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1章  1話 転生したら美少女でした

 タイトル回収です。

 ライトの眩しさで俺は目を覚ました。

 気が付くと、再び俺は体を横たえていた。

 しかしさっきまでの感じていた芝生の柔らかさがない。

 背中から伝わるのは、もっと硬質な感触。

 そこはまるで手術室だ。

 広めの部屋の中心に、ベッドが置かれている。

 そして、そんなベッドの上で俺は寝ていた。

「どうやら目覚めたみたいだね」

「――これが新しいALICEってわけ?」

 男と少女の声が聞こえる

 別のことに気が散らされていて目に入っていなかったが、俺が寝ている実験台の傍らには二つの人影があった。

 一人はオッサンといって差し支えない年齢の男。

 黒髪の混じった金髪や、ラフな格好は彼があまり潔癖な性格でないことをうかがわせる。

 どちらかといえば、反面教師にすべきタイプの大人だ。

「ふーん」

 そして、もう一人は少女だった。

 小柄で――年齢としては中学生くらいか。

 蒼い髪をポニーテールにした美少女だった。

 華奢な体に、整った顔立ち。

 可憐で守るべき対象だと感じさせる要素を持っている彼女だが、その凛とした瞳が彼女を庇護対象と思わせない。

 むしろ彼女は、誰かを導く側の存在。

 守られるのではなく、先頭を走る側の存在である。

 そう思わせる佇まいだ。

「……俺は今、どういう状況なんだ?」

 俺は問いかけた。

 楽園の次は手術室だ。

 さすがに意味が分からない。

 状況を把握するためには、この二人に話を聞くのが一番早い。

「俺……? まるで男みたいな喋り方だね」

 オッサンはそんなことを口走る。

「別に、覚醒直後は記憶の混濁なんて珍しくないでしょ?」

 そして少女も、男の言葉に疑問を持たない。

(そんな可愛らしい顔立ちだった覚えはないんだけど)

 そこそこ整っていた容姿だとは思う。

 しかし女顔ではなかった。

 少なくとも、生まれてからこれまで性別を間違われたことはない。

「男みたいじゃなくて、男だよ。見れば分かるだろ」

「見れば分かる、か。確かに、記憶の混濁を正すには、見せてあげたほうが早いだろうね」

 そう男は笑うと、懐から手鏡を取り出した。

 ――意外と、身だしなみを気にするタイプなのだろうか。

 もっとも、それならプリン頭を先にどうにかするべきだと思うが。

「――サンキュ」

 俺は手鏡を受け取る。

 正直、俺は今の自分の状況が分からない。

 死の直前の出来事から考えても、もしかすると顔に傷跡くらいはあるのかもしれない。

 そんな軽い気持ちで鏡を覗き込み――固まった。

「……………………は?」

 呆けた声が漏れる。

 なぜなら鏡には――美少女が映っていた。

 ツインテールにされた炎のような赤髪。

 ツリ目なこともあって、勝気な印象を抱かせる少女。

 総評は――まぎれもない美少女。

 好みの差はあれど、この少女が優れた容姿を持っていることは大半の人間が認めるだろう。

 認めないとしたら、嫉妬か盲目だ。

「分かったかな? 君は女の子だ。それも、美少女だ」

 男はそう言い聞かせてくる。

 それに俺は言い返そうとするも――根拠がないのであきらめた。

 物理的に考えて、この鏡に映っているのは俺だ。

 となれば答えは簡単だ。


(――美少女になってる……!?)


 俺は、生まれなおした時に性別を変えられたらしい。



「いつまでも呼び方が決まらないと面倒だ。さっそくだけど、名前を決めるとしようか」

 ――何が良い?

 男は俺にそう聞いてきた。

 だが、いきなり自分の名前など――それも女になった自分の名前など思いつくわけがない。

「まだ混乱していてそれどころじゃないか」

 ――なら、僕が決めようかな?

 男はそう笑う。

 そして、紡ぎ出した。


「君は今から――天宮天(あまみやそら)だ」


 俺が、これからの人生で名乗り続ける名前を。


 ついに主人公の名前が決まりました。

 ちなみに、前世での名前は多分出てきません。


 名前が決まったので、次話からは三人称視点で書いていくつもりです。

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