第七話 渇望する強さと守る強さ2
魔物とは魔王が生まれる少しまえより現れた存在である。
その形は様々で獣の形をしたものや人の形をしたもの、無機物の形をしたものもいる。
生態系としては野生動物に近いが、動物とはまた別の存在である。
奴らは生命として必要な呼吸をしなければ、水分、食事の接種も必要なく動き続ける。
唯一必要なものが魔力なのだ。
「だから、魔石なのですね」
魔力を含有する鉱石を魔石という。
本来魔石は魔道具を動かす動力源、または魔術を発動するのに必要な魔力を補助するのに使用されることが多い。
だが、今回のような魔物狩りを効率的に行うにはこれほどの物はない。
魔石は常に微弱な魔力を放出し続けるのだ。
それに連れられて出てきた魔物を各個撃破し続けるのだ。
「ううっ」
パンディナは騎士たちが連れてくる動物に似た魔物の急所にナイフを突き立てた。
その度に顔をしかめ目をそらしていた。
「普通の女の子なんだな」
「それはどういう意味かね」
ベゼンタさんが私の独り言を聞き返してくる。
ずっとパンディナを見ていたので、私に興味がないと思っていたのだが。
それとも、私の発言が気に入らなかったか。
「魔物は世界に百害あって一利ない存在です。また、貴族は国から魔物を殺す使命があります。王立学校に通うという事でしたので、そういった覚悟や踏ん切りは出来ているものだと思っていましたので。でも、年相応の感覚を持っているのでつい言葉が出ました」
「年相応か」
ベゼンタさんは私にナイフを渡す。
殺して見ろと、いう事か。
私の前に狼の形の魔物が連れてこられる。
魔物の急所は皆同じ、魔石を破壊すればいい。
強い魔物などは体に隠れているらしいが、弱く小さいもの程体の表面のどこかに魔石が存在する。
目の前の狼の魔物も首の横にある。
私は魔石を壊さないようにくり抜いた。
すると、狼の魔物は苦しみながら萎んでいき、毛皮と爪だけが残った。
「魔物の身体は殆どが魔素だと本に記述されていたが、こんな風になるんだな」
でも、魔物の素材で武器や防具を作るらしいから、何かしら残らないとおかしいか。
「な、なんで?」
パンディナは恐ろしいものを見るように私を見る。
何かしてしまっただろうか。
「魔石破壊しないの?」
「なんでって、魔石って売れるでしょ?」
魔石は魔物から以外でも鉱山から出たりするが、その量はそんなに多くはない。
それに魔石の魔力含有量はその大きさが大きいほど乗倍で変わってくる。
割らずに採取した方が得だろう。
「はは、パンディナもお父様に似ていると思っていたが、君はそれ以上だったか」
「おかしいですか?」
「おかしいさ。魔物と言っても見た目は完全に生き物だ。命をとる行為を連想させるから、子供ならだれでも嫌がる。それを君は」
それをいうなら、その魔物を殺すように言うあなたも相当だと思うが。
ただ、私の中身に一生を終えたじいさんの記憶が入っている事を知らない人だったら驚くかもしれないな。
殺生の意味をきちんと理解していない子供は二通りに分かれる。
殺す恐怖にかられるか、それ以前の死ぬことを分からないか。
でも。
「私達が生きていく中で私たちの糧にするために多くの動物を殺します。仕方のない事です。殺さなければ飢えて死ぬのは私達です。それに、魔物は私たち人間はおろか魔力があれば何でも襲います。殺さなければ私たち以前に他の生き物が死にます」
自分で言っていて嫌な理屈ではあると思う。
私もよく思い出してみれば前世で卵を産まなくなったニワトリを殺すのを見た時、その日の夕食に出たからあげが喉を通らなかった覚えがあるしな。
私の言葉にベゼンタは呆れたのか言葉を失っていた。
パンディナも驚いたように目を大きく開けている。
あ、でも、結局あの日はからあげを少しは食べたな。
「命を可哀そうだと思うなら、食べ物を残したらダメだよ」
あの日、親父に言われた言葉を懐かしく言葉にするのだった。
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