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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

【2chヒトコワまとめ】【投稿者キチ】追放した聖者が戻って来ない

掲載日:2025/12/30


1:アンハッピーガール 2024/10/30(水)14:15:31.61 ID:a7Hj9Kf2L


よろしくお願いします。相談したくて、スレ立て? というのをやってみました。本来なら半年ロムるのが作法だそうですが、半年は待てないので失礼します。


相談したいのは、追放した聖者をどうすれば戻せるのかです。


2:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)14:39:21.40 ID:P3xL8vB0q


え。追放したんだろ?

何で戻す必要があるのか、全然わからない。

もっと詳しく説明してくれ。



3:アンハッピーガール 2024/10/30(水)14:40:20.11 ID:a7Hj9Kf2L


反応ありがとうございます! 私は勇者セリーナと言います。古代の勇者様が残したスマホというアーティファクトを使って、音声入力? とやらでこちらに書き込みをしています。

無事に翻訳されていると良いのですが…古代の勇者様を信じましょう。


4:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)15:11:02.30 ID:P3xL8vB0q


セリーナは本名なのか?

そこはアンハッピーガールで良いぞ。


5:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)15:12:10.15 ID:Z1mT5sQ4y


セリーナちゃん、まじで勇者なの?

女勇者きた!えろ!


6:アンハッピーガール 2024/10/30(水)15:13:17.18 ID:a7Hj9Kf2L


はい! 先々月に魔王を倒した勇者本人です。あ、これって身バレしちゃってますか?

さすがに私が誰だかわかっちゃいますよね。どうしよう…


7:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)15:13:20.11 ID:Z1mT5sQ4y


全然わかんないから、スリーサイズ教えて!


8:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)15:14:00.05 ID:P3xL8vB0q


>7 落ち着け。スレ違いだ。出会いは異世界美女との合コンへ行け。


>アンハッピーガール

大丈夫、全然わからん。


9:アンハッピーガール 2024/10/30(水)15:15:01.10 ID:a7Hj9Kf2L


やっぱり本当にそうなんですね?

古代の勇者様の故郷、ニッホーンは魔王が二度と復活しない楽園だと聞いております。

ぶっちゃけ信じてなかったんですけど。

魔素が無いため、魔法も無く、その代わりニッホーンの叡智が集う、にちゃんという集会場があるのですよね!

勇者様の日記に書いてありました。


10:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)15:15:20.21 ID:Z1mT5sQ4y


セリーナちゃん、何歳?

女の子でOKだよね?

ニッホーンの若い男には興味あるかな?俺34だけど、全然若いよ。

頭の中身、小学生くらいで止まっているし!

デートしない?


11:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)15:15:33.02 ID:P3xL8vB0q


>10 止 め ろ。合コン板へ行けよ。


>アンハッピーガール

身バレしないから、詳しく最初から書いてくれ。

何もわからなければ相談に乗れない。


12:アンハッピーガール 2024/10/30(水)15:30:55.30 ID:a7Hj9Kf2L


改めまして。私の名前はセリーナ。

17歳で、女勇者をしています。

ご存じかと思うんですけど、基本的に私たちの世界では6歳の時のスキル選択、職業選択の神託で判明します。それで私もリオンもそれぞれ勇者と聖者に選ばれました。

勇者は世界で1人産まれると死ぬまで産まれません。聖者は今まで産まれたことが無い職業で、たぶん神官の最上位職だと思います。

基本的に農民の子は農民、宿屋の子は宿屋と、親の職業スキルと同じになることが多いですね。職業スキルが判明してから、それぞれ見習い仕事を始めるんです。

でもリオンは、普通の平民の子だったんです。しかもスラム寄りの日雇い平民の子どもだったんですよ! あり得ないですよね!


13:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)15:31:22.02 ID:Z1mT5sQ4y


>11

うるせー! あっちは金目当てのスレた女ばっかりだっつーの!

慣れてない子が良いんだよ。


14:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)15:31:52.02 ID:Z1mT5sQ4y


じゃあセリーナちゃんは勇者の子ってこと?

あのさ、神官って結婚しちゃダメなイメージだけど、結婚オッケー?


15:アンハッピーガール 2024/10/30(水)15:32:13.10 ID:a7Hj9Kf2L


いえ、違います。先代勇者は別の家系からでました。あ、勇者は建国から存在する高位貴族の家系から産まれることが多いんです。平民よりも貴族のほうが魔力が高いので。

あと神官は結婚しても大丈夫です。うーん説明が難しいんですけど、平民って魔力が低いじゃないですか? それに知識も教養も無いし職業の幅も無いですよね。

でも私たち貴族は小さい頃からたくさん勉強しますし、結構細かく職が選択できるように練習するんです。練習していたほうが、そのスキルを授かりやすくなりますし、複数授かる場合もありますから。


16:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)15:35:13.02 ID:P3xL8vB0q


じゃあアンハッピーガール、いやもうセリーナでいいか。

セリーナは17歳の貴族のお姫様で勇者、リオンって子が平民で聖者って職業なんだな?


6歳で職業が決まって、11年。先月、魔王討伐したってことか。


17:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)15:35:40.13 ID:Z1mT5sQ4y


リオンちゃんって女の子?

何歳?

スリーサイズは?


