初部活2
「戻りましたー」
ノックを2つして再度部室に入室した。
「あら、遅かったわね。ナニしてたのかしら」
「何ってトイレに行ってただけですけど」
マドカさんはちょいちょい何を言っているのかわからないことを言う。
「今日は外に行くから準備してくれる?」
「え?文芸部なのに外で活動するんですか?」
「新入部員の入部祝いと入学祝いをかねて外で活動しようかと思って」
「新入部員って俺1人ですよね?」
「まぁ、文芸部なんてこれ以上待っていても他に入部してくれる人なんていないだろうし」
「そうですよね、あんな入部勧誘なんて他にする人いないですよね」
「あら、嫌だったかしら」とマドカさんはクスクスと笑った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「それで、ここは、、、?」
「高校の最寄り駅から二駅。そこからとほ徒歩10分でつく市内屈指のモール。ダイヤモンドシティだけど。初めて来たの?」
と、やたら説明口調で言った。
「ご丁寧に説明ありがとうございます。
いや、そうゆうことでなくて。
入部祝いって言ったからてっきりカラオケとかスポーツキングとかかと思ってました」
ちなみにスポーツキングとは同じ駅の前にある、いろんなスポーツを小規模で色々出来るアミューズメントビルである。
「あら、はじめちゃんは出会って2回目の女の子と個室で2人っきりになったり、こんな格好の女の子と激しい運動をするのが好きなのかしら?」
マドカさんはそう言って制服の短いスカートを両手で摘んで見せた。
「、、、何でもないです。黙ってお供します、、、」
ボンっと顔が赤くなるのを感じて俯いて答える。
「ねぇ、はじめちゃん。この二着どっちがいいかしら?」
胸元が大きく開いたトップスと、可愛らしく刺繍が入ったシャツを両手で持ち、見比べながら聞いてくる。
「、、、女性の服とか選んだことないからわからないっスよ!!」
なぜか女性向けのショップに連れていかれて思わず声を荒げる。
「そう、、、じゃあ両方試着して見るからじっくり選んでね」
今回の選択はどうやらバットルート一直線なようだった、、、
まず試着室から出て来たマドカさんは大胆に胸元が見える服でポーズをとってみせた。
ドキドキしつつもそれを悟られないように「可愛いと思います」と答えた。
次に試着したシャツも首元がはだけ、鎖骨が露出しているためとてもセクシーな印象だった。
心拍数が急上昇してしまって、まともに頭が回らないせいで「良いと思います、、」と思い返してもしょうもない答えをしてしまった。
結果、マドカさんは悩んで両方とも購入していた。
そのあとも入部祝いとは関係ない洋服のショップに入って行ったり、可愛い雑貨の店に入って行ったりして、俺の精神力がゴリゴリと削られて行ったり。
「色々と付き合ってくれてありがとう。おかげて良い買い物ができたわ」
買い物が終わった後、モール内のカフェで一服しながら休憩をしていた。
マドカさんはカフェラテ、俺はアイスコーヒーを注文した。
その際、入部祝いということもあってまどかさんがご馳走してくれた。
「ここのモールがこんな迷宮のように感じたのは初めてですよ」
今日の出来事を冗談っぽく言ってみた。
「あら、経験値が増えて少しは強くなったかしら」
、、、どうやらマドカさんには言葉でも敵わないようだ。
その後グラスが空くまで話をしてカフェを出ることにした。