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プロローグ 前世の感謝を、来世で返します

私は死んだ。

享年八十七歳。

元々体も弱かったので、九十近くまで生きれたのだから上々だろう。

死因は良くは覚えていないが、急に胸が苦しくなったので心筋梗塞あたりか。

死ぬまで苦しかったが、家族の励ましの声や神へ祈る声が聞こえていた。

彼らの声に応えて上げられなかったのは心苦しいが、ここまで思われていたと知って嬉しかった。

私はとても幸せでした。

そして、何度も救って頂けた神に感謝いたします。


〈そう言っていただけるなら、私も救った甲斐がありました〉


突然やさしい女性の声が聞こえる。

ただ、どこか聞き覚えのある声だ。

私が小さなころ病気で苦しんでいた時、津波にのまれて死にかけた時、娘が逆子で生まれて母子ともに死にかけた時、神に祈りを捧げると彼女が私を宥め、彼女は私や家族の命を救ってくれた。


もしかしてあなた様が?


〈はい。改めて初めまして、テラスと言います。この世界では天照なんて言われていますが〉


なんと、あの太陽の女神さまの天照様ですか。


〈はい〉


あの、岩戸にひきこもった。


〈その話は私の黒歴史なので、聞かないでください〉


そう言えば、ひきこもったはいいが、自分がいなくても楽しそうで嫉妬したり、美しい女神がいると見せられた鏡に映った自分に興味を持ったり、神様としてはちょっと黒歴史のような。


〈もう、やめてください〉


悲痛な彼女の声に罪悪感が。

すみません。


〈さて、あなたはこれから転生するのですが、最後に顔を見ておこうと思いまして〉


そう言えば、なぜ私を何度も救って頂けたのでしょうか?

正直言っても、私のようないかつい顔は不細工ではないですが、二枚目というわけではない。

かといって信心深いわけでもなかった。

あなたに教えてもらえるまで救ってもらったあなた様のことすら知りませんでした。


〈端的に言えば、お父様に、似ていたので〉


お父上。

イザナギ様のことでしょうか。


〈はい。あのかっこよくて、凛々しくて、かっこいいお父様に、似ているので!〉


かっこいいって二回言ったな。

しかも、ファザコン?

なのかな。


〈お父様が大好きという点では、間違ってません。ふぁざこん? というのです〉


ご自身でもお認めになるのですね。


〈正直、お父様よりいい男がいなかったので結婚をしなかったくらいですから、自分でもどうなのかな、と思いはします〉


なるほど。

だから。

うん。

イザナギ様に顔が似ていてよかった。

そうでなければ、命がいくつあっても足らない人生だった。


〈さて、それでは転生に移りましょう〉


あ、その前に。


〈なんでしょう?〉


私は今まであなた様に何度も救って頂きました。

そのおかげで子供たちは一人もかけずに健やかに育ち、沢山の孫にも恵まれた。

辛くなかったと言えば噓になるが、それ以上に幸せでした。

なのに何もお礼ができていません。

何か私にできる事が〈本当ですか!?〉


え?


〈そう言ってもらえると非常に助かります!〉


……。

…………。

………………。

……、なにを、させられる、のでしょうか?


〈実を言うと、この世界以外にも神様をやってまして〉


はい?


〈この世界はもうほとんど私たち神を必要としていません。そして、沢山の世界の中には滅びる世界があります。その代わりの魂の転生場所、新たな魂の行き場を作らなくてはいけないのです。そこで、他の宗教、世界の神と共に新たな世界を作りました〉


そう、なのですね。


〈本題はここからで、最近はやりの魔法や魔物のある世界を作ってみたのです〉


まほう? まもの?


〈ああ、昭和生まれですものね。早い話が貴方のお孫さんがやっていたゲームに似た世界というものですね。内容は?〉


孫とのコミュニケーションは大事にしている。

一緒にゲームをするにはある程度情報を頭にたたきいれていないと辛いからな。

そこそこは知っているぞ。


〈じゃあ、説明は必要ありませんね。そんなわけで、人間以外の種族や魔物と呼ばれる生き物を作ったりしました。そして、お約束というわけではありませんが、魔王を作りました〉


ああ、らすぼすってやつですね。


〈そうなのですよ。でも、時期尚早でした。まだ、文明繁栄も途中なのに、神の一人が先走りまして。ちょっと、ボコって封印しておきましたが、魔王というシステムを消すことはできません。そこで、勇者というシステムを早急に世界に取り入れたのですが〉


急すぎてうまく作用するか分からないと。

という事は私が勇者として魔王を倒すという事でしょうか?


〈いえ、このシステムはあくまであの世界で生まれた穢れのない魂によって成し得なければなりません。ですが、神は世界にシステムを作っても、その土台となる世界には干渉できません。つまりはどうなるのか分からないのです。でも、うまく作用してくれないと生まれたばかりの世界が滅びてしまいます。そうなるとまた一から数億年という長い月日をかけて、何千個という世界を作り、その中から生命を育める世界を見つけなければなりません〉


それは、途方もない作業ですね。


〈その通りなのです。そこで、あなたには勇者が魔王を討伐できるようにサポートとシステムの不具合を探して欲しいのです〉


了解です。


〈いい、のですか? 私自身かなり大変なことを頼んでいますが〉


世界への干渉はいけないのでしょう?


〈はい? そうですが〉


なのに、私のことは助けてくださったのですよね。

いけない事なのに。


〈……。ものには、例外というものがあります。その細かな網をかいくぐれば〉


とても、大変でしたよね。


〈そう、ですね〉


ならば、今度は私が頑張る番です。

それぐらいしないと、私自身納得できません。

どうか私にやらせてください。


〈ありがとうございます。それでは、あの世界に転生させましょう〉


はい、よろしくお願いします。


〈どうか、世界に救済を〉


やさしい温かさに包まれる。

これが転生か。


〈そして、あなたに幸せを〉


どこまでも、この女神さまは私に甘いらしい。

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