18:アンハッピーガール 2024/10/30(水)15:47:22.11 ID:a7Hj9Kf2L


リオンは男です。私と同じ17歳です。スリーサイズ? はよくわかりません。上手く翻訳できてないみたいで3つの測定値というのの意味がよくわかりませんでした。残存生命力値、魔力値、体力値、精神汚染度などの数値は、教会で測らないと分かりませんし、プライベートのことは答えられません。


えぇと、話を続けますね。私のような特別な職業を授かった者は、王城での生活が始まります。当代の魔王討伐隊を結成し共同生活を行い、来たるべき日に備えるのです。


ちなみに当代の魔王討伐隊は私が勇者でリーダーを務め、前衛の戦士ハーヴィ、魔法使いロロア、僧侶でなく聖者のリオン、盗賊のエンディ、弓矢のナンシーの6名でした。


それでリオンも平民のくせに王城で私たちと一緒に生活し、魔王討伐隊に加えられることになったのです。身分不相応だからと辞退すればいいものを! 本当に信じられませんよね。


19:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)15:51:23.12 ID:P3xL8vB0q


色々つっこみたいところはあるが、まずいい。

それで先々月に魔王を倒したんだよな?

魔王討伐隊の任務は完了したんだろ?

メンバーは解散するんじゃないのか?


20:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)15:51:23.19 ID:Z1mT5sQ4y


まさか聖者のリオンってやつ以外は女の子って言わないよな?

みんな17歳か?

まさかリオンってやつ、そんなハーレム状態で共同生活してたとか?

許せねぇ!


21:アンハッピーガール 2024/10/30(水)15:52:12.31 ID:a7Hj9Kf2L


王のハーレムとは違いますが、聖者のリオン以外はみんな女の子です。


私は魔王を倒したその場でリオンを追放したんです。

もう不要だし、討伐が終われば解散するのが通例ですから。平民のくせに私達と同じ扱いなんておかしいですし。



22:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)16:00:11.30 ID:P3xL8vB0q


……言いたいことは色々あるが、それでセリーナはリオンに戻ってきてほしいんだよな?

追放したことを申し訳なく思って、後悔しているのか?


23:アンハッピーガール 2024/10/30(水)16:02:00.01 ID:a7Hj9Kf2L


後悔? え、後悔は特にしてなくて。あーでも王様とか偉い人たちに怒られてしまったのは本当に大変だったんです。後悔というより、なんで私が怒られなきゃいけないのって怒りがあります。それにやっぱりいないと不便で困っているんです。


24:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)16:02:10.37 ID:P3xL8vB0q


んん? よくわからないぞ。そもそもなんで王様に怒られる?

不便ってどういうことだ?

なんで追放した相手に戻ってきて欲しいんだ?


25:アンハッピーガール 2024/10/30(水)16:02:28.09 ID:a7Hj9Kf2L


ええと、まず追放するタイミングが早過ぎちゃったみたいなんです。

本当は全ての式典が終わって、討伐隊全員での神殿への報告と魔王の魔石の奉納が済んでからじゃないと駄目だったみたいなんです。

それで何度も戻るように頼んでいるのに、戻って来なくて困っているんです。

周りはとりあえず謝れって言うんですが…


26:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)16:03:23.39 ID:Z1mT5sQ4y


へーじゃあさ、まだ式典があるから来てくれって言えば済む話じゃね?

謝る必要あんの?


27:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)16:04:40.32 ID:P3xL8vB0q


>26 そりゃ、身分差なんて言う本人にどうしようもない理由で追放したんだぞ。

謝るのが筋だろ?


28:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)16:05:13.19 ID:Z1mT5sQ4y


そうか? その程度なら謝らなくてもいいんじゃねって思うが。


29:アンハッピーガール 2024/10/30(水)16:06:38.22 ID:a7Hj9Kf2L


はい! そうなんです。平民を追放しただけのことですから。


30:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)16:07:00.01 ID:d9Wb2Yp6C


今北産業


31:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)16:08:21.11 ID:P3xL8vB0q


>30

相談者:アンハッピーガール=セリーナ 

職業:勇者

相談内容:追放した仲間を呼び戻したい


>セリーナ

これで合っているな?


32:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)16:09:00.21 ID:d9Wb2Yp6C


>31 さんきゅーわかりやすかった!

じゃあ戻って来てくれっていえば終わりじゃね?



33:アンハッピーガール 2024/10/30(水)16:10:00.01 ID:a7Hj9Kf2L


終わりじゃないです。

実はなんどか戻ってくるように連絡したんですが、「式典には都合をつけて参加しますが……平民出の聖者、いらないのでしたよね。今後はお気遣いなくお過ごしください」って毎回ふざけた返事が来るんです。


それで周りが私に謝るように言うんです。でも絶対私は謝りたくなくて。

だって私は悪くないし、追放した理由だって真っ当なものですから。


34:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)16:07:11.33 ID:P3xL8vB0q


悪いが俺は、聖者が平民だという理由は真っ当なものに思えないし、周りが謝れというのも当然だと思うが…ただ確認しておきたいのだが、周りも追放に賛成したんだろ?

なんで、セリーナだけが謝るんだ?

謝るのなら全員で、が筋だと思うんだが。


35:アンハッピーガール 2024/10/30(水)16:12:00.01 ID:a7Hj9Kf2L


ええと、古代の勇者様の世界、ニッホーンは身分差がない稀有なところだと伺っております。でもこちらは違います。身分差があることは当たり前で、それまで魔王討伐隊は貴族の責務でしたし、平民が参加することは今まで一度も無かったんです。

ですから、身分差を理由にした追放はおかしいことでは無いんです。

確かに私だけが謝るというのはおかしいですよね!

リーダーだからって言われてましたが、謝るのはみんな一緒に、ですよね!

