8話 びちゃ
「じゃ、いってらっしゃい!」
セカイはかなたの背中を、ポンッと押した。
「え、?」
かなたはスッ――と落ちて行った。
「ちょっと!セカイさん!かなた様に何やってるんですか!?」
かなめは慌ててセカイに言った。
「まだ水竜さんのこと使いこなせないのに!死んじゃいますよ!私も行きます」
かなめはムスッとして扉から落ちようとした。
「まあまあ、かなめ急に落としたのは悪かったよ、でも多分かなたならいける気がする……!」
セカイはそう言うと目をキラキラさせた。
「……もう、セカイさんは私のことすらろくに知らないのに……」
「ん?なんか言ったか?」
「いいえ、何も言ってませんよー」
かなめはムスッとしたまま部屋に戻っていった。
一方そのころ、落下中のかなたと水竜は……
喧嘩していた。
「もおおお!俺高いとこ無理なんだってえええ!」
「ギャハハ!ギャハハ!ぶっさいくな顔になってるな!」
「そんなこと言ってる場合か!これ死ぬだろ!」
「ダイジョブだ!俺の力を使えば何の問題もなーい!」
「じゃあ早く使えよおお!」
「それじゃあ説明をと……えーっとだな、あー」
「いいから早く使えってええ!」
「うるさいな!ちょっとくらい待てないのか!」
『待てるわけないだろ』
「ったく、こんなの全然ピンチでもないのに」
「もおおおおお!なんでもいいから早くして!もう地面近いから!!」
「とりあえず水になりたいと願え」
「水になりたい水になりたい水になりたいなりたいなりたいなりたいいい!!」
「おお、なかなかだな」
水竜は少し引いていた。
そして、かなたは必死に水になりたいと願った。
心の中であー、もうだめだわー終わったー、そう思っていた。
それは水竜にも聞こえているのに。
地面が見え始め、かなたは諦め始めていた。
普段はなんだかんだ諦めずにやることが多いのだがこれに限ってはどうしようもできない、そう思った。
水になる?そんなバカなことがあるか、てか水になったから何なのだ、はあ、考えるのもめんどくさい。
「おい、諦めるのか?」
水竜が言った。
「ああ、さすがに水になれる訳ない」
「かなめの為に戦うんじゃなかったのか?」
「……分かったよ、最後だからな」
「意外とちょろいな」
『水になりたい!』
半ギレだった。
そしてそのまま地面にたたきつけられた。
びちゃ
なんとも間抜けな音とともにかなたは地面に着地した?と言っていいのだろうか。
「なあ水竜……」
「なんだ」
「この世界、なんでもありだな」
「なあかなた」
「なんだよ」
「この先もっとなんでもありになるぞ」
「はあ、やってられるかよ」
かなたは少し笑った。
「で、どうやって元の姿に戻るんだ?」
「…………」
「おい、まさか……」
今日の天気は雲1つない晴天です。
まさか一か月も開いていたとは、、果たして見ている人はいるのだろうか、、、
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