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転生したら赤髪ツインテールでした。しかもトップアイドル。  作者: 白石有希
終章 デッド・オア・ラストライブ
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終章 エピローグ3 最強の絆

「ぬ?」

 グレイトフル古舘は眉を跳ねさせた。

 彼の視線はアンジェリカの手元に注がれている。

「そのプロテインは確か、去年あたりに動画で紹介した覚えがあるな――」

「覚えていらっしゃったんですのね」

 アンジェリカは感心の声を漏らす。

 グレイトフル古舘といえば、筋トレを中心とした動画配信で人気を博している人物だ。

 そのため彼は自分の動画で、おすすめのプロテインを紹介することも度々ある。

 アンジェリカが愛飲しているプロテインも、そんな中の一つであった。

「古舘さんがおっしゃっていた通り、溶けやすくて助かりますわ」

 筋トレを趣味としているアンジェリカはプロテインを飲む頻度が高い。

 それゆえに飲みやすさは重要な要素であった。

「うむ。俺は都合上、多くのプロテインが送られてくるからな。一つの商品を飲み続けることはできないが――確かに良い商品であった覚えがある」

 古舘は頷いていた。

 彼は商品モニターを依頼されることも多いようで、紹介している商品のほかにも様々な商品を試していると聞いたことがある。

「しかし良い設備だ。幅広く、最新鋭のマシンが揃っている」

 古舘は腕を組んで周囲を見回した。

 二人がいるのは財前邸のトレーニングルームだった。

 ――今回、古舘はクルーエルと深く関わった。

 《ファージ》という世界の裏と大きく接点を持ってしまった。

 ゆえに最低限の説明と、口止めのために彼をここに呼んだのだ。

 もっとも古舘自身も他言するつもりはないらしく、深く事情を詮索することもなかった。

 おかげで面倒事もなく話は進んだのだが――

「……あなたは、わたくしたちを恨みませんの?」

「?」

 アンジェリカは問う。

 尋ねたところで何かが変わるわけではない。

 だが、口からこぼれだしてしまった。

「あなたは、クルーエルさんと友人だったのでしょう?」

 古舘とクルーエル。

 二人の関係を正確に言い表す言葉は見つからない。

 だが、一番近い言葉とするのならばやはり友人だろう。

「ああ。我々は、筋肉で結ばれたベストフレンドであった」

 古舘は感慨深げに頷く。

「……せめて別のもので結んであげたほうがよろしいと思いますわ」

 アンジェリカの知る限り、クルーエルが筋肉崇拝者だったようには思えない。

 筋肉で結ばれていても嬉しくないだろう。


「ともかく、結論から言えば恨めるわけがない」


 古舘は力強く断言した。

 彼の言葉には迷いがない。

「後悔の生き方。そして死に方。彼女はきっと、それを貫けたのだと思う」

 彼はそう語った。

 アンジェリカは思う。

 夢半ばで死ぬという経験をしたからこそ思う。

 後悔しない。

 それはときに、幸福であることよりも大切なものとなる。

「個人的には、生きて幸せになって欲しかったと思う。だが、どうして俺が彼女の生き様を侮辱できようか」

 人は一人では生きられないかもしれない。

 だが、人生はその人一人だけのものだ。

 部外者が口を出せることではない。

 その結末が、痛ましいものであると分かっていても。

「彼女が後悔していない人生であるのなら、俺は祝福するしかあるまい」

 ならば信じるしかない。

 後悔のない生き方。

 それが彼女の最善であったのだと。

 彼女自身が選んだ最期を祝福することしかできない。

「生きていれば辛い別れもある」

 古舘は小さく笑う。

 そして彼は腰を上げた。

「だが、それでも俺たちは立ち上がることができる」


「なぜなら、俺たちには筋肉があるのだからなっ」


「ぶ、物理的にはそうですわね……」

 アンジェリカはツッコミを放棄した。


 効果的な筋トレ、ポージング、格闘技、筋トレグッズのレビューなどを行う古舘。

 ボディビルの掛け声講座なども。


 それでは次回は『遺された者たち』です。



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