5話 救世主
バンッ!
銃声が工場全体に鳴り響く。
少しの間沈黙が続く、雨が再び降り始めるとパシッという音と共にバタッとどちらかが倒れた。
撃たれてのはかなたのはずだったが、倒れていたのは誘拐犯だった。
ひたいには小さな丸い跡ができていた。
「……は?何でおれが倒れてる、頭が痛い、何だ!何が起きたんだ!」
誘拐犯が騒いでいると、かなたの立っていた後ろのドアから足音と共に声が聞こえてきた。
「ふぅ、何とか間に合った、ビービー弾飛ばす練習してたら遅くなっちゃったわ~」
「おい!誰だ!お前そのガキの仲間か!?」
かなたが後ろを振り向くと、今の季節には少し合わないであろう半袖半ズボンの格好をしたお兄さんがゆっくりとこちらに歩いてきていた。
かなたの横まで来ると、肩をポンと叩いてこう言った。
「ここは僕に任せてかなめを連れて先に家へ帰っていてくれ、すぐ追いつく」
初対面で全く知らないおじさんに困惑しつつも、かなたはおじさんに一言言うとかなめをおんぶした。
「あ、ありがとう……お兄さん俺の家分かるのか?」
お兄さんは大きな声で笑うと誘拐犯の方へ歩き出した。
「ははは!確かに分かんないわ!でもかなめを連れて行ってくれれば大丈夫さ!」
すれ違いざまにお兄さんは気づかれないスピードで、おんぶされたかなめのパーカーのポケットに何かを入れると2人が工場を後にするのを確認し、誘拐犯の上に座り込んだ。
「なあ、1つ聞きたいんだが」
「俺は何も言わねーぞ!」
「……そうか、分かったよ……それじゃあまた刑務所で会おうね!」
そう言うとお兄さんは小さなキューブをどこからか取り出すと、誘拐犯に近づけた。
「……!!お前まさかあの!」
「ん?もしかして僕のファン?ありがとうー!」
お兄さんがニコッと笑うと誘拐犯はキューブの中に吸い込まれていった。
「よーし、一件落着!さ、2人のところに行くか」
そう言うともう誰もいない廃工場にもう一人何者かの声が響いた。
「おい、セカイ!俺はあのガキがいい!」
何者かがそう言うと、セカイが答えた。
「うん、僕もいいと思うよ、ま!あとは本人次第かな!」
すっかり雨は止み、月明かりに照らされながらセカイと何者かは、笑いながら廃工場を後にした。
急いでいたのでかなり雑です、申し訳ない
誤字がいつも以上にあるかも