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FullHS  作者: あんのん
9/12

体育祭でドキドキ



その後も各種競技が続き、学級委員の河内やマドカさんが参加する障害物競技の番になった。


河内や他クラス3人が第1走者だ。

スタートの合図で一斉に走り出し、ハードルを4つ超える。

ハードルが終わったら5mの平均台を落ちないように進んでいく。

因みにこの段階で河内は3位になっている。あんまり運動神経は良くないようだ。

その後張り巡らされている網を潜っていく。

そして最後の課題が並べられている4枚のカードから一枚をめくり書いてある物を持ってゴールに走っていく。まぁ借り物競争だ。


河内はどんなものを引いたのだろうか。すごくキョロキョロあたふたしている。

そうするとハッとした様子で職員スペースに走って行き体育の男性教師に頭を下げて一緒にゴールした。

結果はそのまま3位だった。


余談だが、後ほど聞いたらカードには『マッチョ』と書いてあったらしい、、、


そして今度はマドカさんの番になった。

スタートラインに立った時に他の男子が一様に『綺麗』『かわいい』と呟いていた。


スタートの合図とともに走り出した。

1つ、2つとハードルを飛び越えていく。

そして最後のハードル。


あ、脚引っ掛けた。

ハードル倒した。

、、、綺麗にコケた。


先まで呟いていた男子も目を点にさせている。


続いての平均台はゆっくりだが難なくクリア。

そして網くぐりに入った。

長いポニーテールが引っかかるのか、他の人よりスラリと伸びている四肢が邪魔をするのかマドカさんの所だけ異様に網が揺れている。


ようやく網から抜け出したがこの時すでに最下位。

ハードルで転けてしまったのが大きなタイムロスになったんだろう。

先頭はすでにカードを選択している。

そしてようやくマドカさんは最後に残ったカードをめくった。


カードを見るやいな俺たちの団の集合場所へ走ってきた。



「はじめちゃん!!」


えッッ!?呼ばれた??

でもこんな人が多い中でさすがに俺をいつもの愛称で呼ぶわけないよね?

きっとクラスメイトにも同じ名前の人が居たんだよね


そう考えているとマドカさんはズンズンと近づいてきて俺の前まで来た。


「何、呆けてるの。呼んでるんだから来なさいよ」


ほら、行くよ。と手を捕まれ、良くわからないまま一緒にゴールまで走った。

カードを見てから俺を拉致するまでが早かったお陰か二位という好成績になった。


「ありがとう、はじめちゃん。お陰で二位よ」


「いえ、それよりもあの場面で大声で呼ばれると思いませんでしたよ!

無茶苦茶恥ずかしかったんですからね。で、カードにはなんて書いてあるんですか?」


「恥ずかしいから他の人には内緒よ?」

と言いながらマドカさんが目線を反らした。


えッ!?何その反応?

もしかして、好きな人とか、、、?

それとか、カッコいいと思う人とか?


ドキドキしながら受け取ったカードには


『メガネ』


とただ一言書いてあった。


「はじめちゃん、さっきから表情がコロコロ変わって面白いわね。何だと思ったのかしら?」


「…これって俺要りました?呼びに来た時に一言『メガネ貸して』って言ってくれればいいじゃないですか!?そしたら渡したのに!」


「何よ、『メガネは僕のアイデンティティですから』じゃなかったっけ?

どうせ素直に貸してくれないから無駄な時間を短縮する為に内緒にしたのよ。悪い!?」


あの短時間に良く考えてるんだな。と感心したが気持ち的には複雑なままだった。


元いた所に戻ると、恐らくマドカさんのクラスメイトの男子と思われる人からから凄い睨まれてる気がするし、ケントを含め同じクラスメイトにはしばらく『はじめちゃん』と呼ばれ続けた。



そんな一波乱起こした障害物競走が終わると午前中の種目が終了となる。

総合得点は4つの団がある中で俺らの団は二位になっていた。

100mで一位を取れたことで少し貢献できたんだと思うと少し嬉しく思うと共に、マドカさんもアズマも二位を取ったことを考えると文芸部が謎の活躍をしていることに気づいた。


「『はじめちゃーん』メシ食いに行こーぜ!」


「その呼び方やめろって、、、」

ケントと数人のクラスメイトがニヤニヤとしながら呼びに来た。


「マドカさんに呼ばれるのも不本意なんだから」


「まぁまぁメシでも食べながら色々聞かせてもらおうか?」


「何もないからね!揶揄われてるだけだから。てか用事があるから部室で食べるわ。

教室だといろいろうるさいだろうし」


「そっかそっか、『マドカさん』によろしくね」


「ケント!!」と声を上げた。


「変な噂が広まらないように話合わせとくから安心しな」と俺にだけ聞こえるように呟いた。


何このイケメン!?

あまりの衝撃、心のイケメン具合に放心しながらヒラヒラと手を振りながら先に教室にもどるケントの背中を見送った。



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