リオン以外のメンバーは全員高位貴族なので、理由を付けて平民に謝りたくないんです。

それで全部の責任を私に押し付けているんです。


36:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)16:18:01.02 ID:d9Wb2Yp6C


んーそんなに謝りたくないなら金を積んだらどうだ?

ていうか式典に参加してくれるなら、その後追放したっていいんだろ?

てかさ、命令ってことにしたらいいじゃん。そんだけ身分差がある世界なら平民は断れないだろ。



37:アンハッピーガール 2024/10/30(水)16:19:10.11 ID:a7Hj9Kf2L


え、お金とか払いたくないです。


魔王討伐隊なんて栄誉ある地位にはふさわしくありませんし、追放されて当然です。

むしろ今までのことを感謝して、今度は私の下僕として使えるべきではないかと思うんです。



38:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)16:20:10.20 ID:d9Wb2Yp6C


はあ????

ちょっと待て、どうしてそうなる?


39:アンハッピーガール 2024/10/30(水)16:21:11.11 ID:a7Hj9Kf2L


だって平民ですよ?

貴族に仕えて当然でしょう。

王族との婚姻なんて絶対に認めません。


40:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)16:21:23.19 ID:Z1mT5sQ4y


こわっ!!

まじかよ。セリーナちゃんまじで言ってる?

これって異世界のバリバリ身分差社会じゃ当たり前の感覚?!

引くわー!


40:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)16:23:21.33 ID:P3xL8vB0q


>セリーナ

悪いが、俺もドン引きだ。

というより話が変わってきている気がする。王族との婚姻って何のことだ?


41:アンハッピーガール 2024/10/30(水)16:24:11.11 ID:a7Hj9Kf2L


リオンは魔王討伐隊に入隊が決まった時、騎士になることが王命で決まりました。そして魔王討伐の褒美として、叙爵が決まっています。王様はリオンを血脈に取り込もうと、第十六王女との婚姻を考えています。

私は元平民が高貴な王女と結婚するなんて認められませんし、あの男は私の下僕として生涯仕えるべきなんです。


44:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)16:26:23.35 ID:Z1mT5sQ4y


は? 16? 16番目ってこと?


45:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)16:27:13.29 ID:Z1mT5sQ4y


王様はずいぶんとお盛んじゃん!


46:アンハッピーガール 2024/10/30(水)16:28:13.51 ID:a7Hj9Kf2L


そうですね。古代の勇者様に次いで、精力的ですわ。


47:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)16:28:50.30 ID:Z1mT5sQ4y


古代の勇者やば! 羨ましぬ!


48:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)16:29:11.35 ID:P3xL8vB0q


元は平民だが、現在は貴族で、つまり現状、聖者にお願いして戻ってきてもらうしかないのか。

ちなみにセリーナは追放した理由だが本当に平民というだけか?

聖者が頑なに戻るのを拒むのは、何かもっと他に原因がありそうな気がしてならないんだが。しかも聖者は平民出身とはいえ、今では一応貴族だろう?

それなのに、同等の貴族扱いはしていない。違うか?


49:アンハッピーガール 2024/10/30(水)16:30:12.11 ID:a7Hj9Kf

だって元平民ですよ?


50:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)16:31:12.46 ID:P3xL8vB0q


そうだな。だが今は貴族なんだろ?

さっきからセリーナは聖者が自分の下僕になるべきって言っているが、もしかして今までも平民だというのを理由にこき使って来たんじゃないか?


式典に出た後、正式にお役御免にすればいいものを、下僕にしたいと話が変わってきているぞ。


51:アンハッピーガール 2024/10/30(水)16:36:23.11 ID:a7Hj9Kf2L


それは……はい。正直に言えば、ずっと一緒に暮らしていて、大変便利だったことは認めます。追放して初めて気づきましたが、私もほかの魔王討伐隊の隊員も、リオンにいろんなことをやってもらっていました。その便利な生活が失われたのは、すごく不便です。

あ。そうだ!

いっそのこと爵位を返上させたらいいんです!

貴族として同等の立場じゃなく、下僕として一生そばに居させたら問題解決です!


52:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)16:38:50.30 ID:Z1mT5sQ4y


セリーナちゃんってサイコパスなの?

メンヘラちゃん?

なんかさいしょっからそこはかとなくやばさを感じてたけど、こわっ!


52:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)16:39:11.35 ID:P3xL8vB0q


ちょっと待つんだ。

今まで聖者に何をさせてきたんだ?

具体的に教えてくれ。


53:アンハッピーガール 2024/10/30(水)16:42:15.52 ID:a7Hj9Kf2L


えっ? それはこまごまとした些細なことです。

でもまあ長年一緒に暮らしてきたので、気心が知れていましたし、慣れもあって上手だったので便利だったんです。


54:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)16:40:00.21ID:V7rJ1kM8z32


呆れた。

流れを追って見てたけど、あなたって平民出の聖者に色々させてきたってことでしょ?

人に対して便利とか、そういう表現をするのって信じられない。


55:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)16:43:14.32 ID:P3xL8vB0q


>53それじゃいまいちわからん。

聖者は男で、セリーナは女だろ?

便利ってその、夜のこととか、言えないことなのか?


55:アンハッピーガール 2024/10/30(水)16:44:15.53 ID:a7Hj9Kf2L


はぁ?! 違いますよ!

とんだ侮辱です!

もういいです、わかりました!

古代の勇者様の魔道具を使います!

皆様にリオンの側から見た一部始終を見せますから!

それを見れば私の言っている意味がよく理解できると思いますわ。


56:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)16:46:11.22 ID:P3xL8vB0q


お、おい。何をする気だ?

