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5章 エピローグ5 女神の世界

 無限に広がる草原。

 そこには無数のシャボン玉が浮かんでいた。

 浮遊するシャボンの中には様々な光景が見える。

 このシャボンにはいくつもの世界が内包されているのだ。

 そんな世界を眺めている少女がいた。

「うんうん。天ちゃんも頑張ってるみたいだね☆」

 少女――マリアはピンク髪を揺らしながら笑う。

 彼女は一つのシャボンへと視線を注いでいる。

 そこは、最近一人の少年を送り込んだ世界。

 そして世界の破滅が迫っている世界であり――


 ――いまだに破滅を回避できる兆しのない世界だ。


 このまま進めば、この世界は半年と待たずに崩壊する。

 それでもマリアは笑っていた。

「うんうん。天ちゃんは、ちゃんと仲間の信頼を得られたみたいだね☆」

 マリアは手を合わせて喜びの表情を浮かべた。

 天宮天。

 向こうの世界ではそう名付けられた元少年。

 特別な才能を持っていたから選んだ存在。

 だからといって人格まで考慮したわけではない。

 新たな力を得ることによる悪影響がないとも限らない。

 傲慢になるのか。

 あるいは自分を特別な存在などと考え始めるのか。

 そんな可能性だって考えられた。

「性格よし。実力だって想像以上。問題といえば――」

 だからマリアは――



「《ファージ》と戦っても、あんまり意味がないってことくらいかな☆」



 ――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「まあ、これはちゃんと教えなかったアタシが悪いんだけどね☆」

 マリアは草原の上で舞う。

 ステップに合わせ、純白のドレスが揺れた。

「あの子だけじゃちょっと難しそうだし、天ちゃんを呼ばないといけないかなぁ?」


「この世界に」


 一度は送り出した少女。

 しかし、あれはあくまで仮の派遣だ。

 もしも天宮天が救世主となるには不適格だった場合、致命的な問題が起こらないようにあえて彼女には必要な情報を伝えていない。

 だがここまで彼女を観察した感想として、彼女に人格的な問題は見られない。

 誰かを思いやる心もあるし、世界を守る意志もある。

 彼女になら、正式に救世主としての役割を与えても構わないだろう。

「でもごめんね天ちゃん。まだアタシのほうからそっちの世界には干渉できそうにないんだよねぇ」

 ――困った困った。

 マリアは頬に手を当てて考える。

「多分、近いうちにメッセージは送るから、ちゃんと来てくれると嬉しいな」

 マリアは笑う。

 無限のうちのたった一つの世界。

 女神の視点としてはそうでも、そこに住む人間にとってはそれがすべてだ。

 当然、マリアもそれなりの手は打ってきた。

 ――《ファージ》の王である女性を長時間活動できない体に作り替えた。

 ――人間にALICE化という技術をもたらした。

 そうやって、人間が自主的に身を守れるように摂理を整えた。

 だがバグというものは次から次に湧き上がってくる。

 そしてついにあの世界は限界を迎えつつあった。

「だから天ちゃん。急いでね」



()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()☆」


マリア「ぬふふふふふ☆ 1年起きたら、1000年眠る体にしてあげちゃうよぉ☆ 999年じゃないせいで、起きるたびに1年ズレて微妙な気持ちになっちゃぇぇ……☆」


 これにて第1部終了です。

 《ファージ》と正体不明の敵対者。

 彼らとALICEの戦いが第2部となります。

 裏切り者。

 そういえば前作でも離反者がいましたね。

 前作での別離の理由が『愛情』であったのなら、今作の敵対者が持つのは『信念』もしくは『思想』でしょうか。


 それでは次回は『撮影会・1月号』です。


・株式会社ALICEよりお知らせ

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