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不幸な前触れ

2度目の投稿です。

 魔術実技―――その名の通り魔術を実際に使い、術者の技能を測るために行われる教科だが使うのはせいぜい上級魔術程度までで、この『アレスガルド王国国立学園』では出来て当然の魔術ばかりなので大抵の人は手を抜くのだが……。


「よぉうし、魔術測定(とゆう名目の元)思いっきし打っ放すか!」


「「アホか(ですか)!!」」

 とツッコミを入れるフロミアちゃんとライディル


「いくら一年でやる下位魔術でも実戦用の魔術を『お前クラス』の奴がストレス発散用に放ったらどうなるか、分かるよな。」

「大丈夫大丈夫。別に学校が壊れるほど絶大な威力を出せる訳じゃ無えんだし。」

 そうゆう問題かよ…と背後から聞こえる声を無視し実技場に行く燈夜。

「それでは、試験開始!」


「さァて、お題は何かな……ッッッ!!」


 お題は普通その場で抜き打ち制度にして一人ひとり完全なランダムだ。そして、自分が使いたい魔術を使おうと思えば四大属性プラスアルファ光と闇の六属性から、その他十二種程の属性系統の中から一つ選ばれるため狙って当てるのはかなり難しい。


 よって、彼はこの時どうしようもなく不幸であった。


 よりにもよって魔術実技とゆう手は抜けてもサボることが出来ないこの教科で、


 彼は引いてしまったのだ


 彼にとって最悪の記憶の象徴を…


「ハァ、ハァ、ウグッ。」


 息が苦しくなる。呼吸のリズムがおかしくなっていくのが分かる。


「よりにもよって……コイツかよ…。」


 燈夜は苦い顔をした。


 それは、単に今発動しようとしている魔術が発動できないとゆう現状を言っているのではない。

 彼は、今出されたお題の――氷の魔術が自分の課題として組み込まれないよう細工していたのにも関わらず、使わなければならない情況に置かれてしまった事に焦っていた。


 それは、誰にも知られてはいけない秘密がバレてしまったという事だからだ。


「ハァ、ハァ…ッッッ!!」

 必死に制御しようとすればする程身体を蝕んで行くのが分かる。


 有りもしない叫び声が幻聴として響く


 くらい地下室、既に肉塊となった何か。過去の記憶が頭の中を映像の様に駆け巡った。


「?」

 周りの人も初めこそ気にしなかったが、燈夜の苦しげな表情と...何故か先程から押し寄せる正体不明の悪寒に、ただ事ではないと言うのを感じたんだろう。すぐ近くの教員に呼び掛ける。が、それは燈夜を止めるためのものでは無かった。

 

「先生、何ですか…あれは本当に下位術式で生み出せる氷なんですか!!!」


  ――――――――――


(クソッ。なんで...、なんでこんな時に限ってこんなに制御が出来ねえんだよ!)


 この授業で使う予定の氷の術式は子供の作れる氷のサイズをベースに、北欧や十字教とギリシャの比較的簡単な解釈に元ずいて術式を構築、変換するためどれだけ強力な魔術師……1部の例外を除くとこのようなサイズにはならない。


 ましてや、民家よりも巨大な氷を一年が下位術式で構築したなどあるはずがないのだ。



「どういう事ですか……そんな…それは、その力は……。」



 その時ふと透き通るような声が後方から聞こえた。と、その時同じ方からまた同じ声が聞こえた。

 

「『その火焰、立ちはだかる者を焼き尽くせ。』」


 その時、民家を軽く凌駕するサイズの氷に魔術...しかもかなり巨大な炎の塊がいくつも分離しながら四方八方に襲いかかった。


「普通、この術式は市販の物をベースに使っているため、この様な超巨大な氷の結晶を作ることは出来無いはず...。だが、それにも例外が在る。」

 そして、透き通るような声の持ち主は少し間を置いて聞いてきた。


「あなた、――――――」




 そして、件の少年左氷燈夜はかなり焦っていた。

(マズイ、コイツかなり出来る。階級は分からねぇがかなり上か…。王族?いや違うか。とにかくこいつ俺の正体にきずい「あなた、氷の魔術が全くできないんじゃないんですか!!?」



 …………………………………………は?



