#03「家庭」
オレと早苗はなぜか婚姻届なる物を役場に持っていき晴れて夫婦となった。
そして、21という若さで子供まで授かった。
少年の名前は
「エヴァ」
。なぜこんな日本人離れした名前になってしまったのか…今でも理解できない。
たぶん、その様な手続きがオレの知らないウチに行われていたのだろう。
「なぁ、早苗…」
「何?あなた。」
早くも適応している所が早苗の凄い所だろう。
「エヴァの事なんだけど…」
「どうしたのよ改まった顔して。もしかして…」
早苗の妄想回路が働かないウチにオレは切り出した。
「アイツ、天使なんだよなぁ」
「そうよ…今更何言ってんの」
「ホントに?」
なぜか早苗は目を泳がしている。
オレは、あることに気付いた。天使というのは、たぶん愛を運ぶ者だ。
そして、オレ達は結婚した。
最初はエヴァが本当に天使だという可能性も考えた。
しかし、あまりにも早苗は準備が良すぎる。
「これ、全部お前が仕組んだのか早苗?」
できるだけ真剣な顔で早苗を問いつめる。
「そうだとしたら?離婚?民事訴訟?」
「いや、まぁ…。」
オレは上手く言えなかった、早苗の事は好きだったし夫婦になれたのは正直に嬉しかった。
「それは困る…民事訴訟は…」
離婚は…とは言えない。
全て陰謀だとしても、そうじゃないとしてもオレは幸せだと思う。
「エヴァ、葱残しちゃだめよ!!」
早苗はそれなりに様になっている。オレはどうだろうか…。
「そうだぞエヴァ、葱は体に良いんだ、いっぱい食えよ。」
豆腐に箸を突き刺して、オレ達はぎこちない夫婦生活と頼りない子育てをスタートさせた。




