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掌編小説集6 (251話~300話)

魔法のポケット

作者: 蹴沢缶九郎

おやつの時間、弟が兄に言った。


「お兄ちゃん、僕のポケットはね、魔法のポケットなんだ。だからビスケットを入れてポケットを叩くとビスケットが増えるんだよ」


弟の言葉に、兄は笑いながら言う。


「それはビスケットが増えているんじゃなくて、ただビスケットが二つに割れただけさ」


しかしその説明に納得のいかない弟は、


「嘘じゃないよ、見てて」


と、おやつのビスケットをポケットに入れて叩き、確かに二つに増えたビスケットを取り出して見せた。


「ほらね」


「わ、本当だ」


兄は目の前で起こった不思議な現象に驚き、しばらく何かを考えた後、


「ちょっと待ってて…」


と、自室からおこづかいの百円玉を持ってきて頼んだ。


「これをポケットに入れて叩いてよ」


「ううん、しょうがないなあ…」


弟は渋々兄の百円をポケットに入れて叩く。しかしポケットから出てきたのは二百円でも百円でもなく、半額となった五十円玉。


「こういうのはダメみたいだね」


結果にがっかりする兄に弟は、


「お兄ちゃん元気出して」


と、増えたビスケットを渡した。

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― 新着の感想 ―
[一言] 弟くんの優しさにほっこりさせていただきました(*^^*) 世の中そう上手くいかないけれど、希望も感じます。 でも、もしかしたら純粋無垢な子にだけ魔法が発動するポケットなのかもしれませんね(笑…
2016/08/06 19:45 退会済み
管理
[一言] 懐かしい。ビスケットが増えるところは、歌のお姉さんが歌ってました ^^)
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