アイエー2 思い込みを捨てろ、異世界行ったらモテルという思い込みを、だ。
気が付くと知らない天井だった。タカシは足りない頭で考える。これはもしかして、異世界召喚なのでは、と。彼の頭はハッピーセット並みにゆるゆるだった。しかし、意外にもこれが正解だった。彼の異常な思考回路と異常な出来事が重なった瞬間だった。
「目が覚めましたか?」
タカシに声をかけるものがいた。メイド服を着ていた。メイドは言った。
「初めまして勇者さま!」
タカシは勇者として召喚されてしまったのだ。
着替えをさせられる。そして何やら奇妙な物体に触るよう促される。どうやら、能力を測定するアーティファクトらしい。触る。アーティファクトは光輝くのだった。
「これは一体?」
タカシは問う。
「勇者召喚された者はチートなスキルが付与されます。これは鑑定石といいスキルの詳細が見れるアーティファクトです」
メイドは答える。
「チートスキルキタコレ!!」
タカシは叫んだ。どこまでも脳内ゆるゆるな男であった。彼にもう少しまともな知能があれば、己の置かれた状況に対して危機感を覚えるのだが、脳内ハッピーセットを拗らせた彼にはそこまで頭が回らない。彼の胸中にあるのは異世界でチートスキルを貰って大活躍、ハーレムを作ってハッピーエンド!という信じがたいものであった。そんなんだから万年ノルマ未達なのだが。
彼が物思いに浸っている最中、メイドはアーティファクトを解析していた。
「こ、これは!!」
「ゴクリ」
「け、け、ケツ魔法?」
「何それ?」
「私が知りたいです!!」
彼が身に着けたのはケツ魔法というよく分からないスキルだった。