父と娘、初めての会話
降り立ったのは180cm位のガチムチイケメンで同じ大きさの鷹と共に俺を睨んだ。
『(ムーニン、その人がボクをいじめたんだ、友達になりたかっただけなのに)』
何処からか声がする。音では無く脳に響く様な声が微かに聞こえた。
「何でうさぎ君をいじめるんだ!」
鷹人が俺に詰め寄る、あかん無理無理、こいつには勝てる気がせん。しかし何だこの状況?
いじめ?いやいや俺はただ生き残る為に行動しただけであって……
「うさぎ君に謝るんだ!」
「……ごめんなさい」
『(うん、わかったよ。もう酷い事しないでね)』 この声ってやっぱり一角うさぎなのか、脳に直接語りかける様な声は先程よりもはっきり聞こえた。
どうやら、すまんやで、ええんやで許されたらしい。
「ところで、ボクはムーニン、鷹人族だよ。特技はダンス。君の名前は?」
「(……結構フランクなんだな)俺の名前は耕作、人間だ、特技は……」
「ニンゲン!」
『(ニンゲン!)』
え?アカンかったのか
「君はシンジンなの?」
「シンジン?」
「真人、他の動物が混じってない人族の事だよ」
「うん(答えに気を付けるべきなのかな……?)、多分真人かな」
「大変だ、村長のところに連れてかなきゃ」
え?ヤバイのこれ?取り敢えず殺されるような事は無さそうだけど……
「パゥ!」「キィ!」
舞とうさぎ君、いつの間にか仲良くなってるし。
「おどろいた、舞ちゃんも真人なんだね。舞ちゃんはしゃべれないの?」
「ああ、舞は病気でね、しゃべれないんだ」
「でも念話は少し使えるみたいだね」
「マジで?」
念話?うさぎの使うやつか、それを舞が……?
「舞、ちょっとパパとおしゃべりしよう」
『(嫌)』
今『嫌』って確かに聞こえたぞ。これが舞の声なのか
初めて交わす娘との会話、娘は念話だけどそれでも娘とおしゃべりができた事に思わず涙が出た。
「舞、パパと遊ぼう!」
『(嫌、うさぎとあそぶ)』俺は泣いた。