腹式呼吸のすゝめ
腹式呼吸。
それは一部の人間憧れの技能。
自分はけっこう簡単に習得してしまったので、その時を思い出して習得の補助になりそうなイメージをいくつか放出。
それを基にしてちょっと練習すれば、すぐに習得できる……かも。 保証はしないけど。
しかし良いことばかりじゃない。
腹式呼吸の悪い部分も知った上で、習得するかを決めてください。
いやまあ、すゝめと書いたは良いけど、実際にはそれほど推奨はしませんからね?
……なんでそんなタイトルにしたか?
そんなのがパッと浮かんだので。
はい。
ではまずこれから行きましょうか。
Q&A方式で、ドン!
Q.腹式呼吸とはなんぞや?
A.腹式呼吸とは、空気を吸う際に肺へ送らずに、腹の方へ送るイメージでする呼吸法のこと。
実際はちゃんと肺にも空気は入っているものの、お腹がふくらむ感覚の方が強いので、お腹で呼吸するイメージで良い。
なお違う呼吸法としては、胸式呼吸と呼ばれるものがある。
こっちは深呼吸をする際や、疲れたときの荒い呼吸をする際に使われていたりする。
Q.腹式呼吸をすると、どんな良いことがあるの?
A.大きくて、良く通る声を出しやすくなる……とされている。
声や喉を酷使する仕事では、ほぼ必須技能。
大声を出すときにかかる、喉への負担が減る(自分の体感では)ので、喉が傷みにくくなる。
様々な歌手、舞台役者、声の役者、局アナ、他にも色々。
腹式呼吸が出来なきゃ話にならない仕事から、あった方が良い仕事まで。
しかし普通の生活では、あまりない。
でも、混雑した場所で誰かを呼び止めたいとか呼び寄せたいとか、大声を出して注目を集めたい時とかには有効。
あと日頃からマスクをしなければならない環境なら、声がくぐもってしまうマスクでも、ハッキリした声を出せる……と思う。
Q.じゃあ逆に、悪いこととかってあるの?
A.あります。
声を使う仕事の人あるあるで、聞いたことがある人もいるでしょう。
ズバリ! 無意識に声が大きくなってしまう。
腹式呼吸に慣れて、日常的に腹式呼吸でいると大きくなるそうです。
…………自分もそう。 ひそひそ話をしているつもりなのに、それが普通の人の普通の音量、声量になっている。
………………らしい。 自覚はほとんど……いや、まったくない。
喋っていると思えない、聞こえているのか分からん位に掠れたような声を出して、ようやくひそひそ声になったと言われた時にはショックを受けた。
これで腹式呼吸はどんなものか、分かってもらえたんじゃないでしょうか。
ちなみに余計な情報として、アニメなんかでキャラの声が遠いとか、くぐもって聞こえるとか思ったことがありませんか?
そいつは腹式呼吸+マイクに声を乗せる技術がなってない、話題作りのための芸能人ゲストの可能性があります。
最近では声を機械の編集で、違いを聞き分けにくく加工(修整ではなく、あえて加工)しているそうですが、それすら聞き分ける猛者だっている。
実際に素人臭い滑舌とか、なんかモゴモゴした声とか、その辺で自分も素人っぽいと判断したり……。
無駄にゲストが出演した所為で、余計な“大人の事情”が発生してグダグダでゴタゴタしたじあn……いえ、何でもないです。 すみません。 はい。
では、良いところも悪いところも知った上で、それでも腹式呼吸ってどうやるの? と思った方は次へ。
腹式呼吸のやり方。
中学生時代に、音楽の先生から習ったやり方。
口のすぐ前に、一口サイズの好きな食べ物がある。
それにパクっと空間ごと食いつく様な(または一息でまるごと吸い込んだり啜り込む様な)イメージで呼吸しろ。
…………嘘みたいだろ? これで自分の腹式呼吸人生が始まったんだぜ?
これ以降、ずっと腹式呼吸だ。
最初は口呼吸になってたけど、それだと健康に悪いとかで鼻呼吸を意識してやるようになって、口呼吸は歌うときだけになった。
普通の呼吸になんか戻れねぇ。
胸式呼吸なんざ年中やってられねぇ。 ずっと深呼吸、または荒い息をし続けるやつに見られたくねぇ。
……胸式呼吸が普通の呼吸か? まあいいや、その辺は知らん(そっぽ向く)
それと歌で高い音域を出すのに、頭から声を出せとかって話は聞きませんか?
