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第四話 祝儀と女神と勇者と1

祝儀とは。

子供が五歳まで健康に育ったことを喜ぶ儀式である。

この儀式は随分と昔から行われて、この国の北部の集落が行っていた儀式である。

これが世界的に一般化したのは百年ほど昔の事であり、初代勇者と強いつながりがあるのだ。


魔王が現れたその年に神からお告げがあった。

五歳になる子供の中に悪意を切り裂く勇者の種有り、というお告げに世界中の人たちが勇者を探し始めたのだ。

この国でも教会を中心に探し始めたのだが、元々教会で祝儀を行う習慣があったことからついでに鑑定も一緒にやれば効率的なのでは、という発想から今のような祝儀になった。

この事により、どこの国よりも民達の浸透への早くどこよりも早く、また運よく勇者が見つかったのだった。


「また魔王が現れたとき勇者を早く見つけられるようにと、各国もこの方法を取り入れ祝儀が一般化したのです。今では子供が自身にあった職、『天職』を鑑定するだけの行事のようなものですがね」


神父はそう言って苦笑いをした。

ここは祖父と会った建物から少し離れた教会だ。

母様たち親は教会の待合室で待ってる。

そして、祝儀を行う前に身体を拭き、服を着替え、身体を清めるのだが、そこに神父が着て色々と教会の成り立ちや祝儀について教えてもらったのだ。

だが、子供には難しい話が多く私以外に二人の子供が祝儀を受けるようなのだが、二人ともつまらなそうにあくびをしている。


それからも清めが終わるまで神父の話は続いた。

その内容は天職で戦闘職を与えられたものは戦士や兵士、冒険者へ。

魔法職であれば魔法技術を使ったインフラや生活レベルの向上に。

技術職であれば、それにあった先達たちに弟子入りするのだそうだ。


このおかげで、世界的に子供の価値が高騰し、スラムなどの孤児が激減したようだ。

それに、子供のころから自身に合わせた成長方法を取り入れることで就職率や離職率も随分下がったようだ。

確かに表面上はいい事ばかりのように感じる。


しかし、説明には無かったが天職により自由度が低くなっているのではないのかと感じる。

例えば、騎士などになりたい子供が料理人等の天職をもらって、その夢がついえることもあるのではないのだろうか?


「それでは、入りなさい」


神父に連れられては言ったそこには大きな像が五体あった。

そのどれもが女性だ。

その中には見たことのある像が。


「天照様だ」


でも、私が知っているのもと少し違う。

天照様は日本の神様なのでもっと日本人よりののっぺりとした顔の方が見慣れているのがだ。

この天照様はそう見ても外人よりだ。


「おや、アマテラス様を信仰してるのかい?」


「え? あ、はい」


「そうか。この女神さまは豊穣と始まりを司る神様だ。きっと、君に生産系の天職を与えてくれるはずだよ」


生産系?

信仰する神様でも天職が変わるのだろうか。

なら、戦闘職がもらえる神様を信仰しておけば。

でも、他の神様は知らないんだよな。


中央の一際大きな像の女神、その下に人と同じ大きさの美しい女性の像があった。

神父はその前に私たちを誘導し、大きく息を吸い込む。


「それでは祝儀をはじめます。では皆、神々に礼を」


その言葉に誰もが膝を床に付け手を握り目を閉じる。

しばらくして、神父が「目を開けなさい」の言葉で目を開ける。

すると、美しい像が目を開け、笑顔を見せていた。


「はい、分かりました」


隣にいた女の子が急にそう言って像の前に出る。

そして、女の子の頭上が光り、うっすらと文字が現れた。


天職 騎士

適性値 67


なるほど、こうやって天職が分かるのか。

でも、適性値とは?

光が消えると女の子は元の位置に戻っていった。


「え? あ、はい」


女の子の隣にいた男の子も像の前に出る。


天職 お嫁さん 妻 お母さん

適性値 95


「あれ?」


男の子が首を傾げる。

私も驚いて声が出ない。


「なんて適性値が高いんだ! それに三職も」


神父はそう言うが。

男性でこの結果は喜んでいいのか。

戸惑いが残った表情で男の子は女の子の隣に戻るのだった。


『次の者、こちらに来なさい』


「え?」


声が頭の中に響く。

耳ではなく直接頭に流し込まれるような感覚は少し気持ち悪かった。

なるほど、前二人はこの声に従ったのか。


「はい」


私も二人と同じように像の前に立つ。


『やっとこの時が来たのね』


「うん?」


『ずっと待ってたの!』


美しい像がまるで生きているかのように涙し、私に抱き着いてきたのだ。

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