17話 記憶
かなたと龍輝は距離を取ったまま少し沈黙が続いた。
我慢できなくなったかなたが話しかけた。
「龍輝、何でかなめを狙うんだ、妹なんだろ」
「……」
「なんだ?違うのか?」
龍輝は龍王の力を一度解くと、少し苦し気な表情で話し始めた。
「かなめは、俺の妹だ。妹のはずなんだ……」
「……どういう事だ」
「俺には6歳より昔のかなめの記憶がない……まったく思い出せないんだ、他の記憶はうっすらと覚えているのにかなめとの記憶だけ全く……」
かなたは水竜に問いかけた。
「なあ水竜、何か知ってるか?」
(知らん)
「だよな」
「そんなことはいいんだ、今は桜を助けることだけ考えろ」
再び龍輝が構えて戦闘モードに入った。
「事情は分からんが龍輝、それでもかなめは渡せない、あとかなめは物じゃねーし!」
「そんなことは分かってる!あと俺はかなめを殺すとは言っていないぞ!」
「確かに!」
「隙あり!」
一瞬かなたが気を緩めたとたん一気に距離を詰められ、目の前まで龍輝が来てしまった。
なんて間抜けなことだ。
慌てて剣を振るうかなたをかわし背後を取ると龍王の力を解放し、思い切り後頭部めがけて右ストレート!
しかし何故かからぶった。
剣を慌てて振ったのが奇跡的に攻撃をかわすことになるとはかなたは予想していなかった。
「あっぶな!後頭部剥げてないよね!?」
(ダイジョブだ!見えてないけどな)
「見えてないならわかんないじゃん!」
(そんなことより次来るぞ!早く俺の力を使えって!)
龍輝は完全にかなたを殺しに来ているようだ。
「おいおい、これじゃ俺が死んじまうって」
(かなた!なんか覚えた技使え!)
「そ、そうだな!行け!水鉄砲!」
かなたは剣を左手だけで持つと、右手で鉄砲の形を作り龍輝に向けた。
人差し指からは威力は弱いが水が飛び出す。
「なに!」
水が運よく目に入ると龍輝は少し体制を崩した。
そのすきに剣で殴る!のかと思いきや左手に持った剣先の反対、まさかの柄頭で龍輝の頭を打った。
なかなか痛かったのだろう龍輝はその場にうずくまった。
「俺の勝ちでいいよな」
「まだだ、ここで終わったら桜を助けられない……」
「そういえばさっきから桜って、もしかしてここに来る時一緒だった子か?」
「!?……どういう事だ」
「いや、ここに来る前その桜って子に襲われて、かなめと知り合いだったみたいで龍輝のところにいこう!って軽い感じで来たんだけど……」
「だからあんなにふにゃっとしてたのか」
「いやそれは……」
「それで、桜はどこにいる!桜が無事なら早くここから出よう、かなた、これからは友達だ!」
「え!切り替えはや!……分かったよ、これからは友達な」
あっさり問題が解決してかなめと桜を探しに行こうとする二人だったが、そんな簡単に終わる話ではなかった。
突然扉が開くとぞろぞろと研究所の組員たちが二人を囲った。
「なあ龍輝、これってまずい?」
「かなりまずいな……」
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