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理想の生活を夢見るのは間違っている  作者: らびみぃ
第2章 理想の生活編
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26話 喫茶店と迷探偵

 時刻は午後10時、校長を家に入れ、今日寝る場所は確保できた。


 しかし、まだやらなければいけないことが沢山あった。


 まずご飯、三人は今日朝から何も食べていない、かなめの話によると校長は一週間何も食べなくても平気らしい。

 だが、かなたとかなめはお腹がすきすぎて今にも倒れそうだ。


 次に電気、勿論つかない、しばらく家にいなかったということは電球が切れてるのではないだろうか。


 そして、そんなこと全てどうでもいいほどに部屋が汚い!

 まずは掃除から、二人はそう思っていた。


「かなめ、とりあえずこのリビングっぽいところだけ掃除しないか?」

「私もそうしたいと思ってました」

「てか、かなめ」

「はい、どうしましたか?」

「この家、どうなってるの?外から見た時より明らかに広いよね!?外から見たら平屋だったのになんか階段あるし!あと部屋の数多すぎない!?」

「かなた様、気づいちゃいましたか……」


 謎の緊張が走る。


「水竜、俺まずいこと聞いたのかもしれない……」

(何言ってるんだかなた、セカイの能力忘れたのか?)

「師匠の能力……?」


「この家、実は!セカイさんのキューブでできているんです!」

「え?師匠のキューブ?」

「そうなんです!この家はもともとセカイさんが住んでて、簡単に説明するとキューブを設置して、その中の空間を広げてまたその中に部屋という名のキューブを設置して造った家なんです!」

「おお!絶対もっと大変なことしてるだろうけどなんとなく分かった」

「もともとここはセカイさんが探偵事務所として使っていたんです、でも全然儲からなくて喫茶店になったんですけど、セカイさん料理下手だし、従業員雇わないしでそのまま民泊もするって言い始めたんですけど誰も部屋を借りてくれなくてそのまま色々あって私の家になったって感じです!」

「な、なんだそれ……師匠、絶対続かないタイプじゃん……」

「そうですね、セカイさんは基本自由なので……」


 すると、突然電気がついた。

「え!電気ついた!」

「ほんとですね!つきました!」


「ほっほっ、ブレーカーが落ちておったぞ」

「ブレーカーが落ちてたのか、って、じいさん!やっと起きたのか!」

「なかなかに良い眠りだったわい、ところでどうやって家に入ったんじゃ?」

「どうって、ぶっ……なんかマッスルが開けてくれた」

「もうマッスルとは話せたのじゃな」

「なんならかなめから一台貰っちゃったけど」

「よいよい、マッスルたちはもともとかなめの物じゃからの」


「校長先生も起きましたし、かなた様!これからどうしますか!掃除しますか?」

「あ、そうだった掃除!でももう夜遅いしなぁ」



 二人が悩んでいると、突然、ドアの開く音がした。

「すみませんー、まだやってますか?」


「え、」


 振り返ると、そこには金髪でボブくらいの長さ、くっきり二重のかなめと同じくらいの年の少女がドアを少し開け、ひょっこりとこちらを覗いていた。

 黒のパーカーに帽子を深々とかぶり、マスクまでしていた為、少し怪しそうだ。


 すると少女は言った。

「あの、昔ママとこの店に来たことがあって、まだあるのかな~と思ってきたら明かりがついてたので……」


 かなたは先ほどの話を思い出した。

(そうか、ここ昔喫茶店だったから、この子は潰れたこと知らなくて来たのか)


 水竜が語り掛けてきた。

(かなた、こういうのは大体思い出の味とかがあるんだよ)

(突然どうした)

(喫茶店がやってると思ってきたんだろ?)

