32話 剣龍
「桜さんはね、俺たちエターニティにとって最高の研究対象なんですよ、あれはいつだったかなぁ」
「確か数十年前、世界で初めて人工の魂ができたんです、それを持っていたのが桜さんです」
「桜さんは幼いころに両親を亡くし、ある男が引き取ったんです、その男はとても強かった、だが我々は桜さんが欲しかった」
「何故なら、当時たった一人の人口の魂の持ち主だったからです!」
「そしてチャンスが訪れました、男が戦いに敗れ、しばらくの間、意識不明になったんです!その時の桜さんの護衛は男に比べたら雑魚ばかり!勿論世界中の裏組織の人間が桜さんを手に入れようと狙っていました!」
「当時のエターニティの上位メンバーは最強でした、俺たちは数々の裏組織を蹴散らし桜さんを手に入れることができました、研究は順調に進み人工の魂は今この世界に少しづつ増え続けています!」
「すべて我々のおかげ、え?研究が成功したなら桜さんにもう用はない言って?」
「それは違います、桜さんは最高の研究対象!人工の魂には適応の数値があるのですが、残念ながらほとんどの人工の魂持ちの数値が低いです、俺も含めてです」
「でも桜さんは違う!適応数値もトップレベル!それに身体の成長も!ということで、まだまだけんきゅ――ぐはっっ!!」
男は話すことに夢中になり二人の行動を全く見ていなかった。
「おい龍輝、今のはダメージあったみたいだぞ」
「ああ、こいつ話しているときは魂の能力を解除してるらしい」
かなたはニヤつきながら言った。
「なんでだろうな?龍輝」
龍輝もニヤつきながら言った。
「そんなの、適応数値が低いからに決まってるだろ」
男は顔面に剣で一撃、拳で右腕に一撃当てられると、ふらふらと下がりながら尻もちをついた。
男が起き上がると、かなたが一言。
「長々と自分たちの悪行語ってなんかいいことあるんか」
龍輝からも一言。
「桜さん、桜さんって、何回言えばいいんだよ、ずっと気持ち悪いと思ってたぜ」
『三十歳のおじさん』
「お、お前ら……!ぶっ殺してやる!」
男は勢いよく走ってくる、拳を振ると同時に沢山の棘が全身のいたるところから出てくる。
男の魂は棘、自分の体のいたるところから棘を出すことができるとても単純な能力だった、そしてこの能力は防御やカウンタ―向き。
しかし、今の男は頭に血が上りそんなことは全く考えてなかった。
男は適応数値が低いため、攻撃で使う一部に棘を出し体力の消費を軽減していた。
もともとの戦闘能力も高くはなくすべての攻撃が大振りでよけやすい。
能力に頼り自分より弱い相手を倒して調子に乗っていたうぬぼれ野郎というところだろうか。
二人は軽々と男の攻撃をよけ棘のない部位を狙い技を打ち込んでいく。
男は怒りに任せて攻撃、しかし全く当たらない。
ついに男の怒りが頂点に達し、全身棘まみれになり始めた。
「クソっ!さすがに龍王の能力があっても棘があるところを殴るのは痛いな」
「しばらくは俺に任せろ!こいつもう俺と龍輝の判断がついてない!とにかく避けまくれ!」
順調に殴り続け腹部の棘が砕けてなくなった。
(かなた!そろそろ割れるぞ!)
「龍輝!今だ!」
「これで終わりだ、桜は――お前たちには渡さない!」
男が力を振り絞り棘が腹部の瞬時に再生した。
「おい、まじか!?龍輝やめ――」
かなたは龍輝の表情を見て、止めるのをやめた。
「『剣龍』!!」
龍輝の拳はそのまま男の腹部ど真ん中目掛けてめり込む。
同時に棘が拳に刺さる、しかし一歩も退かない。
「これで終わりだ!」
全身の棘は徐々にボロボロと砕けてゆく。
「龍輝ぃぃ!お前、エターニティのをて、敵にするんだぞ!」
「知るか、俺がエターニティなんて組織ぶっ壊してやる」
「あ、あ、あああああ!あああぁぁ!」
龍輝はその場に立ち尽くし、男は倒れた。
「やった」
勝利を確信すると龍輝は仰向けに寝転んだ。
かなたは男に近づき屈んだ。
「おい、そういえばこいつ、話に夢中で自分の名前言ってないんじゃないか?」
「お、俺のな、は――」
男は白目をむいて動かなくなってしまった。
「気絶しちゃった、ま、死んでないから安心しろ、牢屋でナイン上司とよろしくやれよ」
2月3日分の投稿です!
もしかしたら今日中にもう1話出るかも?でなければ次は2月5日です。
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