22話 ワープの途中で
うおおお!遂に今日から新たな生活が始まるのか!
広大な土地にたくさんの高層ビル!見たこともない生き物、おいしそうな料理!強そうな人もいるぞ!
ワクワクが止まらないぜ!
と、勝手に妄想を膨らませすぎたかなたが悪かった。
「かなめ、これいつまで歩く?」
「そうですね……あと1時間くらいだと思うんですけど」
「そっかぁ……」
今かなた達はワープ空間の中をさまよっていた。
三人はワープゲートをくぐったらすぐ大星に着くと思っていた。
が、しかし!謎の空間に放り出されその空間をさまよっていたのだ。
ワープ空間では辺りはとにかく真っ白でそれとなくグネグネしているように感じるので長くいるとなんだか酔ってくる。
足元は霧がかっており、どれだけ歩いてもまったく同じ光景で進んでいるかも分からない。
「スマホは圏外……そりゃそうか」
「おかしいですね、来る時は一瞬だったんですけど……」
「そういえば昔もワープしたことある気がするんだけど、その時って一瞬だったよね?」
「ふむ、これは完全に壊れたのぅ」
校長がそう言うと二人はピタッと歩くのをやめた。
「え、それってまずいんじゃ」
「うむ、まずいぞ。このワープリングを造ったのはセカイなんじゃが確かこれを貰った時――」
――
「校長!ちょっといい?」
「ん?なんじゃセカイ」
「はいこれ、某企業のデータにあったワープ出来るリングだよ」
「セカイ!まさかおぬしあの某犯罪企業の違法ワープリングを造ったというのか!?」
「いやーなんというか、たまたま実験してたら出来ちゃったんだよね!」
「おぬし……これはワシが預かっておく!」
「おっけー!あっ!使い方なんだけどたまたま出来ちゃった奴だから不具合とかで急に使えなくなったりすることがあるかも!じゃあねー!」
――
「――懐かしいのぅ、あれは何年前じゃ?確かまだセカイが小学生……いや中学生じゃったか?忘れてしまったわい」
かなたとかなめは突然の新事実に混乱し、だんだん青ざめていった。
「え……じいさん、なんかとんでもない事思い出してないか!?」
「校長先生……ワープリングって違法なんですか……?しかもたまたま出来ちゃったって……た、確かに一回使ったら大体壊れてましたけど、まさか今まで奇跡的に不具合を回避していたとは……」
「てか、違法のリングをかなめ達に渡してた師匠っていったい……」
二人が混乱していると校長が言った。
「まあまあ、落ちつくのじゃ二人とも、ワープリングが違法じゃとか違法じゃないとかは一旦忘れてこの空間からどうやって出るかを考えるのじゃ、なにせワシらは迷子なのじゃからのぅ」
そう言うと校長はくつろぎ始めた。
今更だが校長はふわふわ浮いている綿あめ見たいな雲に乗っているため歩いておらず、まったく疲れてないのだ!
「そ、そうだな……いったん落ち着いて考えよう!水竜、ここから出るなんかいいアイデアないか?」
(かなた!ようやく俺の出番というわけか!)
「おお!何かあるのか!?」
(がはは!なにもないぞ!)
「だろうな」
そう言ってかなたがしゃがんだ瞬間だった。
ピキッ……どこかから音がした。
バキッ……次第に音が大きくなり明らかにどこかからひび割れてきている。
「かなた様、私とてもいやな予感がするんです……」
「あぁ、俺もだ、じいさん!俺もその浮いてるやつ乗せてくれ!」
校長は綿あめ雲を取られそうになり必死に抵抗した。
「待つんじゃ!かなたよ!これは一人乗りじゃ!」
「頼むじいさん!せめて落ちる瞬間俺とかなめが摑まる場所をくれ!」
そんなことをしている間に真下までひびが広がってきていた。
(かなた、これは割れるぞ!)
水竜の予想通りワープ空間全体に入ったひびが一気に割れかなた達はどこかに落ち始めた。
ここは完全に上空のようだ、かなめはショックで気絶してしまった。
校長も綿あめ雲に乗っていながら同じ速度で落下している。
「ワシの雲は空を飛べないんじゃぁぁ!」
「ぎゃああああ!水竜!3年ぶりなんだけど全身水になって落下防げたりするか!?」
(あれはたまたま出来ただけで今のかなたじゃ無理だ!しかも二人は助けられないぞ!)
「ああ!どうしたらいいんだあああ!」
かなたは叫んだ、水竜が語り掛けてきてもその声をかき消すほどに大きく、そして無駄に全身をバタバタさせた。
そんなことしたって普通は何も起こらない。
ただ、この上空では違ったようだ。
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