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マスターの転生遊楽旅  作者: Ryuryu
一章 ダンジョン編
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1話 日常から非日常とは些細なこと。


初投稿です。よろしくお願いします!


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「ゆずるちゃん。」


俺はそう呼ばれる。


「姉ちゃん。その呼び方やめろっていてるだろう?」


「いいじゃん。楽しいことは正義だよ?」


そんな事を言われても分からない。


「はいはい。こちとら勉強で忙しいんだけど?」


「教えるよ!姉ちゃんに任せなさい!」


姉ちゃんはそう胸を張って出来るぞアピールをする。


「大丈夫なのか?」


「大丈夫。大丈夫。何とかなるなる。ゆずるちゃん。一つ質問をしていい?」


「何?姉ちゃん。」


「ゆずるちゃんは本気で取り組んでる?」


「なに…………を………。」





ピロロ。ピロロ。ピロロロロロロ!!!


「うるさい!」


バシッ!と目覚まし時計を止める。


「うるさ。設定ミスったか?」


目を指で擦りつけながらベットから出る。俺はその後近くにあったカーテンを一気に開け、外を見ると天気は快晴で小鳥が歌を歌っているように聞こえる。


辺りを少しだけ見たあと洗面所に行き顔を洗い冷蔵庫に入ってある。シュワシュワのおにぎりを電子レンジにぶち込みスタートボタンを押した。


「月曜か。最高の月曜日だな。」


皮肉げに独り言を喋ったあと制服に裾を通し、着替えて近くにあるカバンと机に置いてある勉強道具をバックの中にしまったと同時に電子レンジのピーーーという音が辺りに響く。


電子レンジからシュワシュワの温かいおにぎりを手に取って、近くのカバンを持って出かけようとした所である事を思い出した。


「ヤバっ、忘れた。」


俺は急いで仏壇の前に正座をして戸棚の所から線香を焚く。


「姉ちゃん。行ってきます。」


前にあるのは元気で手を振っている姉。最中弥夢(さなかやゆ)の写真だった。


俺の名前は最中柚留(さなかゆずる)よく姉ちゃんにはゆずるちゃんと呼ばれたいた。


しかし一年前。子供を助けるために交通事故で亡くなった。即死だったらしい。


俺はその日。友達の補習を手伝うためその日だけたまたま学校にいた。まさか最後の言葉が「ゆずるちゃんご飯用意して待ってるからね!」とは思わなかった。


姉ちゃんが亡くなったことは知ったのはちょうど下校中の時、携帯の電話がなった。


「はい。もしもしどなたでしょうか?」


「すいません。刑事の物です。」


「は…はい。なんでしょうか?」


「貴方のお姉さんが今日の4時頃交通事故によりお亡くなりになりました。」


「は?」


この時の俺はなんにも考えられなかったのだと思う。刑事言葉なんだったのかも分からないし、俺が何処を歩いているのかも分からなかったことを覚えてる。


幸いかどうかは分からなかったがお金の面は安心だった。親、両親ともに亡くなっておりその上姉ちゃんまで亡くなり俺も大学生だったためか仕事をしなくても食っていけるだけのお金はあったが。お金と土地だけしか残らなくなった。


それからだろうか。何事にも本気で取り組むことは無くなった。何故なのは分からない。でも何となく諦めだったのかもしれない。


俺が何したいかも決めないまま今の歳まで来た。今は大学二年生。普通なら青春真っ盛りで友達とよく遊んだりするんだろうが、こっちはそのやる気も起きなかった。


過去を引きずるのは良くないと、頭では分かってはいたが心の切り替えが難しかった。何故一緒にいなかったのか。何故止めなかったのか。どう考えても止めることなど無理だと分かっていても考えてしまう。


両親に関しては切り替えが出来ている。姉ちゃんのお陰で立ち直れた。でもその姉ちゃんも亡くなった。二十歳にもならない歳で。


俺はいつも通りの生活をしている。家を出て、学校で勉強をして、帰りにバイトをして、帰る。この毎日のルーティンを無言で頑張る。


しかしある時、一人少女によって壊された。何気ない日常の会話。落し物を拾って渡しただけのこと。


「ねぇ。お兄ちゃん。今。本気で取り組んでる?」


俺はその言葉を聞いた瞬間胸の奥がドクン、ドクン、ドクンっと早くなるのを感じる。少女の瞳の奥から見透かされているような感じがする。


「お兄ちゃんは今。楽しい?それとも辛い?」


背筋が凍る。動悸が早くなる。全身から汗が滝のように流れる。それでも少女の瞳を離すことは出来ない。


「お……おれ……は……」


「お兄ちゃん。」


それは、俺に対してなのか、それとも俺の中にいる誰かなのか、はたまた別の人なのか、分からない。


「お兄ちゃん。」


一つ目の言葉は優しく、二つ目の言葉は強く言われる。なにかに誘われているかのように聞こえる。


「次は後悔の無いように気おつけてね?」


違和感が有りながらも少女特有の笑顔で俺の心を溶かす。だんだん視点合わなくなり、暗くなってくる。でも一つだけ言わなければならない。


「また…会える…か?」


何故か聞かなければならない気がした。どこか遠く行って戻ってきてくれ無さそうなそんな曖昧とした感情に支配され疑問を口した。


「うん。また。会おうね。お兄ちゃん。」


それを最後に気絶した。


そして次に起きた時は何処とは知らない洞窟の中だった。


「ここは、どこだ?」


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