腹式呼吸の別イメージで、腹から声を出せってのとは別口で。
これも曖昧ではあるけど、的確なんですわ。
頭の天辺に穴が空いてて、そこから声を出すイメージ。
リアルでは有り得ない! なんて常識的な感覚を丸っと無視した前提でやると、成功する。
男で安定した裏声(高音)を出す際、とても重要なイメージ。
上手くいけば、音域が広がりまくってヤベーぞ、本気で。
ちなみに無段階調整で高音を出したいなら、声を出す時に アゴ→のど→首の骨→首の後ろ→後頭部→頭の天辺 その辺りを意識して音の高さを変えてみると良い。
自分の感覚でなんだけど、声の高さとそれらの部分にかかる負担とが、なんか一緒に動いているんだよ。
高音を出したいならアゴを引け! じゃなくて、勝手に引っ張られるから、アゴは意識せんで問題なし。
他の人も同じ感覚で行けるなら、これで高音を出せると思います。
えーと、話を戻しまして。
上記のじゃあ腹式呼吸が分からない! なんて人には言葉を変えて、改めて説明。
呼吸をする時に、意識して吸った空気をお腹へ溜め込むイメージで呼吸してみて。
空気で胸を満たさず、空気で腹を満たすイメージ。
お腹が鍛冶場で使う、空気を炉へ送り込む道具である“ふいご”になったイメージ。
今言ったイメージで、自身で簡単にイメージできそうなのを選んで、さあ深呼吸。 吸って~。
ダメなら他のイメージで試して~。
ほら吸って~。
どうですか?
空気が肺じゃなくて、お腹を膨らませたんじゃないですか?
ダメなら次はこれで再挑戦。
呼吸に使う横隔膜。 しゃっくりで痙攣してしまう横隔膜。
こいつをお腹の筋肉でポンプ代わりにして、引っ張って広げて、空気をたくさん取り込むイメージ。
はいどーぞ。
どう? 行けた?
それでお腹が呼吸の度に膨らんだり萎んだりしたなら、腹式呼吸が上手くできている証。
胸と肩がふくらむ様に動くのではなく、お腹が大きく動いて胸は少しだけ。 そんな動きで呼吸がきちんと出来たらOK。
おめでとう。 君はこれから声デカ仲間だ。
話しかけた相手に、声でビビられたりする様になるかもよ?
腹式呼吸にならなかった人は、ごめんなさい。
いや、おめでとう。
君はまだ引き返せる。
自分が口を開けば「うるせー」と言われる悲しみを知らなくて済む。
独り言をブツブツ言っているつもりでも、周りの人に聞こえまくっていたとか言う、大恥をかかなくて済むのだ。
メカクレ系小声小動物キャラとか、控えめで穏やかで優しいキャラとか、声が大きいと難しいキャラになれる……キャラで居られるぞ。
声の大きさだけで、相手へ与える印象が変わる。
ピンク色のハートが漂うアレな空間で、まだ始まってもいないのに、大声が出たら冷めるだろ?
または最中にクソデカボイスが部屋中に響き渡ったら、うるさくて集中できないだろ?
図書館や図書室なんかの、静かにする場所で、気を使って小声にしたはずなのに、騒音扱いされたらいやだろ?
場面に合わせた音量調整が上手ければ、好印象だって夢じゃない。
その時に自身の声の大きさがうまく調節出来ない~なんて、喜劇か悲劇にしかならない。
腹式呼吸で声が大きくなった。
とか言う事態は、できるだけ意識しつづける様に。
少しだけ離れている人にちょっと呼びかけたつもりが、その場にいる全員から注目された、あの気恥ずかしさを味わいたくないのであれば。
腹式呼吸は簡単に習得できる。
した上で、どうするのか。
むやみに習得しても、良いことはあまり無い技能です。
それを理解した上で、どうぞ楽し(くは別にな)い腹式呼吸の世界へ足を踏み出して下さいませ。
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声の役者について。
なぜわざわざこんなルビを振ったのか。
それは古い方ですが、声優は声の役者だと頑なに仰る方が業界におられるそうなので、そうしています。
ひとくちに声の役者と言っても、仕事は様々。
アニメやゲーム、ドラマCDや映画の吹替えで声をあてたりしますが、それだけじゃないです。
各種ナレーションや各種アナウンスも仕事。
声を出す仕事全般が、声の役者の仕事範囲。
聞きますでしょ?
スーパーマーケットの店内アナウンス。
店内スピーカーから流れてくる、今日はあんなのやってるよ、こんなの売ってるよのアナウンス。
時間が来れば16時名物、タイムセールの始まりだよと煽りたてるアナウンス。
これに有名な声の役者さんが使われていると初めて気付いたときには、興奮したものですわ。
他にも、車を延々と、淡々とスペックだのデザインだのをアナウンスして語り続ける、超有名な声の役者さんとかも居られますね。
学習教材を読み上げる仕事もそう。
実は幅がかなり広い。 それが声の役者のお仕事。
アニメやゲームとか以外でも、お仕事はあったりします。