爵家に入る事を進められた理由は私が賢者の天職を持ち、将来的に高い魔力量を保有する見込みがあるからだと思っていた。


「気に入った、ですか?」


「そうだよ」


そんな理由でいいのか?

言っては何だが、マナーだって独学だし、勉強も【完全記憶】や【並列思考】のスキルがあるが、グリフォンス家に来てから本で学んだ内容しか入ってない。

速い話が将来性しかないのにどうして私を選べたのだろうか。


「納得してない?」


言葉に出してはいないが、顔に出てしまったようだ。

でも、分からないままでは話が進められない。


「出来れば理由をお聞きしてもいいでしょうか?」


「そりゃ、家族を大事にする。私はその一点が気に入ったよ」


「え?」


家族を大事にする。

そんなの当り前じゃないか。


「家族を大事にするなんて当たり前だと思っているでしょ」


心を読まれた。


「君の表情は分かりやすいね」


顔だったか。


「この世で一番かわいいマーシャのお婿さんだよ。まず第一に家族を大事にするような男じゃないと絶対にダメだよ。じゃないと幸せになれないじゃないか」


公爵の婿に求める条件は幸せな家庭を気づけることか。

確かに重要だろう。

お金を持っていても、二枚目でも、家庭を顧みない男は早々に離婚していたしな。

また、貴族ともなると世間体やプライドからどんなに仲が悪くても本人同士の意志とは関係なく周りから離婚をさせてもらえないことがある。

そうなると、結婚生活は最悪だからな。


「もちろん他にもあるよ。公爵になるための将来性があって、努力ができる子だからかな」


「は、はい」


「でも、マザコンはダメだよ」


まざこん。

マザコン?

確か重度のお母さん大好きって奴だよな。

私はそんな風に見えているのか?

見える、かもしれない。

振り返る。


「私ってマザコン?」


「一般的には」


パンディナもそう言うならそうなのかもしれない。

自重しよう。


「気を付けます」


「そうしなさい」


でも、婚約は嫌だな。

マリアシスはかわいいし、彼女と婚約が嫌という訳ではない。

公爵家に入る事が気が重いとか、色々状況が変わりすぎて目が回りそうとかいろいろ理由はあるが一番は、前世の妻の事を忘れられないからだ。

なんとか断れないものだろうか。


「まだ、子供ですし、もう少し様子を見てもいいのでは?」


「祝儀が終わってすぐ婚約なんて貴族では普通だよ」


「それに、まだ私には彼女の人生を背負えるほどの覚悟がありません」


「うちのかわいいマーシャちゃんだよ。見た瞬間に結婚したくなるだろ? 覚悟なんてすぐ決まる物だろ?」


この人、娘好きすぎだろ。


「それとも、マーシャの事が嫌なのかい?」


そういう公爵の目が笑っていない、怖い。

下手なことを言うと殺される。


「カルマイン公爵!」


「おっと、すまないね」


母様の一声で公爵は一歩引くが、声音が低いままだ。

どうすれば。

そうだ。


「カルマイン嬢はどのように思っていますか?」


「私、ですか?」


親に決められた結婚なんて嫌に決まっている。

どうだ!


「えっと、よく分からないです」


そうですよね。

まだ子供ですものね。









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