(多分)

(でも、俺たちは今料理を出すどころか作ることすらできない)

(確かに、キッチン凄い汚いしな)

(ということはだ)

(帰ってもらうしかない、と……)

 二人の中で話を勝手にまとめると、少女には帰ってもらうしかないという判断になったそうだ。


 かなたは少し申し訳ない気がしていた。


 そんなことを考えていると、かなめが少女に問いかけた。

「あの、もしかして星さんですか?」


 少女は嬉しそうに言った。

「はい!私のこと知ってるんですか!」

「もちろんです!最近テレビとか出てますもん!」


 かなたはポカーンとしていた。

「あ、有名な人なの?」

「そうなんですよ!かなた様!この方は今世界で一番人気といってもいいアイドルの星さんです!」

「世界一のアイドル!通りでかわいいわけだ!」


 一瞬かなめがへこんでいた気がした。


「いやいや、そんなことないですよ~」

 星は照れている。


 校長がテレビをつけると、ちょうど歌番組に出ている星が映っていた。

「ほれ、見るんじゃ、ちょうど歌番組で歌っておる」


 『星さんでした!ありがとうございます!4月6日なんとデビュー初の大型ライブを行うそうです!楽しみですね~』


「確かに、同じ人だ!」


「それで、今日ここに来たのは……」


 かなたは思った。

(来た!これは思い出の味パターン……!)

 かなめは思った。

(忘れてました!星さんは多分セカイさんに用があるんだ、私料理できないです……)

 校長は何も思っていなかった。


 かなたが先に口を開いた。

「あ、あの星さん!実は……」


「皆さんにお願いしたいことが……!」


「実は、もう喫茶店は潰れてまして……」


 星は首をかしげた。

「あれ、ここって探偵事務所じゃなかったでしたっけ?」



 『そっちかーい!』

 かなたと水竜は勝手に考えすぎてどっと疲れていた。

 かなめは恥ずかしそうに下を向いた。

 まさか探偵の用事で来るとはだれも思っていなかったようだ。


 かなめはそっとかなたに聞いた。

「かなた様、どうしますか……?」

「とりあえず、内容だけ聞いてみるか……」


 かなたは星に問いかける。

「星さん、依頼?の内容は、俺たちでも解決できる奴ですか?」

「はい!多分大丈夫だと思います!」


 少しほっとした、二人でも行ける内容ならせっかく来てくれたし受けようじゃないか。


「ライブの護衛です!」


 『ええぇぇぇええ!』


 二人は焦った。

「か、かなた様ライブの護衛って簡単なんですかね……?」

「ま、まあ立ってるだけとかなんじゃないか……?」


「実は私の命を狙うって予告が来て……」


 『Nooooo!』

「か、かなた様!さすがに断りましょう!私たちが探偵業をやるとしても最初の依頼にしてはハードルが高いと思います!」

「かなめ!正解!俺も思った!」


 二人は断ることにした。

「あのですね星さん、俺たちじゃさすがに星さんを守れなさそうというか……」


 少しの沈黙の後、星が申し訳なさそうに言った。

「……そうですよね、ごめんなさい急に!良かったらライブ見に来てくださいね!」

 星は立ち上がり店の出口へと歩いて行った。


 感じ方は人それぞれ、なんとも思わない人もいれば、とても感情的になる人もいるだろう。

 星が店に来た時間は大体午後11時頃、これはかなたが勝手にそう思っただけだが、ここは最初に来た店ではなく最後に来た店だろう。

 ライブの護衛、ライブの日にちは先ほどテレビで言っていた4月6日だろう、あと4日しかない。

 それなのに護衛がいない?何かおかしい?気にしすぎなのかもしれない。

 なぜだろう、彼女の後姿がとても悲しそうに見えるのは、不安がこちらまで伝わってくるのは。


「まって!」

 かなたは立ち上がり星を呼び止めた。

「その護衛、やっぱり引き受けるよ」

「え、でも……」

「私も!護衛します!」

「二人とも……」

 星の目は涙で溢れていた。


「ライブは6日だよな?」

「はい」

「2日だけ待ってくれないか?仲間を集める」

「分かりました、二人とも本当にありがとうございます」

「あと星、もう一つ!」

「なんですか?」

「敬語、辞めていいよ」

 かなたはニコッと笑った。


「ありがとう」

 星はここにきてようやく笑顔を見せた。


「よーし!それじゃあ頑張りますよ!」

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