20話 馬車の密会。
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「同盟を切った?」
「はい。対外的に表立って公表している国に当てはまります。」
表立って公表しているということは裏ではもっと酷いことになっていそうだな。
「そして暗殺者を送っているところも主にその二国かと思われます。」
「それ以外の国はどんな感じなんだ?」
「すいません。私には分かりません。ただ学習国家。ワーヘイム学園都市はどこの国に対しても中立を示しており余程のことがなければ参加しません。」
「なるほどな。」
基本的には各国から子供を集めているから一つの国が抜け駆けしよう物なら他国からの物凄い制裁が来るということか。
「次に質問だが、この国の民衆はこの事を知っているのか?」
「知りません。私もこの護衛に付いて初めて知りました。」
王家はこの事に付いて黙認しており民衆を人質に逃亡したことにならないか?自分大事なのは分かるが酷くないか?
「最後にこの後お前達はどうする?」
「私達ですか?」
「あぁ。お前達だ。俺の予想では多分酷い目に合うぞ。今は王女達を保護しているが今後は分からない。」
「私達は……王女様方について行くだけです。」
「護衛という輸送の仕事が終わったらどうするつもりだ?衛兵隊長に戻ったとしてこの国にいたいか?」
「私は過去。大事な人を無くしています。私は騎士になって人々を救いたいと思いましたが。残念ながら私にはそんな力はありませんでした。でも助けることは出来ると思っています。そのために戻ります。一人でも多くの人をお救いする為に。」
「もし。戻って来た時に国が無くなっていたら?」
「……何故。聞くのでしょう。」
「現状のまま話しただけだ。サマール衛兵隊長様は守りたいと話した。でも今は護衛をして隣国に逃げている。もし戻ってきたとしても日数が経ちすぎており焼け野原になっていました。と、なるんじゃないか?」
「それでも…敵のトップを斬ります。」
男としてそこは譲れぬ思いらしい。過去に大きなものを背負い真っ直ぐ見つめる目は俺には眩しいな。さて。衛兵隊長の思いも分かったことだし。次はお姫様だな。
その後は雰囲気が少し重なったのと時間的にも話の話題的にも無くなったので、終わることにした。彼の思いは俺には分からないが彼は彼なりの精一杯頑張ってくれるだろう。
俺とヒカリは馬車から出て彼女達の部屋に付くまでに軽く話す。
「ヒカリ。どう思う?」
「危ない人だと思いました。」
「やっぱりか。」
「勇者みたいに強くなれるのであれば強い精神の持ち主で終わるのですが……。」
「今の状況じゃただ危うい青年でしかないな。」
「はい。」
俺は元々護衛組に対してそこまで心配はしていなかった。てっきり姫様方の護衛なのだと思って接したが実際は違い、ただの一騎士でそれも衛兵隊長という別の役職の人がやっている始末。
この国は元々人材的にも不足気味で色々しっちゃかめっちゃかになってるんだろうな。その隙に他国へ攻められている状況が今なんだろうな。
民衆を捨てて国王と王妃は普通に逃げている現状から道具としか見ていなさそうに思うが。はてはて。
さらに悪いことに一匹の鳥が他国。具体的に言うとラフラナ連盟国が軍を編成している所を確認している。元々交流を持ったのは領土を貰おうと思っての犯行だろう。
まぁ。この国の事なんで別にどうでもいいと言われればどうでもいいんだが。ちょっと一人興味がある姫様がいるがその人の反応でやり方も変わりそうだな。
俺はそんな事を考え扉の近くに行く。近くにはラーゼライが立っており軽くちゃんと見張ってくれたらしい。
ラーゼライとは後で全て話すことは決まっているのでこの時はアイコンタクトの返事で終わる。ドアの前に来ると一息整えノックする。
返事はなく目の前のドアが開かれヒラカさんが現れた。
「どうぞ。」
そう言われ中に入ると一番下の子は寝ており一番上の子はこちらを睨んでロープでグルグル巻にされていた。なんで〜。
「まずは改めて申し訳ありません。その上でありがとうございます。」
「いや。たまたま奇跡が重なっただけだ。例を言うならあそこにいるラーゼライに言ってくれ。」
「ありがとうございます。」
ヒカリさんはラーゼライの方にも行き頭を下げて礼をする。
「ああ。」
ラーゼライは困ったように言いつつこちらに目線で「お前もだろう。」と言われた気がするが無視。
「早速で不躾なお願いかと思いますがアラス様と二人でお話させて頂けませんか?」
俺は急なお願いのため少し悩んでしまったが実際は俺の方が誘おうと思っていたことでもあり了承をした。
流石にここにバチバチのリリアーナさんとラーゼライを置くのはやばそうなので一旦解散をする事にする。
ヒカリとラーゼライはかくかく別の所。リリアーナと下の子は部屋にいてもらう。俺とヒラカさんとは別室にて話し合いをする事にする。
別室の部屋に入りまず軽くでも疑問を解消するために話す。
「ヒラカさんは俺と二人で平気なのか?」
「どういうことでしょうか?」
「ヒラカさんから見れば敵に見えるだろう。それに男だからな。そんな事は思うだろう?」
「確かに思ったりはします。でも現状は私達が借りている側。文句は言えません。それにアラス様を見ていると心が暖かくなる気がするんです。」
「暖かくなる?」
「はい。具体的にと言われると困ってしまいますがなんとなく悪い人には見えません。万が一襲ってきたとしてもアラス様なら良い気がします。」
「良い気がするって。」
俺は苦笑いしつつ彼女との距離感にびっくりする。俺達が合ったのはまだ一日も経っていない。それにこの距離感。流石にびっくりした。
「それにアラス様。私の事はヒラカでいいですよ?」
「それだと俺だけ不公平じゃないか?」
「いえ。私は貴族の一人。言葉遣いは日常からしていないとボロが出てしまって。」
「分かった。君がいいと思った時敬語はなしで喋るといい。」
「はい。ありがとうございます。」
これは食事で言うところの前菜。これからがディナーの濃い味が始まりそうだ。
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