見せるって見せられないだろ?


57:アンハッピーガール 2024/10/30(水)16:48:21.34 ID:a7Hj9Kf2L


いいえ。古代の勇者様の創造物「映画っぽく事実を映し出すクン」を使えば、お伝えしたいことが客観的に見れるんです。とんでもなく魔力を使うので、私のような勇者や高位貴族が何人も集まらないと映し出せませんが……

私の貞操を証明するためにはこれが必要です!

……そうですね。追放直後からお見せしましょう!



*****


 それぞれのパソコンの画面が鋭い光を放った。

暗転し、さながら映画のように荒廃した城と美しい女性の顔が映し出される。


*****


「あんたを魔王討伐隊から追放するわ!」


 魔王を討伐したその場で聖者リオンは、アンハッピーガール、もとい勇者セリーナから討伐隊の追放を宣言されたのだ。


「だいたいあんたは平民で、回復しか能がないくせに討伐隊のメンバーなんて図々しかったのよ! もうあんたは用済みよ。討伐隊に残りたくて、泣いてしがみついても遅いんだからね!」

 

「あ、あありがとうございますー!!!!」


 セリーナの憎々し気な言葉にかぶせるように、リオンは普段とはくらべものにならないくらいの大声で礼を言い、かつてない速さで荷造りを始めた。セリーナも他の隊員も呆気にとられながらその様子を見守る。


「ではこれにて僕はおいとましますね! いやー僕も平民出だし、討伐隊には必要ないと思ってたんです。魔王も討伐しましたしね! 爵位も返上しまして、今後は田舎でのんびり暮らして一生表舞台に立ちませんでのでご安心ください!」

「あ、うん…消えてくれる?」


 リオンは満面の笑みを浮かべ、おっとりとしたいつもの口調の2倍速でまくし立る。そしてセリーナや他の隊員から、ルンルン気分で追放されたのだ。


*****


 また暗転して過去の画像が表示される。幼い少年が石造りの建物の中で、たくさんの大人に囲まれる画像だ。


*****


 リオン、6歳。神殿での職業スキル判定で聖者に認定され、親元からほぼ強制的に神殿へと拉致られたところだった。


 神殿の一室でリオンはたくさんの神官に囲まれ、怒涛の説明を受けた。


「聖者は建国史上初の職業です。あなたは平民の身に余る幸運を受けたのです」


 喜色満面の神官に対し、リオンは不安げな表情を浮かべ今にも泣きそうだった。突然のことで、リオンは半分も理解できなかったし、どうやら自分はこのまま親から離され、ここに監禁され死ぬまで神官と一緒に働かなければいけないらしい、とおぼろげながらにわかった瞬間、脳が理解することを拒否した。辛すぎて涙も出ない。


「帰りたいんです。僕、帰りたい」


 リオンの小さなつぶやきは神官たちに黙殺された。絶望したリオンがぼそっとつぶやいた言葉に、若い女性の神官が笑顔で圧をかける。


「いいですか。あなたは聖者として神と国に感謝し、一生を捧げるのです。一緒に祈りましょう」

「少年、君は素晴らしい幸運に恵まれたんだ。なんて親孝行な子どもだろう」


 延々と続く、神官たちのありがたいお話に、リオンはついに根負けする。どのみちリオンに拒否権は無いのだ。


 こうして始まったリオンの聖者としての日々は、しばらくは神官としての修業の日々だった。状況が変わったのはそれから半月ほど経ち、今世の勇者セリーナたちが貴族の職業スキルの儀式で判明した時だ。


「喜んでください! あなたは名誉ある魔王討伐隊の一員として選ばれました!

これからは神殿ではなく王城で暮らせるのですよ!」


 若い神官が興奮気味に話すが、リオンは何が名誉なのかさっぱりわからなかった。しかしそれはリオンにとって救いとなった。


 それまでの両親から離れ、石造りの何もない質素な部屋に監禁され、パンと水程度の粗食を与えられ、神への祈りだけを強要される地獄の日々から、それなりに豪華で温かい寝具のある部屋でそれなりに栄養バランスの取れた食事を与えられるようになったことで、身体的な苦痛は解消できた。ただ精神的な寂しさはどうにもならなかった。



*****


 暗転して、屋外の練習場のような場所に、少し成長したリオンとセリーナ、ほかに数人の女の子がいる場面が映る。リオンとセリーナの前には、子猫ほどのサイズの血まみれのかたまりがあった。グレーの毛をした角のあるウサギだった。


