発足編8
目安箱設置案件!
そして咲良は暴走する!?
一丸となって制作した目安箱は4つ完成した。
一つは部室前に、もう一つはすーさんが勝手に作った支部に。
そして残りの2つをどこに設置するかで意見が割れた。
すっかり放課後の予定を忘れた面々は大論戦を巻き起こしていた。
「やっぱり体文しかないでしょ!」
「えー? でも普段人がたくさんいるのかなぁ」
「う~ん……他に人が集まる場所ねぇ……」
体文を主張する栞菜に疑問を呈する茜。
他に人が集まる場所がないか苦慮するまこと。
そして現代三条を知らない姫子と四季彩は、そんな3人を順繰りに見回すしかなかった。
「なんだよなんだよ! せっかく作っても設置場所が決まらねーと意味ねぇぞー」
「だったらお前がいい所を見付けてこいよ!」
「あぁ!? テメー先生に向かってなんだその態度は!」
しまいには軍司と伴峰のいつもの諍いが始まり、何故か調停役に手持ち無沙汰の足軽教諭が付くこととなっていた。
権爺もすーさんもいい場所が思い付かないのか、腕組みをして中天を見詰めている。
そんな中、無口担当の海鏡は、アヒル口をして同じく難しい顔で唸る咲良に振ってみた。
「……咲良はどこかいい場所、思い当たらないのか……」
「なっ!? か、海鏡が自分から喋りやがった……」
それは余程珍しいことなのか、一同は黙り込むと咲良を見詰めた。
「う~ん……それは人が集まる場所も大事なんだけどさぁ、色んな年代の人から投函してもらいたいんだよね……例えば年寄りが集まる所とか?」
その言葉に放課後の予定を思い出した栞菜は、それが名所であると確信し発言した。
「なるほど! じゃあ歴史研究クラブはどう!? あそこは三条の歴史に精通したご老体がわんさか来るし! ついでに放課後、クラブに顔を出すのを忘れていたじゃない!!」
「ほほう。名案じゃぞ! あそこは毎日様々なシルバーが顔を出すぞい! なぁ栞菜」
話を聞けば栞菜が歴史研究クラブに顔を出すようになったきっかけは、権爺の口添えがあったお陰なのだという。
一同に異論はなく、第3の設置場所は歴史研究クラブに決まった。
残るはもう1ヶ所なのだが。
栞菜の意見にヒントを貰ったすーさんは閃き、声を張り上げた。
「そうだ、コーヒー屋なんてどうでしょう!?」
コーヒー屋とは萬屋が集まる際によく利用する喫茶店であり、レトロな雰囲気と夜になればジャズバーに早変わりする二面性を持ったお店であった。
「それってどこにあるの!?」
「東三条ですよ! 決まりとなればこの帰り道に寄って早速設置の許可を頂こうと思いますがねぇ?」
性急なすーさんの口調に反対者はなく、第4の設置場所も決まったことになる。
「まぁ設置したら未来永劫撤去できないわけでもなし、取り敢えずはこの4ヶ所で進めてみましょ!」
まことの発言にて目安箱設置の件は決まり、栞菜と権爺は明日の夕刻、歴史研究クラブに顔を出して目安箱設置を願い出ることとなり、コーヒー屋に至っては、もはや許可を得たとばかりにすーさんはこう言ってのけた。
「では後日、改めて鍛冶ガールの皆さんはお礼にコーヒーでも飲みに行ってくらはい! ではでは」
「よーし! 盛り上がってきたぁ!! 後はこの部室に専用の電話とWi-Fi環境を整えれば準備万端だよ!」
電話? Wi-Fi環境!? そこまで必要なの!?
咲良を除く鍛冶ガールらは当然そう疑念に思わずにはいられなかったが、物語を先取りする咲良は皆より一歩も二歩も、なんなら三歩も四歩も先を進んでいるようで、そちらも伴峰と海鏡らには既に話は行き渡っているようであった。
「おぉ、電話な。明日には設置することになってんよ!」
「Wi-Fiももうルーターが設置してある。YouTube見放題だ……」
「やったね!! じゃあ明日はパソコン持ってくるから!!」
パソコン??
またしても咲良を除く鍛冶ガールらは疑念を再燃させたが、咲良はキッパリ言ってのける。
「鍛冶ガールPresents! ようこそ超常現象解決部へ! どう!?」
何が!?
「だからぁ部のホームページだってばぁ! 名付けてネット目安箱! むっひひぃ」
もはや誰も咲良を止めれないのだと気付き、この日より様々な超常現象が彼女達に降りかかることとなるのであった。
つづく
これから少しずつ更新頻度を上げていきたいと思います、応援萬しくお願い致しますです(*`・ω・)ゞ!!