3話 誘拐
2月2日午後3時
校門を出たとき、少し遠くに人の姿が見えた。
「あれ?あそこにいるのかなめ?家にいるって言ってたのに」
「え?どの人?」
芽久がそう聞くとかなたが指をさした。
「あそこにいる女の子、あの特徴的な髪色はここらへんじゃかなめしかいないよ」
来空が言った。
「ねぇねぇ、今しゃべってるっぽいおじさんは知り合い?」
「ん?あれは、校長先生さんか……?」
すかさず芽久が突っ込んだ。
「校長先生さんって誰よ……」
すると、かなめはこっちに気が付いたようで手を振ってきた。
「ほら!手振ってるからかなめだ!おーい!」
「え、でもこんなとこで何してたんだろ?てかなんで裸足なの?」
未来がそう言うとかなたは少し疑問になった、そして一瞬である程度のことを予想し理解した。
かなたはランドセルを置くとすぐかなめの方へ走った。
「ちょ!かなたどうしたの!てか足はや!」
それに気づいたかなめもこちらに走ってくる。
そして自分が喋っていた女の子がかなめだと確信した男はすぐさまかなめを後ろから捕まえた。
まずい、さらわれる!そう思ったかなたは右足の靴を走りながら半分脱いで思いっきり足を振った。
「当たれ!」
かなめの方を向いたいた男がかなたの方を見たとき目の前にはもう靴が飛んできていた。
「うげっ!!」
かなたの靴は見事顔面に命中、しかし男は一瞬クラついただけで、すぐかなめを担ぐと細道から出てきた黒い車に乗せられ連れ去られてしまった。
「かなめ!!」
3人が追い付くと状況を整理した。
「今のって誘拐!?と、とりあえず警察に連絡する!」
「私、先生呼んでくる!未来も来て!」
「あ、うん!」
来空と未来は先生を呼びに行き、芽久は警察に電話した。
「すいません、ちょっとチャリ借りていいですか、急いでるんです!」
「あの、警察ですか?今目の前で……ってかなた!ちょっと何やってんの!」
かなたはたまたま通りかかった人にチャリを借りてかなめを追う気だった。
「芽久、こっちは頼んだぞ!」
そう言うとかなたは車を追いかけて行ってしまった。
「ちょ!もう!なんとなく分かってたけど早すぎる!」
かなたは急いだ、漕いで漕いで漕ぎまくった、ガタガタした獣道に入ったせいで途中前輪がパンクしたが、スピードは全く落とさなかった。
一方かなめを誘拐した男たちは、順調に計画が進んでると思っていた、まさかチャリで追われていたなんて考えもしなかった。
「ぎゃははは!こんな簡単な仕事で報酬は10億だとよ!嘘みてぇだがこれが本当ってのがよ!」
「最高だな!でもほんとなんか?これだけにしては報酬の額がおかしくねぇか?」
「俺もそう思ったよ、でもな!依頼主の情報を調べたんだがこれは確定で当たりだ」
「マジかよ!こんな簡単な仕事が最後の仕事になるとはな!人生ってのは簡単だなぁ!」
「よし、着いたぞ!ここが受け渡し場所だ」
ついた場所は数十年前に潰れた廃工場だった。
男2人は取引の場所に向かった。
少しするとかなたも廃工場に到着した。
「はぁ、はぁ、この工場まだ崩れてなかったのか」
かなたはバレないようにそっと裏口から入った。
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