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第七話 渇望する強さと守る強さ4


レベルが上がる方法は主に二種類ある。

一つは魔物を倒すこと。

これはどんな職でも共通で一番手っ取り早いとされている。

二つ目は天職にあった熟練度を上げる事。

例えばパン職人ならパンを焼くこと、鍛冶屋なら金製品の製作などでレベルが上がるそうだが、魔物討伐と比べると上がりにくいらしい。

でも、兵士や騎士などの天職に持つと一つ目と二つ目の両方を満たすので、他の職よりもレベルが上がり安いのだそうだ。


「では、あなたのレベルは?」


「この前レベル87になったな」


「それは高いのですか?」


「グリフォンス家騎士団の平均が78とかだったから、頭一つ抜きんでて強いと自負しているぞ」


貴族お抱えの騎士という立場だと、その日の仕事などもあるのでレベル上げも簡単ではないはず。

それでも、他の騎士よりも十近くレベルが上なのはこの人の努力の賜物なのだろう。


「あ」


「どうした?」


「そういえば、名前を聞いてなかったな、と」


レベル上げを始め、馬上で色々な話を聞かせてくれている彼の名前を私は知らなかった。

グリフォンス家には沢山の騎士がいるので全員は無理だろうが、恩がある人くらいは名前は憶えておきたかった。


「俺は(ウオオオォォォォォ!


遠くから何かの遠吠えが聞こえた。

騎士の男は間髪入れずに俺をパンディナ達が乗っている馬車の上に乗せる。

すると、馬車はスピードを上げて森の道をかけて行く。


「な、なにが?(ウオオオォォォ


急な出来事だが、頭は思ったよりも平静を保っていた。

振り落とされないように馬車に縋りつきながら考える。


先程の遠吠えはずっと遠くから咆えているはずなのに、鮮明に聞こえてきた。

しかも、四方八方から今だに遠吠えが聞こえる。

微妙にだが咆え方やトーンに違いがある。

一個体が出している音ではないだろう。

これだけ大きな鳴き声を出せるとなると体格も相当大きいはずだ。

そんなのが何体もいるとなると。


「守りながらの戦闘が難しいと判断し、護衛対象の俺達を逃がし、殿を務めた方が生き残れると判断したか」


馬車は速度を上げていきながら曲がりくねった道を走り抜けていく。

その間に絶えず枝や葉が私に襲い掛かるが、馬車から落ちることは無かった。


レベルアップの恩恵か。


このままあの騎士のようにレベルを重ねていった未来、私はどれだけ強くなれるのだろうか。

今の状況を不安に思う以上に、未来に思いをはせていた。


「掴まれ!」


馬車を操作していた騎士の一人が大声を上げる。

すると、馬車は向きを横にして急に止まったのだった。

横転しなかったのが奇跡だと思う衝撃だった。

因みに私は振り落とされたのだった。

馬車を運転していた騎士は降りると剣を構えて何かに立ち向かう。

私も顔を上げてそれを見る。


「うそだ」


そこにいたのは馬車よりも大きな体の狼のモンスターだった。

だが、狼のモンスターは一体しかいなかった。

これ以上増える前に倒して安全な所まで逃げたいのだろう。


うおおぉぉ


だが、大きい狼モンスターの鳴き声に合わせてレベル上げの時に殺したような小さな狼がぞろぞろと集まってくる。

これでは騎士ひとりでは対処できない。


「怖い」


でも、あの騎士が死ねば、もう後がない。

頭で理解しているなら。


「動け!」


大きな狼が騎士にとびかかると同時に小さな狼も攻撃を仕掛けてくる。

さすが騎士なだけあって大きな狼の攻撃すらも跳ね返しながら、小さま狼にも攻撃を仕掛けていく。

でも、モンスターの攻撃が激しすぎて防戦一方だ。


キャン


騎士の攻撃で体制を崩した小さな狼が私の前に転がってくる。

急所の魔石へレベル上げの時に渡された剣を立てる。

完全に予想外だったのか狼はなんの抵抗もせずに

最初に殺した時よりも簡単に殺せてしまった。

次々に小さな狼が飛ばされる。

そこに先回りし、剣を突き立てていく。

騎士ほどの力はない。

でも、一匹ずつ隙を狙っていけば、いける!


キャンキャン!


「!」


小さな狼の一匹に見つかった。

すぐにその喉笛を切るが遅かった。

狼のモンスター達が私を視界にとらえる。

大きなモンスターはすぐに騎士の方に視線を戻すが、小さな狼の数匹が私に向かって走ってくる。


「やるしかないのか」


逆境は前世でいくつも越えてきた。

それが一つ増えるだけだ。


私は足に力を入れて踏み込んだ。









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