表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/14

第2話:生殖の真実、暴走する研究者!

20億年の眠りから目覚めて数日。


俺、標本H-001、依然としてTENGAを握りしめたまま博物館に展示中。


動けない、喋れない、ただ脳内でツッコミを入れるだけの人生…いや、化石生だ。


だが、希望の光が現れた。ベガα1103、通称ヒトミ。彼女(?)は俺の意識に気づいた唯一の存在だ。


問題は、彼女の興味が「ヒトの生殖」にめっちゃ偏ってるってこと…!





ヒトミの研究室、爆誕


博物館の展示室が静まり返った深夜。


俺のガラスケースの前に、ベガα1103——いや、ヒトミが再び現れた。


彼女の触手っぽい腕(プラナリア系人類だから仕方ない)は、キラキラ光るガジェットを握りしめている。


どうやら、俺の脳波をさらに深く解析するための装置らしい。


「標本H-001! 君の脳波は、確かに『何か』を伝えようとしている!」


ヒトミの声は、性別がないはずなのに妙に柔らかくて、どことなく「ヒトミ」って名前に似合う響きだ。


おお、ヒトミ! 頼む、俺の叫びをちゃんと解読してくれ!


TENGAは防御シールドじゃねえって!彼女は装置のスイッチを入れる。


ピピッと音が響き、俺の頭の中で何かチクチクする感覚が走る。


「ふむ、脳波のスパイクがさらに明確に! これは…感情的な反応だ。君、ひょっとして私の研究に興奮してる?」


興奮!? いや、怒りと羞恥で爆発しそうなんだよ!


頼むからそのテンションで「生殖」とか言うな!


ヒトミは目を輝かせ(プラナリア系なのに目があるっぽい)、メモパッドに何かを書き殴る。


「仮説! ヒトは『性的興奮』をトリガーに生殖行動を起こす!


君が防御シールド(TENGA)を装着していたのは、この興奮状態を維持するための儀式だったんだね!」


儀式じゃねえ! ただの…いや、もういい! ツッコむのすら虚しくなってきた!





ヒトミの「生殖実験」


翌日、ヒトミは俺のガラスケースを丸ごと移動させ、彼女のプライベート研究室に運び込んだ。


そこは、プラナリア系人類の技術が詰まった、キラキラ光る機械だらけの空間だ。


壁には、俺の部屋の遺物——エロ本、扇風機、包丁、室内バイク——が「学術的展示物」として並べられている。


お前、俺の私物を勝手にインテリアにすんなよ…!


ヒトミは、俺の脳波をモニターに映しながら、興奮気味に語り始めた。


「H-001、君の意識が反応するのは、特定の刺激に関連しているはずだ。


例えば…この『交配記録』(エロ本)! これを見ると、君の脳波が跳ねる!」


そりゃ、恥ずかしさで跳ねるんだよ! やめろ、ページめくるな! それ、俺の青春の1ページだぞ!


彼女はエロ本をパラパラめくり、表紙の水着姿のキャラを指差す。


「この異種生命体との交配イメージが、ヒトの生殖衝動を刺激したんだね!


よし、実験だ! このイメージを再現して、君の性的興奮を誘発してみる!」


誘発!? 何!? 何をしようとしてるんだ!?ヒトミは、研究室のホログラム装置を起動。


すると、俺の目の前に、めっちゃ雑な3Dホログラムの「アニメ風水着キャラ」が投影された。


しかも、動きがカクカクで、明らかに低予算のCGだ。


おい、なんだこのクソCG! 俺の青春を汚すな! ていうか、こんなので興奮するわけねえだろ!


だが、俺の脳波は、羞恥と怒りでバッチリ反応。


モニターがピピピッと派手に光る。


「やった! 性的興奮の再現に成功! これでヒトの生殖の謎が解ける!」


ヒトミはガッツポーズ(触手でどうやってるのか謎だが)。


成功じゃねえ! 俺はただ屈辱で頭爆発してるだけだ!





新たな誤解、そして小さな進展


ヒトミの実験はさらにエスカレート。


次に彼女が持ち出したのは、俺の室内バイクだ。


「この試練装置バイクは、ヒトが生殖前に体力をつけるためのものだよね?


試しに、君の脳波を刺激しながら、この装置の動きを再現してみよう!」


試練装置じゃねえ! ただのダイエット器具だ! ていうか、動かなくていい!


ヒトミはバイクのペダルを勝手に動かし始め、俺の脳波を刺激する装置をフル稼働。


すると、俺の意識が何か…変な感じに。頭の中で、かすかに「声」が響き始めた。


おい、待て。これ、ひょっとして…?


「H-001! 君の脳波が、初めて明確な『言語パターン』を形成した! なんて言ってる?


『試練…違う…』? ふむ、試練装置に対する否定か! これは新発見だ!」


おお! ヒトミ! やっと俺のツッコミがちょっとだけ届いた!


もっと頑張れ! 俺の心の叫びを全部解読してくれ!ヒトミは興奮して装置を調整し続ける。


「君の意識は、確かに『反発』を示してる。これは、ヒトが単なる繁殖衝動ではなく、


複雑な感情を持っていた証拠だ! もっとデータを集めよう! 次は、防御シールド(TENGA)の伸縮性を再現してみる!」


やめろ! TENGAいじるな! それだけは絶対やめてくれ!




続く、絶望と希望の狭間


ヒトミの実験は、相変わらず盛大にズレまくっている。


だが、彼女の装置のおかげで、俺のツッコミが少しずつ「言語」として伝わり始めている。


これは、20億年ぶりの希望だ。


果たして、俺はヒトミに本当の「俺」を理解させられるのか?


それとも、彼女の「生殖研究」がさらにトンデモな方向に突き進むのか?


ヒトミ、頼む…もうちょっとマトモな方向で俺を救ってくれ…!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