第3話:TENGAの誤解、爆発する研究室!
俺、標本H-001。20億年の眠りから目覚めて、博物館の展示品としてTENGAを握りしめたまま晒し者にされている。
動けない、喋れない、ただ脳内でツッコミを入れるだけの化石生。
そんな中、唯一の希望はプラナリア系研究者、ベガα1103——通称ヒトミ。
彼女は俺の意識に気づいてくれたけど、問題は彼女の研究が「ヒトの生殖」にめっちゃ偏ってるってこと。
今日、彼女が企む「防御シールド(TENGA)伸縮実験」が、俺の尊厳を木っ端微塵にしそうなんだが…!
ヒトミの暴走、TENGAを握る触手
ヒトミの研究室は、まるでSF映画のセットみたいだ。
光るパネル、浮遊するモニター、謎の液体が流れるチューブ。
そして、俺のガラスケースを中心に、彼女の「生殖研究」がフルスロットルで進行中。
今日のヒトミは、いつも以上に目を輝かせている(プラナリア系なのに、なんでそんなキラキラした瞳持ってるんだよ…)。
「H-001! 今日はいよいよ、防御シールド(TENGA)の伸縮性を検証するよ!
君が生殖行動のピークでこれを装着していた理由は、きっとこのシールドの振動が性的興奮を増幅するからだ!」
増幅!? いや、ただの…もういい! ツッコむのすら虚無だ! てか、TENGAをそんな目で見ないでくれ!
ヒトミは、触手っぽい腕でTENGAのレプリカ(本物は俺の手にあるから、3Dプリントしたらしい)を手に持つ。
彼女はそれを、まるで聖なる遺物のように掲げ、研究装置にセット。
「このシールドの伸縮パターンを再現し、君の脳波を刺激! ヒトの繁殖衝動の核心に迫るんだ!」
核心に迫るな! 俺のプライバシーを返せ!
ていうか、そのレプリカ、めっちゃ精巧に作りすぎだろ! 恥ずかしさで俺の尊厳が!頼む、ヒトミ! やめろ!
伸縮実験、爆発する誤解
装置がウィーンと起動し、TENGAのレプリカがグニグニと動き始めた。
ヒトミのモニターには、俺の脳波がギザギザの波形で映し出される。
「すごい! 脳波が激しく反応してる! やっぱり、シールドの振動はヒトの性的興奮と直結してるんだ!」
反応してるのは羞恥と怒りだよ! 振動とか関係ねえ! やめろ、早くやめろ!
ヒトミは興奮気味にメモを書き殴る。
「仮説通り! この振動パターンが、ヒトの繁殖衝動を最大化する!
君がこのシールドを装着していたのは、性的ピークを維持するためだったんだね!」
性的ピークじゃねえ! ただの…いや、もういい! 俺の人生、終わったわ!
だが、ヒトミの熱意は止まらない。
彼女はさらに装置を調整し、TENGAレプリカの振動を「最大出力」に。
すると、俺の意識に何か…奇妙な感覚が走った。頭の中で、かすかな「声」が響き始めた。
おい、まさか! また何か通じたのか!?
「H-001! 脳波が言語パターンを形成! 『やめろ…尊厳…死ぬ…』! なんて強い感情! これは、繁殖衝動の爆発だ!」
爆発じゃねえ! 俺の心の叫びだ! ヒトミ、頼むからマトモに解読してくれ!
ヒトミの触手がピタッと止まる。
彼女の「瞳」が、じっと俺を見つめた。
「…尊厳? これは新しいデータだ。H-001、君は『尊厳』という概念を持っていたのか?
ヒトの繁殖には、感情的な要素も関係している…?」
おお! ヒトミ! ちょっとだけ近づいてる! もっと頑張れ! 俺はただの変態じゃない、
普通の…いや、まぁちょっと変態かもしれないけど!
ヒトミの過去、そして小さな進展
実験が一時中断され、ヒトミはモニターの前に座り込んだ。
彼女の触手が、珍しく落ち着いた動きでメモを整理している。
「H-001、君の脳波は、ただの繁殖衝動以上のものを示してる。
私の同僚たちは、ヒトは単純な生物本能に支配されていたと信じてるけど…私は違うと思う。」
…ん? ヒトミ、お前、なんかマトモなこと言い始めたぞ?
彼女は、ふと遠くを見るような表情で話し始めた。
「私、ベガα1103は、欠損進化系の研究者だ。私の先祖は、ヒトのDNAの断片を取り込んで進化した一族なんだ。
だから、ヒトの『感情』に興味がある。君のツッコミ…いや、脳波反応は、ヒトの複雑な心を証明してる気がする。」
ヒトミ…! お前、めっちゃいい奴じゃん!
俺のツッコミがツッコミだって気づいてくれ! 頼む、もっと深く掘り下げて!
ヒトミは立ち上がり、俺のガラスケースに触手を当てる。
「君の『尊厳』という言葉…もっと知りたい。次の実験では、君の声を直接再現してみるよ!」
おお! ついに! 俺の声が! 待て、でも「次の実験」って何!? またTENGAいじるつもりじゃねえだろうな!?
続く、希望と恐怖の綱引き
ヒトミの研究は、相変わらず「生殖」にこだわりつつも、俺の「心」に迫り始めている。
彼女の「瞳」は、俺のツッコミを少しずつ捉え始めているのだ。
だが、彼女の次の実験が「TENGAの振動パート2」じゃないことを祈るしかない…。
果たして、俺はヒトミに本当の自分を伝えられるのか?
それとも、さらなる屈辱の展示品として永遠にツッコミ地獄を彷徨うのか?
ヒトミ、頼む…次はマジでマトモな実験にしてくれよ…!