The Insulated World
●ハードな作風を維持しながらも、より分かりやすくなってキャッチーさも増した傑作。
【収録曲】
1.軽蔑と始まり
2.Devote My Life
3.人間を被る
4.Celebrate Empty Howls
5.詩踏み
6.Rubbish Heap
7.赫
8.Values of Madness
9.Downfall
10.Followers
11.谿壑の欲
12.絶縁体
13.Ranunculus
DIR EN GREYが2018年にリリースしたアルバム。今作の収録曲は全体的に短めで、ハイテンポで一気に駆け抜けていく曲が多いように思えました(『絶縁体』のように7分を超えている曲もありますが)。また、『人間を被る』や『詩踏み』、『谿壑の欲』や『Ranunculus』のように「静と動」の抑揚を付けて明確にインパクトを出した曲も目立つ印象があります。特に、『谿壑の欲』は「A、Bメロで溜めてサビで一気に爆発させる」という彼らにしてはかなり分かりやすい構成の曲になっています。
また、「父よ母よ 許して欲しい」(Devote My Life)や「生きたい 生きたい 生きたいでしょ?」(Rubbish Heap)、「信じる事 そうそれだけだ」(絶縁体)のように、意味からして非常にストレートな歌詞が多くなったように思えました。まあ、こんな風に文字に起こすとダサく感じなくもないですが、サウンドは相変わらずヘビーでシリアスな要素を強くはらんでいることもあってか、「曲」として聴くと切れ味の鋭いフレーズになっており、こちらもある種の「インパクト」として上手く働いているのではないでしょうか。
従来通りのハードな世界観を維持しながらも、程良くキャッチーさも加味された傑作。作風自体は依然としてリスナーを選びそうですが、良い意味で「間口」が広がったようにも感じられるアルバムでした。
評価:★★★★★