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第一章「異動命令」

この作品は誤字脱字の判別、また、時代にそぐわないオーバーテクノロジーを出さないように、AIを用いています。何卒ご容赦ください

 1908年4月 フランス帝国 帝都パリ 総参謀本部長私室


 「ジャン・モロー陸軍大尉、貴官を帝国陸軍南部作戦本部副部長に任ずる。」

 

 昼下がり、参謀本部長――オーギュスト・ド・ロランが言い終えると、部屋は沈黙で満たされる。やがてモローはただ一言だけ呟いた。

 

「これは……左遷ですか。」

 

 ロランは鼻で笑い、椅子を回転させ背を向ける。椅子の軋む音が部屋に響いた。

 

「好きなように思えば良い。どれだけ意見しようが、これは参謀本部高官の中で決定された事項だ。変えることはできんよ。」

 

「……失礼しました。」

 

 敬礼をしたのち、任命書をもって部屋を出る。正直心当たりはあった。

 

 数日前の会議では皇帝ナポレオン四世がお見えになっていた。そこでのロランの作戦計画に異議を申し立ててしまった。今でもよく覚えている。将来的に再び矛を交えることになるであろうプロイセン王国への作戦は、今でも詭弁だったように思える。兵力も、兵站も、地形による防衛戦術も、何もかも具体性に欠ける。はっきり言って理想論でしかなかった。

 

 そこを熾烈に指摘してしまったことが彼のプライドを傷つけてたのは、その場に出席していたどの将校の目にも明らかであった。

 

 「はぁ……もう少し建設的な議論をすればマシになるというのに……いつから総合参謀本部はこんなにも質が落ちたのか、これがプロイセン王国に勝ったなど到底信じられないな。」

 

 カバンをもって建物を出る。パリの町並みは豪華絢爛の様相を呈している。行き交う馬車、子どもたちの笑い声、道行く人々。だがどこか静かだ。おそらく国民も、次の戦争が近いことを薄々察しているのだろう。

 

「リヨンまで出してくれ」

 

 道路で止まっていた車の運転手にそう伝えてパリの街を出る。車のエンジンは低く唸り声をあげ、エッフェル塔は遠ざかっていった。モローは車内でもう一度あの任命書を開いた。

 

「南部作戦本部……」

 

 プロイセンとの戦争を考えれば完全に蚊帳の外……だがしかし、モローは別の見解を有していた。

 

「次の戦いは間違いなく人類史史上最大の戦争になるだろう……」

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