9話 水たまりが喋るわけないだろ
「蒸発するぅ!」
かなたは今、水になっていた。
「まあ落ち着け、俺の水は特殊だからダイジョブだ!」
「……信用ならねぇ」
「なんだと!?俺は大星では嘘つかない有名なんだぞ!?そんなことも知らないなんて、今どきのおこちゃまは!」
「いや、知るわけないでしょ……あったばっかだし、大星行ったことないし」
「確かに」
水竜は納得したらしい。
「で、これどうするのよ……」
「そこまでは考えていなかったな、契約した時点で水になれる実力はあると思っていた、そして水になれた」
「だけど人に戻る実力はなかったと言いたいのか……」
かなたはかなり落ち込んだ。
「水になれるけど人に戻れないって……何なんだよ俺……」
「ま、まあ落ち着けセカイが来たら何とかなるだろ」
「それまで我慢しろと?この水たまり状態で?」
そう、今のかなたは雨が降った後の水たまりと全く同じ状態なのだ。
そして、喋ってる声はほかの人にも聞こえるので聞かれたらかなり恥ずかしい、というかやばい状態なのである。
ちなみに水竜の声は聞こえる人と聞こえない人がいるのだがその条件をかなたはまだ知らない。
なぜか?水竜が教えていないからだ。
子供が通りかかった。
「ねえママ、あの水たまりじゃべってるよー」
(こんなに晴れてるのに水たまり……田んぼの近くだからかしら)
お母さんは不思議そうにしていた。
「え?そんなわけないでしょー」
「……」
「おい、かなたー、何で急にしゃべらなくなった?」
「…………」
「おーい」
「………………」
「おーい!」
「……」
「おい!何で無視してるんじゃぁ!」
「無視するに決まってるだろー!水たまりが喋ったら変だろうが!」
かなたはキレた。
その声に反応し、子供が振り向いた。
「ほらー!ママじゃべったー!」
「!?は、早くここから離れましょ!夢よ、これは夢!それか空耳……!」
親子はすたすたと逃げるように離れて行った。
「ほらな!喋ったらこうなるんよ!」
「なんかすまん」
落ちたところは田舎の田んぼ道だったおかげか、この先セカイが来るまで他に人は通らなかった。
水たまりになってから1時間くらいたった頃、ようやくセカイたちが到着した。
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