*****


「ほらリオン! 早く聖者の魔法を使って見せてよ。早くしないと死ぬわよ」

「で、出来ません」


 半泣きの少年リオンが女の子からウサギをかばう。


「ねぇ。それは魔獣なのよ? 魔獣を治療させるつもり?」

「ロロアの言う通りだ。それは死んでもいい練習台なんだぞ」


 長いローブを着た黒髪の女の子が、杖に魔力をバチバチとまとわせながらウサギを指す。

鎧を着た背の高い女の子がつまらなそうに少年を促した。


「出来ないんです」


 リオンはホロホロと涙をこぼす。リオンはこの時まで聖者の力が発現せず、次第に邪険に扱われるようになっていたのだ。


「あんたねぇ、じゃあなんでそんな魔獣拾って来たのよ! 練習するためじゃないの?!」


 セリーナが少年を一喝し、リオンはびくっとすくんだ。


「ぼ、僕は巻き添えになったこの子を助けたかっただけです」


 リオンは怯えながらも、セリーナに言い返す。


「は? 助けたかったってあんた聖者の魔法を使えないじゃない! そんな包帯巻いたところで、そいつは致命傷。助かるはずないじゃない」

「僕だって、聖者の魔法を使いたいんです。でも使えないんです」

「それはあんたの根性が足りないからよ。ねぇみんなそうでしょ? ハーヴィはどう思う? スキル取得と同時に魔法が使えるようになったわよねぇ」


 セリーナがすぐそばに居た前衛役のハーヴィに話を振った。


「ああ。そういうもんだからな。使えないなんておかしいだろ」


 ハーヴィはリオンを軽蔑するように睨んだ。他の女の子たちも、リオンを冷たい目で見つめている。


「そう、おかしいのよ。あんたが不正して聖者を名乗らない限り、本当は聖者の魔法が使えるはずなのにね。これどういうことかしら?」

「僕だって、わからないです」


 リオンは聖者の判定を受けたものの、聖者固有の魔法が何一つ使えなかった。そもそも史上初の職業であり、なんの文献も先人も存在しない。リオンを導く先達は居ないのだ。リオンは、神官としての修業をしていたが、神官としての治癒魔法も、聖魔法も何も使えないまま、数年が経過していた。そのためリオンが聖者などという職業ではなく、何らかの不正を行ったというウワサが流れ出したのだ。


 セリーナをはじめとする魔王討伐隊の女の子たちは、修行と称し、リオンをいじめ、日頃の憂さ晴らしをした。


「泣くんじゃねぇ! うざいんだよ」

「っ!」


 ハーヴィが近くにあった小石を蹴った。小石はリオンのこめかみにあたり、血が滴り出す。誰もリオンを助けるものは居ない。


「ほらやってみなさいよ。私も手伝ってあげるわ。……ウィンド!」


 魔法使いのロロアがリオンに向かって風の魔法を放つ。リオンの左の脇腹の服が切れ、じんわりと血がにじんだ。


「じゃあ、私は魔獣を狙おうかな」


 ナンシーが弓矢を構える。


「も、もう止めてください! 罪のない命を奪わないで!」


 リオンが叫ぶのと同時に、リオンを中心に風が巻き上がり、光が放たれ、あたりが白く染まった。


*****


 場面が変わり、石造りの建物の中を歩くリオンと、その後をちょこちょことついていくグレーの毛をした角ウサギが映る。


*****


 先ほどよりもやや成長したリオンが入っていったのは、重傷者ばかりいる救護室だった。広い部屋には、血がにじむ包帯がまかれ、うめき声をあげている兵士たちが簡素なベッドに横たわっていたのだ。血と汗の饐えた匂いがする。魔王討伐隊の他のメンバーが修業や貴族としての交流に力を入れている陰で、リオンは戦場から戻ってきた戦士たちを癒やしたり、時には激戦区へ行き、その場で治癒する仕事をしていたのだ。


「さ、聖者様、患者を癒してください」


 若い神官が、リオンを迎えると、こともなげに言った。


「はい、わかりました」


 リオンは小さくため息をつき、ゆっくりと両手を上げた。


「エリアヒール」


 リオンを中心に光が放たれ、複雑な緑の魔法陣が浮かび上がる。魔法陣に入った重傷者たちがが次々と治っていく。


「リオン様! ありがとうございます」

「これでまた戦えます!」


 寝かされていた兵たちが口々に感謝の言葉を述べる。普通なら喜ばしい瞬間なのだろうが、リオンの顔は浮かない。


「いえ、あの、癒しが間に合わないこともあるので、怪我をしないように気を付けてくださ

い。無茶をするのは心配なんです」

「聖者様……! いえ、聖者様のためにも平和な世を作るために、頑張ります!」


 その場に居た者たちが感激したように言ったが、リオンはただ苦笑した。実は以前から、リオンは癒しが間に合わなかった遺族や戦友から、責められることが多々あったのだ。お前が間に合わなかったせいだと。怒りのやり場が無く、身分の低いリオンに八つ当たりしたかった、というのが多くの者たちの心情だった。


 リオンは残された者たちの気持ちもわかったし、戦いに赴く者の気持ちもわかった。どこまでも優しい、清い心の持ち主だったのだ。


(僕が力をつければ。もっとたくさんの人たちを一気に癒せれば)


 すべての人を助けられるように、リオンは修業に励んだ。いや励み過ぎたのだ。


「はあ? 聖者が攻城戦で全軍一気に癒した? しかも選択的なエリアヒール? 味方だけ癒やして、敵は死滅したですって? 寝言は寝てから言ってください」

「いや、マジなんだけど」


 リオンが参加した戦場で、その場に居た騎士が調査官に状況を報告したが、調査官は冗談だと切り捨てた。思わず騎士は真顔になってつっこんだが、調査官は、ハッと笑う。


「どう考えても虚偽報告です。訂正してこちらで報告書、あげときますから」


 調査官はその場でさらさらと自分の思う妥当な戦況で報告書をかき上げた。その報告書はまわりまわって、リオンの上官である神官長へも伝えられた。


 「リオンくん、最近仕事サボっていませんか? あまり成果がよくないですが」

「え、はぁもっとちゃんと仕事を……わかりました」


(もっと広範囲にヒールをかけなきゃいけないってことですね。あ、むしろ常にかけ続けろってことでしょうか? ヒールをかけてからでは遅いと)


 リオンは誤解したまま、明後日の方向にやる気を出した。


(確かにヒールをかけて体は全回復すると、意識が切り替わるまでのタイムラグがありますね。これを極力消せば……)


