大学
プロローグ
僕は屋烏之りたと言う。今、僕は大学へ進学するか話し合っているところだ。
「特にやりたいことも無いのに打算なく大学に、行こうなんておかしいと思うよ?」
僕にはやりたい事が無い。基本給が上がるから、とか言う世間の都合で大学へ行かされようとしている。
「お母さんとお父さん、大学行ってないじゃん」
「私達は良いんだよ。結果的に稼げているから」
結果論でゴリ押しされても、何も響かない。たまたま運が良かっただけですという話だから。
「大学に行けば良いんでしょ?分かったよ…」
乗る気になれないまま、その場しのぎでテキトーな言葉を吐いた。
本当に行きたくない。行く理由も見いだせないし、行ったところで勉強して部活して帰ってくる、その往復に過ぎないのだから。
「はぁ。めんどくさいなぁ」考えるだけでため息が止まらない。地球温暖化が進んでしまいそうだ。
配信アプリでライバーさんに相談したり、スマホで検索したり、とにかく落ち着かなかった。親から言われたオープンキャンパスに行かなくては行けないし。どこかで働いて家を出たかった。
〚オープンキャンパス初日〛
だだっ広い校庭とドデカイ校舎に呆気あっけに取られてしまった。この学部は◯◯で◯◯の為と必死に教壇で先生が語っているが、難しすぎて全く頭に入らない。結局、堅苦しい話が午後まで続いて背中がバキバキになった。
「結局、良くわからなかったな」思ったよりも、窮屈で退屈な空間だった事に少しがっかりした。
〈ドンッ〉
カバンをいきなりどつかれた。さっきの説明会の時に寝ていたのがバレてしまったのか。
「あのぉ、説明会寝てしまってすいませ..」
「えっ!?私こそすいません。本読んでて...」
「あっ、お気になさらず」
彼女の手から落ちた本は【友達に嫌われない方法】この子、嫌われているのか?見た目は今時の片目ウルフヘアーで、カッコ良さと可愛さを兼ね備えているし、何が嫌われているだろう。オープンキャンパスより、それが気になってしまった。
「大学も悪くないか。あの子入学するのかな」
「もし、入学したら、あの子と友達になろう..」
オープンキャンパスも含めて、大学の印象は良くも悪くも楽しいのかもしれないと思う事ができた。そして、いつも通りゲームに没頭し始めた。
お楽しみください