真人の秘密と帰還
村長は兎人族のナーガじいさん。これまた優しそうなお爺さんだった。
「村長ー、真人の親子連れてきました。耕作君と舞ちゃんです。」
「真人じゃと?そなたらが真人なのか、詳しく話を聞かせておくれ」
俺はこれまでの経緯をはなした。うさぎ君は門でお別れしたがこれからも仲良くする様に言われた。俺の蹴りは不問となり一安心だ。
いずれあの蹴りは『ペガサスキック』とし俺の必殺技となる予定だ。決して動物虐待キックのルビではない。
期待はしてなかったが元の世界へ戻る方法など知るわけがなかった。
で、ここからが真人親子が呼ばれた理由なのだが(ムーニンは真人が珍しいという理由だけで連れてきた)、真人はすべての人族の祖であり今では失われた種族と云われているそうな。
まあ、納得できる。『人族』だもんな。いるのかわからんが猿人族ならまだ交配とかに納得がいかんでもない、しかし、だ。
……鷹とか……鴎とか……燕とか鯉だのも『人族』にいるらしいのだが……考えるのはよそう。
で、各人族はご先祖様の犯した禁忌により先天的な病気を持ってたり寿命が短かったりするみたいだ。
で、何が言いたいかというと真人の血肉が病を治すのに効くらしい……これアカンやつじゃないだろうか。
「血を分けてくれないかね?ちょっとだけでいいから、本当にちょっとだけ。絶対痛くしないから」
……ピンチかもしれん。なんだか村長がスケベジジイにみえてきた。
「まあ今日のところはゆっくりしていきなさい。食事と寝床は用意しよう」
食事には木の実だとか変な肉が出てきたが意外と美味かった。
舞はよその皿の木の実まで奪っていた。「パゥ!」平常運転だ。
村長との会話で元の世界の事を話しつつこちらの世界の情報をもらう。
夜遅くにはおさらばするつもりなのでなるべく情報が欲しいところだ。
寝床で舞とおしゃべりする。いろいろあったがこの念話に関しては神に感謝しかない。
「今日は楽しかったかー?」
『(うん)』
「明日も探検しような」
『(明日は帰るー)』
そうだな何とかして帰らなきゃな
舞を寝かしつけ脱出の算段をしているうちに舞はうつらうつらと――舞が消えた。