「最近、俺超好調だぜ!」

「聖者なんてもう要らないな。俺たち怪我しないんだし」


 こうして帝国の歴史に残る無敵戦隊が爆誕。全ての兵が死なず、鬼神のごとき働きをする。伝説はこうして生まれたのである。リオンは癒しを常時発動していたため、はたから見れば何もしていないように見えた。これは魔王討伐隊でも同じだった。


「本当に!私たちレベルアップしているわよね」

「私たちが強すぎて、リオンがヒマそうね」

「あいつ要らないよな」

「私たちの戦果を、名声を何にもしてないあいつももらうのマジ許せないんだけど」

「せめて色々雑用をさせようぜ」


 こうして、いつしかリオンはお荷物的な存在だと思われ出したのだ。


*****


 場面が変わり、大量の荷物を背負い、隊列の後ろをとぼとぼ歩くリオンと、その後をちょこちょことついていくグレーの毛をした角ウサギが映る。


*****


「今日はここで野営よ。リオン準備しなさい」

「わかりました」

 

 リーダーのセリーナの言葉に、リオンは言葉少なく答える。理不尽に罵倒されないだけ今日はいつもよりましだと嬉しく思う。それだけリオンはこの環境に慣れきっていたのだ。聖者であるリオンが全ての雑用をするという異常な状況に。


 リオンは骨格がやや華奢なことや、長髪で目元が隠れ、中性的な容姿をしている。またこの国ではリオンの名は男女どちらにも使う。そのため、勇者パーティーに迎え入れられたとき、最初は女だと思われていたのだ。


(私が男だと分かってからのあの態度、ひどかったですねぇ)


 リオンはふと昔を思い出して苦笑した。今代の勇者パーティは自分以外すべて女性だったため、周りから猛烈なやっかみを受けた。さらに勇者を筆頭に、メンバーは筋金入りの男嫌いが揃っていたのだ。リオンは体のいい召使、荷物持ちとしてお情けでおいてやるという態度を貫かれた。


 リオンはてきぱきと天満の準備をし、寝床を整え、それぞれが体を清められるように、大鍋に湯を沸かす。同時に本日の食事となるスープの具材を別の鍋で煮始める。出来上がった料理はリオン以外がまず食べて、リオンは残り物をウサギと一緒に食べるのが習慣だった。


「あんたは前線に立てないんだから、これで良いの。私たちは命張っているんだから」


 セリーナが満面の笑みで宣言する。



*****


 場面が変わり、荒廃した城でボロボロになったセリーナが剣をかかげている。


*****


「勝ったわ! 私たちついに魔王を倒したのよ!」

「やったな! これで旅も終わりだ!」


 勝利の喜びに震えるセリーナ、仲間たちが抱きつき、泣きながらお互いの健闘をたたえ合う。そんな姿をリオンが離れたところで見ていた。がれきの上に座るリオンは、不思議なことに誰よりもボロボロの姿で血にまみれ今にも倒れそうだった。


 そんなリオンに、セリーナが笑顔で声をかける。


「ああ、これでやっといえるわ。リオン」


 笑顔は醜く歪んでいき、いじめっ子が浮かべるような嗜虐的な表情になる。


「あんたを魔王討伐隊から追放するわ!」


 リオンはぼう然とした顔をして、うつむいた。


「だいたいあんたは平民で、回復しか能がないくせに討伐隊のメンバーなんて図々しかったのよ! もうあんたは用済みよ。討伐隊に残りたくて、泣いてしがみついても遅いんだからね!」

 「本当にそうだ。全くお前は気が利かなくてダメな奴だよ」

「もう用無しだし、処分されないだけありがたく思いなさい?」


 ほかの仲間達も異口同音にリオンを責める。うつむくリオンに次から次へと侮蔑の言葉が降ってくる。リオンの肩がフルフルと震えていた。そんな飼い主とセリーナを交互見て、リオンのペットの角ウサギが庇うように威嚇をしている。

 

「何か言いなさいよ。あんたまさか口答えしようっての?」

「役立たずの魔獣は今すぐ殺しても良いのよ!」


 魔法使いのロロアが杖を構え、バチバチと魔力をまとわせた。リオンは目にもとまらぬ速さで、角ウサギを抱き上げる。



「あ、あありがとうございます――!!!!」


 セリーナの憎々し気な言葉にかぶせるように、リオンは普段とはくらべものにならないくらいの大声で礼を言い、かつてない速さで荷造りを始めた。セリーナも他の隊員も呆気にとられながらその様子を見守る。


「ではこれにて僕はおいとましますね! いやー僕も平民出だし、討伐隊には必要ないと思ってたんです。魔王も討伐しましたしね! 爵位も返上しまして、今後は田舎でのんびり暮らして一生表舞台に立ちませんでのでご安心ください!」

「あ、うん…消えてくれる?」


 リオンは満面の笑みを浮かべ、おっとりとしたいつもの口調の2倍速でまくし立る。そしてセリーナや他の隊員から、ルンルン気分で追放された。


(本当に受難の日々でした。討伐隊の隊員は平等であるって建前ですが、お貴族様には逆らえなかったんですよね。みんな選民意識強くてナチュラルに見下してきますし)

 

 実はリオンも平民出身であるが、魔王討伐隊として箔をつけるために、一応男爵扱いになっている。ただし領地も無い書類上のみの貴族だ。


(どさくさに紛れて爵位返上できて本当に良かったです! だって私、陰謀と調略が渦巻く貴族社会なんて絶対生き抜くことできませんし! 聖者の魔法は魔物にはものすごく効きますが、人間には全く効かないんですよねぇ)


