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第七話 渇望する強さと守る強さ3


「もう無理」


私が初モンスター殺しをしてすぐにパンディナはそういうとレベル上げを止めてしまったのだった。

本来ならその時点で帰るはずだったが、「時間あるし、もう少し君もレベル上げしてったら?」とベゼンタさん言うのでそのご厚意に甘える事にしたのだ。


これを逃すと次いつレベル上げに行けるか分からないし。


「ほれ」


早速始める前に騎士たちが持つ鉄の剣を渡されたのだ。

もともと、そこまで筋力がないのにスキル【能力向上(大)】のせいで鉄の剣を持ててしまったのが運の尽きだった。

騎士たちがこちらへモンスターを駆り立てる。

ある程度弱らせたモンスターがこちらに一体ずつやって来るのだが、止まっているのと動いているのを仕留めるとでは難易度が全然違うのだ。


何でさっきまで取り押さえられたモンスターにとどめを刺すだけだったのに、とか。

何でナイフじゃなくて急に剣を持たせるの、とか。

色々言いたいことはあったが、もうモンスターがそこまで来ていた。


「やあ!」


剣を振り下ろし、狼のモンスターに命中するが急所を完全に外してしまう。

それも仕方ないことだった。

剣を振り下ろすというよりは、剣に振り回されているというのがしっくりくるような動きだったからだ。

でも、モンスター自身も騎士たちの攻撃でボロボロで動きが鈍い。

二撃目を私が与えると毛皮と魔石だけが残った。


「剣術は習っていないのか?」


騎士の一人が聞いてくるが、母様の教育により戦闘に関わる教育は一切受けさせてもらえなかった。


「は、はい」


「何か武術は?」


「いえ、なにも」


私は恥ずかしく小さな声で言うと、その騎士は呆れたようにため息を放つのだった。

それに私は思わず視線を落としてしまう。

やはり、独学でも何か身に付けておくべきだったか。


「アルベルト様、俯いていても意味はねえ」


「え?」


「まず剣の構え方はこう」


そう言うと騎士は私に剣を構えさせる。

そして、何度か振りながら間違っているところを細かく治していく。


「よし、時間ももったいないし、実践方式で慣らしてていこう」


「じ、実践?」


騎士達が再度次々と狼のモンスターを駆り立てる。

数匹が連続でこちらに来る。

よく見るとそこまで弱っていない。


「いざという時は俺がいるから思いっきりやれ」


私はモンスターに何度も剣を振り下ろし、一体、また一体と倒していく。

その間に取りこぼしたものや、連携して襲って来ようとしたものを騎士が間引いていく。

でも、何匹か倒したところで体力の限界が来た。


「もっと下半身に力を入れろ。体幹がぶれるから、攻撃が当たらなくなるんだ」


分かってる。

分かってるけど、無理ですよ!

おう言いたかったが、言葉を出すほどの体力も残っていなかった。


ウォオ!


「クソッ!」


最後の力を振り絞ってモンスターを倒した時だった。

身体が急に軽くなったのだ。

疲れは残っている。

でも、先ほどの限界間近ほどではない、余裕がある。


「どういう」


「レベルアップしたか」


なるほど、これがレベルアップか。

急に強くなったような感覚は前世では味わえなかったものだから気づかなかった。

それに、レベルアップと言えば。


英雄:【能力向上(大)】【回復魔法】

賢者:【完全記憶】【並列思考】

仙人:【仙術】【長寿】

剣士:【剣術】


「あれ? 剣士のスキルが」


「【剣術】あたりか? まあ、一般職だしな」


「一般職ですか?」


「他にも凡職なんて言ったするが、ようは適性値に個人差はあっても誰でも持ってるような職って事だ」


運が良かったって事か。

英雄はまだしも賢者、仙人のスキルは微妙なものが多い。

【仙術】なんてあっても使い方が分から無し。


思ったよりレベルアップにかかる時間は少なかったな。

これなら今日だけでパンディナはレベルいくつになったのだろうか?


「それじゃあ、帰るか」


騎士の言葉に安どのため息をつく。

そして、馬車に乗ろうとした時だった。


「坊主はこっちだ」


騎士に抱きかかえられて馬に乗せられる。


「なぜ?」


「そんな汚れた状態じゃ、馬車が汚れる」


「なるほど」


遅くなりました。

変わらず読んでいただけると嬉しいです。

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