第九話 グリフォンス家の晩餐1
母様の特訓からシャワーを浴びて夕食が来るのを待とうとした時だった。
一人のメイドが部屋の中で待っていた。
この屋敷に来た初日以外、マーマンたちが私たちの世話をしてくれていた。
つまりは、何かしてくれるために来たのではなく、他の誰かい用事を言い渡されてきたという事だ。
「どうしましたか?」
「ご当主様から今日の晩餐から食堂に来るようにと、お言葉を預かりました」
怪我を理由にレベル上げの日から部屋で食べていたが、治ったなら一緒に食べようというお誘いなのだろうか。
でも、あの祖父からだと考えると、そんな甘い話ではないような気が。
そもそも、私に拒否権など無いので従うしかないのだがな。
それに、今日の訓練を隠していたわけではないので、私の訓練を何人もの使用人たちが見ていた。
その人達からこの家の人たちに話が行くことは覚悟していた。
「分かりました。すぐに用意します」
部屋にいたマーマンの下で働くメイドに視線を送ると衣装室に入っていった。
いつものラフな格好では失礼に値する可能性もあるしな。
彼女が服を見繕っているうちに髪を乾かすか。
「お手伝いしましょうか?」
「はい?」
タオルで体を拭いていると祖父から来たメイドがそう言うのだった。
だが、普段から裸を見られたり触られたりするのが嫌いなのだ。
今回も風呂場で体を乾かし、ガウンを着てから出てきた。
それも、一般家庭の日本人の記憶があるからだ。
昔見た洋物の映画では何人もの女を侍らせ身体を拭かせる場面もあったが、羨ましく思わなくもないがとても自分がマネできる芸当ではなかった。
そんな事をさせれば愉悦以上に恥辱の方が勝ってしまうからだ。
「そういうのは一人でやりたいんだ」
「でも、私がお手伝いした方が早く終わります」
いつものマーマン達ならすぐに引き下がるのに、ここのメイドは随分と食い下がるな。
そういう時は。
「自分、思春期なので」
「え、は、はあ」
つまりは、お年頃だから気を遣え作戦だ。
「シシュンキとは?」
概念が無かった。
「あなたにはまだ信頼に値しません。お願いするにしても、ミーティカに頼みま「本当ですか!?」
晩餐に着ていく服を選び終えたミーティカがちょうど出てきたところだった。
マーマンの下で働くメイドの中で一番若い娘だ。
それでも、私が前の家で記憶を取り戻す前から働いてくれている。
十分に信頼している。
「五歳になる少し前から嫌がられて、マーマン様からも年頃だからと意思を尊重するように言われましたが。久しぶりに髪を乾かさせていただけるのですか!?」
だが、少々、いやかなり私を好きすぎる。
少し困ってしまうほどに。
「この人に頼むならって話です。髪を整えるのはお願いするので、それで納得してください」
「はい」
「あなたも、もう戻っていただいてもいいですか」
「かしこまりました」
すぐに彼女は出て行く。
だが、少し違和感が残っていた。
私が浴室が出てきた時に他のメイドがいたことはこれが初めてではない。
マーマン付きのメイドだけではこの屋敷で私たちを世話するのに人数が少なすぎるからだ。
そこで洗濯物の運搬や細かいところで手伝ってもらっているのだ。
なのにそう伺われたのは今日が初めてだ。
私の考え過ぎだろうか?
「では着替えましょう! アルベルト様!」
彼女の選んだごてごてな衣装にため息をついたのだった。
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