 いつだったかリオンは浄化魔法で相手の悪意が消えないかとこっそり試したことがある。残念ながら、服が綺麗になり、脂ぎった体臭が無臭になっただけだったのだ。そして、この浄化魔法が夫の加齢臭に悩む貴族のご婦人方に目を付けられた。


「あなた、うちの従者になりなさい! 定期的にあの人の悪臭を消すのです!」

「せ、聖なる聖者の魔法をそんなことに使えませーん! ご勘弁くださいませ!」


 高飛車に言われ、リオンは半泣きで逃げ出した。リオンは神殿で生活しつつ、勇者討伐隊の一員として、王城での訓練にも参加していた。


*****


 場面が変わり、セリーナたちのみで帰路に着く様子が映る。


*****



「あー疲れた。そろそろここで野営しようぜ」

「そうね、リオン! 準備して」


 セリーナたちは、それぞれ地面に寝ころんで、待った。しばらく待っても、準備が出来たと声がかからないので、イラっとした。


「リオン! まだなの?!」

「……セリーナ、そういえば追放したんじゃないっけ?」

「あー! そうだったわね!」


 当然返事は無い。数時間前に魔王城で追放したのだ。セリーナたちは遅れてそれを思い出したのだ。


「しょうがねぇ、自分たちで準備するか」

「戻ってから追放すればよかったわ」


 ブツブツ言いながら、みんな立ち上がるが、ふと気づく。


「あれ? 荷物は」

「え? 誰も持ってきていないの?」


 あの時、リオンは自分の荷物以外を魔王城へ置いていったのだ。そしてそれをだれも持ってきていなかった。荷物運びはすべてリオンの役目だったから。


「くそったれ!」


 毒づいてももう遅い。とりあえず食べられそうな草を魔法使いロロアの火魔法で温めたが……食べられるものではなかった。


「マズい」

「あーリオンが居れば」

「う、うるさい!」


 セリーナたちは、空腹のまま雑魚寝をすることになった。翌朝、みな虫刺されでぼこぼこになっていた。今まではリオンが虫よけの香を炊き、寝床のテントを整え、汚れ物の洗濯をしていた。それが日常だった。


「リオンが作ったドライフルーツのバーが食べたい……あれ今思えばおかしかったよね?!

食べ物で魔力回復とか、ありえなかったわ」

「……街に入ったら冒険者ギルドで雑用を雇おうぜ」


 セリーナたちが次の城壁都市にたどり着いた時、魔王城に居た時よりもさらにこきたなく、よれよれになっていた。何日も汚れ物を着て、湯あみも出来ず、まともな食事もとれなかったため、すぐには誰も魔王討伐隊の勇者たちだとわからなかった。


「屈辱だわ」

「それもこれもリオンが居なくなったせいよ」

「とにかく早くもっと優秀な代わりを雇おう!」


 自分たちが追放したことを忘れ、セリーナたちはリオンが居なくなったことに怒りを覚えていた。だが、リオンを呼び戻すことができない以上、別の者を雇うしかない。


 セリーナたちは冒険者ギルドに向かったのだが……


「その業務内容ですと、最低でも神官と荷運び、調理人の三人は最低必要です」


 ギルドの受付嬢はセリーナたちの要望を聞き、こめかみをぴくぴくさせながらかろうじて営業スマイルを浮かべていた。


「はあ? だって今まで全部一人でやっていたのよ?」

「ですが、職種が違いますので、通常はそれぞれに一人ずつ必要です」


 納得がいかず食い下がるセリーナに、受付嬢はイライラしてきた。


「そんな人間がいるわけないですよね? そもそも神官は後衛でもプライドが高い方が多くて、雑用なんて絶対しませんよ?」

「でもリオンは平民で」

「平民だろうが神官のスキルを授かれば準貴族扱いですし、力があればそこら辺の下手な貴族よりもよほど重宝されて大切にされますが?」

「おい! 失礼だろうが!」

「事実を申し上げたまでです。神官が雑用をしていたと本気でおっしゃるなら、よほどの変わり者でしょう。それに神官は本当に希少です。現在パーティに所属していない神官は存在しません」

「……じゃあ、せめて、雑用係は雇えるかしら?」

「それでしたら、何名かご紹介できます」


 こうして二人の若者が雑用係として雇われたのだが。



「新入り!お前たち、クッソ役立たずじゃねぇか! リオンは全部一人でやってたんだぞ!」


 最初にブチ切れたのはハーヴィだった。


「お言葉ですが、前任者が異常すぎるんです。出来るわけがない。話、盛ってますよね?! 俺たちただの雑用係ですよ! なんで戦闘にも協力しなきゃいけないですか!」

「でもリオンは……!」


 セリーナは言い返そうとして、口をつぐんだ。リオンの優秀さを認めたくない。リオンだからこそ出来たことだとようやくわかってきたのだ。


「何でそんな貴重な人材追い出しちゃうんですか?! バッカじゃないんですか!」

「っうるせー! お前なんかクビだ!」

「こっちだってあんたたちの世話なんて願い下げだ! 何にも出来ないバカ女ども!」



*****


 場面が変わり、セリーナたちが豪華な城に居る姿が映る。


*****


「本当に、リオンを追放したのか?」


 怒りを含んだ声で、王がセリーナに問いかける。


「はい、もう不要でしたので!」


 はきはきと答えるセリーナに、王の雷が落ちた。



*****


 場面が変わり、町の宿屋へスキップしながら入るリオンと、グレーの毛をした角ウサギが映る。


*****



「じ、自由ですううう!!! 何かすぐ食べれるものをください!」

「いらっしゃ…ひぃ?! お客さん、ボロボロですけど大丈夫ですか?! モンスターに襲われました?」

「いえ、3日ほどほぼ飲まず食わずで逃げてきまして。あのぉ、何か軽いものを…あっでもものすごく辛い物が食べたいです」


 リオンは激辛好きなのだが、セリーナは辛い物が大嫌いで、臭いも嫌だからと、リオンは一緒に居る間、ずっと我慢させられてきた。今なら好物の辛い物がいくらでも食べれると、リオンは大喜びだった。


