第七話 渇望する強さと守る強さ5
どれほどの時間戦っているのだろう。
どれだけのモンスターを倒したのだろう。
後、どれだけ戦わなくてはいけないのだろう。
分からない。
目がかすむ。
痛みが鈍くなっていく。
身体は言う事を聞かない。
助けて。
剣が重い。
身体が重い。
なのに、命はなんて軽いんだ。
狼のモンスターが私を囲み、いつ襲い掛かって来るか分からない。
でも、その時はすぐ来る。
あいつらは頭がいいから私がもう力尽きるのを知っている。
その時を待っている。
まだ、大型のモンスターは倒せないのか。
狼のモンスターの一匹が私に襲い掛かってくる。
気力で剣を振り跳ね返す。
だが、それと同時に私も倒れてしまった。
「!」
倒れた瞬間大きな狼のモンスターが倒れているのが見えた。
これで騎士が助けてくれる。
そう、思った。
でも、騎士はいなかった。
パンディナ達が乗った馬車もない。
もしかして。
「置いてかれた」
狼のモンスター以外にも鳥や人型に近いが手足が細いモンスターもいる。
もう逃げられないだろう。
「ごめんなさい」
母様。
我先にとモンスター達が襲ってくる。
せめて痛いのは嫌だな。
死を覚悟したのだった。
ドゴオオオオオオぉぉぉ!
何かが砕ける音と衝撃が私を襲う。
舞い散る土煙が視界を遮り、何が起きたか分からない。
だが、その先から何かがぶつかり合う鈍い音が何度も聞こえてくる。
そして、次第に視界が開けていく。
「かあさま」
目の前にいたのは今一番会いたかった、母様だった。
窪んだ大地の真ん中にいる母様が身にまとっているドレスはボロボロで、所々が引き裂かれていた。
しかも、多くのモンスターが健在だ。
このままでは母様も死んでしまう。
「そういえば回復魔法が」
スキルがあれば後は体が知っている。
回復魔法をかけて痛みが引き、薄れていた意識が明瞭になっていく。
「これで、母様を守れる」
そう思ったが、状況がおかしかった。
まず、先ほどまで襲い掛かってきたモンスターの大半が小刻みに震え、動けなくなっていた。
次に母様のドレスは見るも無残な形になっていたが、一切血は付いていなかった。
そして、モンスターは血を流さない。
「ふん!」
モンスター達の中へ入ると大きな狼の尻尾を鷲摑み、棍棒をふるうように他のモンスター達に振り落としていく。
逃げ惑うモンスターに何度か振り回すが狼の身体は耐え切れず千切れてしまう。
そこを好機と見たモンスター達が母様を襲うが、母様が高く上げた足を振り落とすと大地が割れ、モンスター達が巻き込まれるように大地につぶされていく。
モンスターの一部がやっと森の奥へ逃げようとする。
だが、木々を引き抜くとやり投げのように飛ばし、モンスターをつぶした。
それからも母様の一挙手一投足にモンスター達が投げられ、飛ばされ、つぶされていく。
「よくも、私の大事な息子を! アルベルトを!!!」
目にも止まらぬ速さでモンスター達が消えていく。
塵一つ残さぬ勢いで。
そして、あっけにとられている間にモンスターはおろか森の一角であった場所が更地になっていたのだった。
「あ、アルベルト!」
「へ、あ、はい」
母様の声掛けに返事をすると嬉しそうに抱きかかえてくれる。
それに私の抱き返したのだった。
「あなたが、レベル上げに行ったと聞いてどれだけ心配したか」
「ご、ごめんなさい」
久しぶりの死の恐怖に年甲斐もなく母の胸で泣いてしまうのだった。
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