 コイツハナニヲイッテイル?


「何も言い返せないあたり図星でしょう!」


「………………………………………………………………………………………。」


 どうゆう事だ?


「しかもあなた、魔力の量はとんでもない人なんでしょ!!!だからこうなったのね。ナルホド...」


 おいちょっと待て、勝手に納得するな。

(まてまて待て、コイツ馬鹿なのか?いや馬鹿だ。なんで魔力の量だけで説明出来るどう考えても無茶だろ!!)


 そう言えば北欧系統の方には魔力の底上げが可能な宝具があったなぁ。確か名前は……と思想に更けて現実逃避気味な燈夜に暫定アレスガルド貴族(?)第一位の金髪馬鹿少女はとんでもない事を言い始めた。


「よし決めた!」


 ……何を?


 背中に嫌な汗が滑る。そしてこの時、燈夜はある直感が本能にこう働きかけた。

(あれ、俺結構めんどくさい事になるんじゃね?)


 奇しくもその直感は当たることになった。


「私が、貴方に稽古付けてあげる。」


 ………………帰りたい……。


「だって次からもこんな事があったら大変でしょ。アレスガルドを治める貴族の端くれとしてこの国の民を導いてやる!!!」

 うぉぉヤルぞーと叫んでいるが燈夜の内心は、

 ヤバい、超帰りたい。


 その願いはどんどん膨らんでいったが左氷燈夜は願うだけの男じゃなかった。


「気持ちは嬉しいけどそれは出来ないよ。だってその――狼と蛇と炎の大地に荒れる海の絵柄……ラグナロクの腕章はかなりの上級階級しか付けられないはずだよ、それに俺は地球出身だ、この国の民じゃない、貴女がそこまでする必要は無い。それに氷以外なら 」


 ……文句無しの正論、これなら流石に引いてくれるだろう。……と、その時ある違和感にきずいた。


 …………????…………。


 ここに来ておかしな事にやっと...やっときずいた。


(あれ?何でこんなにみんな静かなんだ?)


 周りを見渡すと皆、唖然とする者や口をパクつかせるもので溢れかえっていたあのフロリスやライディルさえも同じ様にして……。


(あ、あれれ?皆さんさっきまで俺のせいであたふたしてましたよね?)


 いくらここの生徒が優秀だからと言ってここまで静かになることは無いはず。ましてや教師までもがこうなるとはおかしい。とまで考えたがその時燈夜は気付いた。


(おお、おかしいな背中の汗が止まらない。)


 それと同時に目の前の少女に変化が起きた。


「プ、あはははははははははははははははは!!!!」

 透き通るような気品の中にも年相応の少し幼い声から貴族とは到底思えない笑い声が響いた。


「いやー面白すぎ、そう言えば自己紹介、してなかったよね。名前は?」


「俺から?」

「当たり前じゃない。名前を聞く時はまず自分から名乗るものよ。」

 即答だった。そして聞いてきたのはそっちだろと思ったが言ったらめんどくさそうなのでスルーして

「……左氷燈夜……これでいいか?」

 半ば投げやりに言ったがよく良く考えれば相手は一応、上級階級なんだし不敬罪とかないよな?

「サヒョウトウヤ?……左氷…燈夜……か、なかなか珍しい名前じゃない地球出身でも聞いたことないわね……」


「まぁ、当たり前だろうな……。」


「何か言った?」


「別に、と言うかお前こそ誰だよ!」


「ごめんごめん、忘れてた。……貴方結構面白い。」


 はいはい分かりましたよ、と言いかけたところで誰かに髪を思いっきり引っ張られた。ライディルだ、

(てぇメェ今誰と話しているのか分かってんのか!!)

(だからそれを聞こうとしてるんだろうが!!)


「おーい、そこの2人。レディに名前聞いといてその聞き方はないだろ。」


 その時だった、


「お〜い、お嬢そこに居たんですか〜。」

 どこかボンヤリとした締りのない声が聞こえた。

次回の投稿は少し時間がかかると思います。コメントお願いします。

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