アイエー1 現実はクソ、はっきりわかんだね。
「アイエエエ未達!ノルマ未達なんで?」
会議室に絶叫が響いた。
「ふう、やれやれ」
「やれやれ、じゃねーよ、カス。何がやれやれだ、ぼけ。タカシ、オメーいつになったら数字出せるんだよ。!お前何しに会社来てるの?お前にとって仕事って何?ぼけっと椅子に座るのが仕事のつもりなの?こんなのもう泥棒じゃん。給料泥棒じゃん!周りに悪いとか思わないの?え?お前の尻ぬぐいを誰がするとおもってるの?」
「・・・・・・・」
「え?なんで黙るの?話聞いてなかった?聞いてなかったの?」
「・・・すみません」
「あれれ?やっぱり話きいてねーだろ?誰が謝れって言った?話を聞いているのか、否か尋ねてるんだけど?それすらも分かんないの?ねえ、もしかして舐められちゃってる?ねえ?」
「・・・めてないです・・・」
「え、今なんて?」
「舐めてないです!」
「もうちょっとさ、はっきり喋ってくんない?なんで聞き返さないといけないのかな?その分の時間がもったいないんだけど?君今さ、会社に損害与えてるんだけど、その自覚ある?あるわけねーよな。あったらそんなことしないもんな。あーあ。どうすんのこれ?って、君に聞いても無駄だよな。あーあ」
「・・・・・・」
「はあ。ダンマリかよ。君は楽でいいね。黙ってればそれでいいと思ってるんでしょう?」
「・・・すみません」
「すみません、じゃねーんだよなぁ。ああもう、こんなんじゃ、鬱になっちまうよ。鬱。分かるか?」
「・・・・・・」
「君さ、いつでも辞めていいからね」
「・・・・・・・」
彼の日常は、こんな感じだった。成績が上がらないため、上司に詰められ、そのせいで成績が上がらないという負のスパイラルである。そんな彼の唯一の楽しみは酒だった。コンビニで安酒を買い、公園で飲むのが日課であった。今日も、やりきれない気持ちを抱え、下宿先のアパートへ帰ってきた。いつもの日常。しかし、今日はたまたま運が悪かった。彼は階段を踏み外してしまうのだった。