「辛い物は最高ですね! あ、すみません。お代わりお願いします」


 久しぶりの激辛の食べ物を楽しんでいると、嬉しくて自然とほおが緩んでくる。


「ちょっとあの神官さんやばくない?」

「ファイヤーバートのローストにデスソースをドバドバかけてるんだけど?!」

「ウソだろ? 1滴が適量だ。普通に死ぬレベルだぞ」

「あの煙吸い込むだけでのどが焼けるわよね?」

「あ、一番近くの人が刺激臭で倒れたわよ!」


 周りがリオンの食べている料理のやばさにドン引きしたが、当の本人はお構いなしだ。デスソースを一瓶かけ切った。


「お客さんお代わり分のお代は良いので、持って帰って外で食べてください!」

「ええ? 悪いですよ」

「良いから! 早く外に出て! 騒ぎになるから!」


 ぐいぐいと追い出されたが、リオンは静かに感動していた。


(親切な店員さんがお代わり分をおまけして包んでくれました。なんて優しいんでしょう! お代も要らないなんて、申し訳ないですね)


「そうだ!」


 リオンはお礼にエリアヒールをかけることにした。


(せめてものお礼です。食事中に疲れて眠っていた人も居ましたからね)


「お客さんしっかりしてぇ…って起きた!?」


 びっくりしたのは店員だ。デスソースの香りで倒れた人を介抱していたら突然起き上がったのだ。


「俺はいったい?」

「さあ何が何だか?」


 店員も客もきょとんとしていたが、リオンは気付かない。


(なぜか私が大好物を食べていると、倒れている人に遭遇するんですよね。聖者たるもの、常に人助けをせよとの神の思し召しでしょうか。魔王討伐という使命も終わりましたし、あとは好きに生きて良いんですよね)


 リオンは激辛料理の入った袋を、ぎゅっと抱きしめる。まだほのかにあたたく、後からゆっくり食べるのが楽しみだった。誰にも縛られない自由が手に入ったのだ。


「追放されましたし、今後はのんびり生きていきましょうかね」


 リオンは、一番の友達である角ウサギを見つめ、幸せそうに笑った。




*****


 暗転し、パソコンの画面に戻る。


*****



58:アンハッピーガール 2024/10/30(水)20:18:31.11 ID:a7Hj9Kf2L


ほら、どうですか? 私に非はないでしょう!



59:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)20:19:20.21ID:V7rJ1kM8z32


最低ね。リオン君、逃げて正解!戻らなくて大正解よ!

うさちゃんと末永く幸せになって欲しいわ。


60:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)20:20:12.31 ID:P3xL8vB0q


本当だな。どう考えても戻らないほうがリオンのために良いだろう。

セリーナ、お前は反省するべきだ。


61:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)20:20:12.31 ID:Z1mT5sQ4y


悪いけど俺もドン引きだわー

セリーナちゃんの容姿も他の子たちもすっげー可愛いとは思うんだけど、全員ヤバすぎっしょ!




62:アンハッピーガール 2024/10/30(水)20:23:31.11 ID:a7Hj9Kf2L


えっ? えっ? なんでです?? 


63:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)20:24:32.11 ID:P3xL8vB0q


本気でわからないなら、もうこの話は終わりだ。

戻ってくる方法は無いし、戻らないほうが良いというのが結論だ。

一同解散!


64:アンハッピーガール 2024/10/30(水)20:25:11.12 ID:a7Hj9Kf2L


そんなぁ!


65:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)20:26:42.21 ID:Z1mT5sQ4y


いえすヤンデレ、のっとリアルってやつだなぁ。

無理無理!


66:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)20:27:08.37 ID:d9Wb2Yp6C


異世界の女たちにもやべーの居るんだな。勉強になったよ!


67:アンハッピーガール 2024/10/30(水)20:27:09.04 ID:a7Hj9Kf2L


皆様、待ってください!

なんで? え?


68:名無しさん@異世界からの質問に答えるスレ 2024/10/30(水)20:30:06.01ID:V7rJ1kM8z32


簡単なことよ。人を人として見ないとこうなるの。

平民だとか、貴族だとか、あんたが最初から最後まで他人の扱いを間違えたのよ。


こうしてスレ民たちは納得がいかないスレ主を放置し、満場一致でリオンの幸せを願ってこのスレを去って行ったのだった。


以前、2年くらい前にX(旧Twitter)でFFのSSKKさんに自分が主人公の作品書いて欲しいと言われました。

1年くらい前にこれを書いて投稿するのをすっかり忘れてました(笑)

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― 新着の感想 ―
本当に書いてくれてた。。有り難う御座います。これは、リオンが俺ってことですね。ペットの兎も一緒に出してくれて嬉しいです。 うん、王女様との結婚は勿体なかったんじゃないかな。勿論爵位も。。勇者の女の子も…
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