遭遇
呆然としながら寝間着で立ち上がるが裸足の痛みに現実なのだと気づかされる。
そして分かりたくもないが分かった、舞はここに来たのだと。
舞があの日握りしめていた変な草がそこら辺に生えてるのだ。
舞を探さなきゃ。
「マーイー!舞ちゃーん!パパここだよー!」
大声で叫んだ俺が呼び寄せたのは娘では無く無情にも魔物であった。
――一角うさぎ、確か昔ファミコンで某有名RPGでみた事がある。うさぎに角が生えただけの魔物。
ピョンピョンと近付く一見可愛い魔物はスライムよりは遥かに強かったはずだ。
ここはそういう世界なのか……やっぱり夢じゃないよなあ、そういう妄想はいくらでもしたけどさ。
おっさんでも逃げれそうかなあ、無理っぽいな。ただサイズ的には中型犬よりやや小さい位か。
不思議と落ち着いていたのはまだ現実をただしく認識できていない故かめしれない。
それよりも舞がいるかもしれないのだ、不安で泣いてるかもしれない。
どうにかここを凌いで助けなきゃいけないよな。覚悟を決めろ、耕作。
凶悪な角をした可愛いうさぎが跳ねて来る。その距離3メートル。うさぎも俺みたいなのが珍しいのか観察している様だ。
睨み合いをするがうさぎが一歩踏み出したその時――
「パォ!」
舞の呼ぶ声が聞こえた。 うさぎがビックリして後ろを振り返ったところで飛び込んだ俺の蹴りが炸裂した。
「キィ!」吹っ飛ばされたうさぎが怯える。よし、勝てると思ったその時
「コラー!止めるんだー!」
空から大きな鷹に連れられた人?が近付いてくる。 鷹と人が混じった様な姿をした獣人がそこにいた。