村も優しい世界
俺の必殺技『ペガサス流○拳』は残念ながら失敗に終わった。
しかし、確かに感じた気の存在に俺は希望をもっていた。拳はメチャメチャ痛いけど。
「……ムーニン、どうだった?失敗したけど、イイ線いってたか?」
「うーん、よくわからないや。ハァーーとか叫んだだけだけど意味あるの?あとペガサスって何?天翔馬族の事?耕作君と何か関係あるの?」
何かすごい毒づかれた。
「『ハァー』は気合いというか気を……、ペガサスは俺の動物占いがペガサスだから……ゴニョゴニョ」
隠し事のない正直な感想に俺傷つきました。
まあ、いつかはやってやるさ。右の拳が熱かったのも僅かながら気が通っていたからだろう、そうだよね?
暫く歩くと村らしきものが見えてきた。門番も鷹人族のようだ
「よぉ、ムーニン。その人達は?」
「マッケン、この人達は耕作君に舞ちゃん。真人の親子、今から村長に会いに行くんだ」
「真人だって?本当か?凄いな。なら通っていいぞ。」
村に入ると問題児の舞はすぐさま駆け出した。新しい場所に興奮してるわ。
村の名前はハカタンという。村とはいえ中々の大きさでログハウスや石造りの家が並んでいた。
『(公園にいく)』
「ちょっと待って舞ちゃん!今から村長さんのところだよ、楽しいよ」
『(いやぁ!、公園いくのー)』
俺は舞を素早く肩車する。抵抗が激しくなる前に行うのが対舞戦では必須だ。
上に乗った舞は暴れ、キャメルクラッチや肘鉄を喰らわしてくるがいつもの事。
さらに両手もホールドするとこれが天田家の肩車スタイルだ。
「イー!イー!ウー!」
舞は怒りの鳴き声を上げるが暫くすると落ち着いた。
さて、村長宅に向かいますか。
途中何人かに声をかけられたが獅子人族やら牛人族、鴎人族などにであった。
鷹人族の村というわけではなく色んな種族が仲良く暮らしているらしい。
今のところみんな優しいんだが、魔法とか必要ないんじゃないのかね?
「ムーニン、魔法とか身体強化とかってあんまりいらないんじゃないか?」
「いるよー。悪い奴らもいるんだ」
「魔王とかもいるのか?」
「いるよー。強いし、いじめたりイタズラとかをしてくるんだ」
……突っ込んでいいのだろうか。某国民的あんこキャラのいる世界観だな、コレは。
ひょっとしてこの世界楽勝なのではなかろうか?
村長宅に着いた。守衛さんは鷲人族だ。
「マーク、村長にあわせてよ」「いいよー」
守衛ってなんだろうね。
いよいよ村長と会うんだけど何だか緊張感も無くなってきたし、失礼かもだけど肩車のままでいいか。