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第十話 貴族の婚約とは1

グリフォンス家を名乗れるようになってから数日がたった。

午前中は変わらず母様の訓練を受け、魔力、体力が尽きる午後から本を読んで過ごしていた。

祖父は二日一回食堂で召し上がるが、それ以外は意外と忙しいらしく家にすらいないことの方が多かった。

祖父がいない時は母様達と席を並べることができた。


ただ、困っていることが一つあった。


「アルくん。動いちゃダメ」


「あ、すみません」


現在図書室のソフォーに座って本を読んでいるのだが、なぜかパンディナが私の膝を枕に本を読んでいた。

パンディナに懐かれたのか最近はよく私の側にいる。

母様の訓練の時は(バレバレであるが)木の陰に隠れて訓練が終わるまで待っていて、母様がいなくなるとそばに寄ってくる。

そして、今のように本を読んでいると寄りかかってきたり、膝を枕にしてくるようになったのだった。

祖父がいない食事の時はベゼンタと一緒に食べるのかと思ったが、一人でいつもの席で食べている。

一様母様に私と関わるなと言われたことを気にしてはいるようだが、守るつもりはないようだ。


「ねえ、その本面白い?」


「面白いですよ」


今日何度目かの質問。

パンディナはそんなに集中力が続く子ではないようだ。

それ以前に本を読むのもあまり好きではないらしい。

しかし、この家には本以外に打ち込めるようなものが無かったのだ。


アマリリさんに聞いた話だと、この家での女性は勉強やマナーができていれば習い事などはやらなくてもいいらしいのだ。

それでも最初はパンディナもピアノやダンスも習ってはいたようだが続かなかったとの事だ。

本来貴族家の令嬢ともなると色々な習い事を強要されるらしいが、これも祖父の方針らしく自分が好きなことをしているのだから他人に強要するのは良くないとの事だ。

確かに食事中まで本を読んでいるのはどうかと思う。

因みに祖父が呼んでいるのはいつも魔導書や魔術研究の論文だ。

母様やアマリリさんの話だと何か成し遂げたいことがあるのだとか。


「そういえば王立学校の入学っていつ?」


「うっ」


本を閉じて、視線を逸らし、あからさまに不機嫌になる。

聞いてはいけない事だっただろうか。

でも、前世では子供の入学と言えばそれは色々と大変だった。

制服や教科書、鞄など必需品をそろえたり、色々と書類を用意したり、入学式に着て行く自身の服を用意したりとやることは多かった。

孫に至っては私立の学校だったせいか入学前に入学式までに課せられた宿題もあった。

王立学校には無いのだろうか?


「だ、大丈夫。パパがやってくれてる」


「そ、そうか」


ベゼンタさんはパンディナのわがままをよく聞いているように思える。

だが、それが甘やかしなのか、それとも無関心なのかまでは分からない。

会えば普通に会話をしているし、パンディナが頼りにしているようではあるが、二人の間に親子とは思えないほど距離があるようにも感じる。


まあ、他の家族の事に首を突っ込むつもりはないがな。


でも、今の状況をあまり悪く感じていない。

前世では強面のせいで初めて会った子供はおろか、大人までも怖がっていた。

それに、初めてできた同世代の友達だ。

前の子供時代は体が弱くて友達と遊べなかったので、幼馴染な友達は夢だった。

欲をいえば、外で遊びたいのだがパンディナは体を動かすこと自体嫌いなように見える。

仕方がないので、そういった友達は学校で作ろうと思っている。


「アルベルト様」


本を読みながら色々考え事をしているとマーマンが血相を変えて入ってきた。

扉を強く開いたり、大声で読んだりをしない辺りさすができるメイドとは思うが、その表情を見るとなにかひっ迫している状況らしい。

だが、マーマンはパンディナを見ると直ぐに顔に無の仮面をかぶる。


「お客様です」


「分かった直ぐに行こう」


「え」


パンディナは声を漏らすと更に不機嫌そうになる。

しかし、行かないという選択肢が私には無い。


「すぐに戻ってくるから」


「いや」


懐いてくれるのは嬉しいが、束縛は普通に面倒臭い。

どうしたものかと考えていると「私も行く」と、言いだしてしまう。


「えっと」


マーマンを見るが判断しかねるといった顔だった。

そうだ。


「たぶん母様もいるよ」


これで、断るはず。


「行く!」


あ、あれ?



夜遅くの更新ですみません。

それではまた。

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