第十話 貴族の婚約とは2
「久しぶりだね、アルベルトくん」
客室に入るとそこにいたのは母様とサーディ・カルマイン公爵だった。
公爵の隣を見ると知らない女の子もいる。
どのような要件なのだろうか?
「お久しぶりです。カルマイン公爵様」
「少し見ないうちに随分と大人びたね。話し方一つとっても、ね」
「私などまだまだ若輩者です」
「聞いたよ良い天職を貰ったってね」
「神様には過分な祝福を頂きました。身に余る光栄に身を引き締める思いです」
「そうだね。あんな天職を貰ったのだから」
いつかは来ると思っていた。
公爵は私の魔法の素質を買っていたし、母様とも面識があるようだしな。
そういえば、この人は魔法学校に入るように言ってたな。
「魔法学校の入学についてでしょうか?」
「覚えていてくれてたんだね。嬉しいよ」
考えられるとしたらそこら辺だからな。
だとすると、今日来た理由は入学試験日程の知らせと魔法の素質があるかの確認といった所か。
「私は回復魔法が使えます」
「ほう、見せてもらっても」
「はい」
私はいつもの要領で手に右色の光を発生させる。
公爵が右手を差し出すのでそれに光を当てると公爵は頷いて「おめでとう」と褒めてくれたのだった。
だが、私の後ろを見ると一瞬目が鋭くなる。
「そこの娘は?」
あ、そういえばパンディナがいたのを忘れてた。
母様は小さなため息を吐く。
そこまでパンディナを連れてきたのがダメだっただろうか。
「従姉妹のパンディナです。一緒に本を読んでいたのですが、ついてきたいと」
「どういう関係かな?」
あれ? 聞こえてなかったのかな。
「い、従姉妹ですが」
「それだけ?」
「はい」
公爵は母様に似たため息を吐くと乾いたような笑いを漏らした。
なんとも言えない反応に私自身どう返せばいいのか分からなくなる。
「君の息子は随分と鈍いのだね」
「聡い子だと思っていたのに、ちゃんと教えてあげればよかった」
何か呆れられてしまったようだ。
後ろを振り返るが、パンディナも戸惑っているようで私の服をつまみながら後ろに隠れていた。
パンディナが理由ではない、か?
「まあ、君にその気がないならいい。マーシャ、挨拶を」
「はじめまして、マリアシス・カルマインです」
ああ、そういえば娘がいるとか言っていたな。
「あ」
「思い出してくれたかい?」
そうだ。
初めてあった日に婚約とか養子の話を。
「婚約ですか」
「覚えていてくれて助かるよ」
ここで婚約話。
これをどう見るべきだろうか。
「戦力増強が理由ですか?」
「それは、ああ。あの事を知っているのだね。言っておくとその件じゃないし、この場でその話はよろしくないよ」
「すみません」
確かにこの場で話すことではなかった。
あの祖父ですら周りに気にして結界を張っていたのに、配慮が足らなかった。
母様は話が見えないせいか訝しむ表情を、マリアシスは首を傾げているし、パンディナは意味が分からないのか目をぱちくりしている。
「いや、パンディナも一緒に話を聞いたじゃないか」
「いつの話? たぶん、聞いてなかった」
この子は本当に興味がない事には、無関心を貫くな。
「アルベルトくんはこの婚約の意味が知りたいんだね」
「はい」
貴族の婚約とはただ結婚を約束するものではない。
母様の結婚もそうだが、家同士のつながりを強くする為や尊い血を次の世代に残していく意味合いもある。
家同士という意味では私自身がグリフォンス家の新参者ではあるために他家に出て行ってもグリフォンス家に不利益はない。
しかも、カルマイン公爵家との繋がりができる。
グリフォンス家としては大きな利益になるだろう。
だが、カルマイン公爵家側には利益があるように思えない。
「それはね」
それは?
「君を気に入ったからさ」
いつもいいねありがとうございます。
今日はもう一話書きたいと思います。
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