第2話:生殖の真実、暴走する研究者!
20億年の眠りから目覚めて数日。
俺、標本H-001、依然としてTENGAを握りしめたまま博物館に展示中。
動けない、喋れない、ただ脳内でツッコミを入れるだけの人生…いや、化石生だ。
だが、希望の光が現れた。ベガα1103、通称ヒトミ。彼女(?)は俺の意識に気づいた唯一の存在だ。
問題は、彼女の興味が「ヒトの生殖」にめっちゃ偏ってるってこと…!
ヒトミの研究室、爆誕
博物館の展示室が静まり返った深夜。
俺のガラスケースの前に、ベガα1103——いや、ヒトミが再び現れた。
彼女の触手っぽい腕(プラナリア系人類だから仕方ない)は、キラキラ光るガジェットを握りしめている。
どうやら、俺の脳波をさらに深く解析するための装置らしい。
「標本H-001! 君の脳波は、確かに『何か』を伝えようとしている!」
ヒトミの声は、性別がないはずなのに妙に柔らかくて、どことなく「ヒトミ」って名前に似合う響きだ。
おお、ヒトミ! 頼む、俺の叫びをちゃんと解読してくれ!
TENGAは防御シールドじゃねえって!彼女は装置のスイッチを入れる。
ピピッと音が響き、俺の頭の中で何かチクチクする感覚が走る。
「ふむ、脳波のスパイクがさらに明確に! これは…感情的な反応だ。君、ひょっとして私の研究に興奮してる?」
興奮!? いや、怒りと羞恥で爆発しそうなんだよ!
頼むからそのテンションで「生殖」とか言うな!
ヒトミは目を輝かせ(プラナリア系なのに目があるっぽい)、メモパッドに何かを書き殴る。
「仮説! ヒトは『性的興奮』をトリガーに生殖行動を起こす!
君が防御シールド(TENGA)を装着していたのは、この興奮状態を維持するための儀式だったんだね!」
儀式じゃねえ! ただの…いや、もういい! ツッコむのすら虚しくなってきた!
ヒトミの「生殖実験」
翌日、ヒトミは俺のガラスケースを丸ごと移動させ、彼女のプライベート研究室に運び込んだ。
そこは、プラナリア系人類の技術が詰まった、キラキラ光る機械だらけの空間だ。
壁には、俺の部屋の遺物——エロ本、扇風機、包丁、室内バイク——が「学術的展示物」として並べられている。
お前、俺の私物を勝手にインテリアにすんなよ…!
ヒトミは、俺の脳波をモニターに映しながら、興奮気味に語り始めた。
「H-001、君の意識が反応するのは、特定の刺激に関連しているはずだ。
例えば…この『交配記録』(エロ本)! これを見ると、君の脳波が跳ねる!」
そりゃ、恥ずかしさで跳ねるんだよ! やめろ、ページめくるな! それ、俺の青春の1ページだぞ!
彼女はエロ本をパラパラめくり、表紙の水着姿のキャラを指差す。
「この異種生命体との交配イメージが、ヒトの生殖衝動を刺激したんだね!
よし、実験だ! このイメージを再現して、君の性的興奮を誘発してみる!」
誘発!? 何!? 何をしようとしてるんだ!?ヒトミは、研究室のホログラム装置を起動。
すると、俺の目の前に、めっちゃ雑な3Dホログラムの「アニメ風水着キャラ」が投影された。
しかも、動きがカクカクで、明らかに低予算のCGだ。
おい、なんだこのクソCG! 俺の青春を汚すな! ていうか、こんなので興奮するわけねえだろ!
だが、俺の脳波は、羞恥と怒りでバッチリ反応。
モニターがピピピッと派手に光る。
「やった! 性的興奮の再現に成功! これでヒトの生殖の謎が解ける!」
ヒトミはガッツポーズ(触手でどうやってるのか謎だが)。
成功じゃねえ! 俺はただ屈辱で頭爆発してるだけだ!
新たな誤解、そして小さな進展
ヒトミの実験はさらにエスカレート。
次に彼女が持ち出したのは、俺の室内バイクだ。
「この試練装置は、ヒトが生殖前に体力をつけるためのものだよね?
試しに、君の脳波を刺激しながら、この装置の動きを再現してみよう!」
試練装置じゃねえ! ただのダイエット器具だ! ていうか、動かなくていい!
ヒトミはバイクのペダルを勝手に動かし始め、俺の脳波を刺激する装置をフル稼働。
すると、俺の意識が何か…変な感じに。頭の中で、かすかに「声」が響き始めた。
おい、待て。これ、ひょっとして…?
「H-001! 君の脳波が、初めて明確な『言語パターン』を形成した! なんて言ってる?
『試練…違う…』? ふむ、試練装置に対する否定か! これは新発見だ!」
おお! ヒトミ! やっと俺のツッコミがちょっとだけ届いた!
もっと頑張れ! 俺の心の叫びを全部解読してくれ!ヒトミは興奮して装置を調整し続ける。
「君の意識は、確かに『反発』を示してる。これは、ヒトが単なる繁殖衝動ではなく、
複雑な感情を持っていた証拠だ! もっとデータを集めよう! 次は、防御シールド(TENGA)の伸縮性を再現してみる!」
やめろ! TENGAいじるな! それだけは絶対やめてくれ!
続く、絶望と希望の狭間
ヒトミの実験は、相変わらず盛大にズレまくっている。
だが、彼女の装置のおかげで、俺のツッコミが少しずつ「言語」として伝わり始めている。
これは、20億年ぶりの希望だ。
果たして、俺はヒトミに本当の「俺」を理解させられるのか?
それとも、彼女の「生殖研究」がさらにトンデモな方向に突き進むのか?
ヒトミ、頼む…もうちょっとマトモな方向で俺を救ってくれ…!