発足編6
分かりやすいように説明を付けながらの進行です!
咲良は猪突猛進型の鍛冶ガールのリーダーです。
ボーイッシュでスカート丈は膝上20センチと短く、本人いわくお尻に自信があるんだとかなんとか(^^)
萬しくお願いします!
伴場教諭改め、八龍神について少し説明が必要だろうか。
天文令和大騒動にて咲良達、鍛冶ガールが出会った仲間の中でも全てを司るといわれた存在。
それが真羅八龍神なのである。
八龍神はそれぞれが源となる聖なる力を保持し、鍛冶ガールらと心を交わらせることで彼女らの秘めたる力を開放した経緯がある。
例えば雷龍である伴峰は同じ雷の属性を持つ茜、瑞龍たる海鏡は水の属性の姫子といった具合に。
「今は伴場峰助っつー名前で教師だぜ! 受け持ちは体育な!」
「……私は海野鏡子。古文……」
一同は驚きを納めるどころかまったく答えになっていない二人の解答に、逆に混乱と錯乱がいっぺんに降り注いだかのような慌てぶりであった。
伴峰も話の腰を折るように今現在の話から始めるから悪かった。
そこに食いついたのは犬猿の仲の軍司である。
「だからよぉ、なんでよりによってお前が現代にいるんだっつー話なんだよ!!」
「あん? 相変わらず口の聞き方を知らねぇチャンバラ小僧だな! 教師の権力使って無き者にすっぞ」
教師にそんな権力はないとばかりに、軍司がメラメラと敵対するのには訳があった。
茜に密かに、いや全然もろばれではあるが、恋心を抱く軍司であったのだが、八龍神が鍛冶ガールのそれぞれの力を開放する時から伴峰が気にいらなかったのだ。
と言うのも、伴峰は茜を手玉に取ったかのように珍奇な躍りをさせ、素直で礼儀正しい茜に仄かな好意を寄せていたからに他ならない。
つまりは男だったから気にいらない。
ただそれだけなのだ。
所謂、恋敵というやつか、伴峰は軍司が生意気な言動に及ぶ度に、龍神の威光を笠に着て凄んだのだが、鍛冶ガールらが選択した世界は、人も神も、そして魔族ですらも平等に仲良くやっていけるようになっていた。
三族平等を逆手に取り、本来であれば軍司が楯突くことすら出来ぬ存在である八龍神と張り合えるのもそのお陰という寸法であったか。
「わかったから! ちょっと黙りなさい!!」
茜の鶴の一言でしおらしくなる伴峰と軍司をよそに、茜は何故龍神が現代に、そして自分達の学校の教師をし、鍛冶ガールに関わってきたのかを無口担当の海鏡にズバリ聞いた。
しかし、無口な海鏡は説明するのが億劫だったのか、窓の脇に併設された出入口付近をじっと見詰めだした。
普段でさえ何を考えているのかサッパリ分からない海鏡であったが、程よくして外から内部を覗く人影が現れた。
「よぉ! 元気にしとったかねぇ!?」
「あー! 権爺さん!!」
久しぶりに会うその老人は、例の大騒動にて現代の司令塔役をなした人物であり、まことの祖父とも昔からの友人であった。
驚くことにこの老人は市長を歴任し、数えれば10期40年も市長として地元に貢献した重鎮でもある。
そんなに続けてよいものなのか。
「いやなに、お前達がなかなか苦戦しとるようなんでなぁ」
苦戦とは要するに一般市民を困らせる妖怪やら、問題を起こす神様達を鎮める立場にある鍛冶ガールらであったが、1つとして問題解決に導いて来てはおらず、見かねた形で権爺がまことの祖父たる巌鉄斉と共謀して八龍神に願い、このような場を設けたのだと言う。
「だが流石はリーダー咲良だな。部活として発足し、目安箱とは畏れ入ったわ! ナハハハハ」
「でしょでしょー! 超名案でしょー!」
改めて席に付いた面々は権爺主体のもと、決めなければならない案件をサクサクと決めていった。
第一に部長であるが、そこは今をときめく鍛冶ガールのリーダーたる咲良で異議なしとなり、副部長には半人前ながら姫子と四季彩の2名が選出され、決定された。
「ご迷惑かけるかもですが、お願いします! 咲良さん!」
「わわわ、私のような不束者ですが、精一杯努めさせて頂きます! よろよろよろ、宜しくお願い申し上げます! 部長!」
部長という響きに満更でもない顔をした咲良であったが、次に彼女の言う目安箱をどこに設置するかという議題に入った。
「まずはこの学校っしょ!」
「あのねぇ咲良……まぁそれはそうだけれど……あと数ヶ所は設置したいところよね?」
「そうね。まことの言う通りだよ。だけどどこがいいのかなぁ……」
「オホンッ、それは人が集まる場所がいいに決まってんでしょうが!」
自信満々で言ってのけた栞菜に鋭いツッコミを入れたのは普段はおっとりしている姫子であり、慌てん坊の四季彩であった。
「人が集まる場所ってどこですか?! 栞菜さん!」
「えっ!? ……っとぉ……体文とか!?」
「体文ってなんですか!? 栞菜さん!」
「あ、あのねぇ! 新たに出来た三条のシンボル、三条体育文化センターに決まってんでしょうが!!」
「あれ? でもなんか名前が変わったんじゃなかった? まこと」
「えぇ。今は三条体育文化会館よ! 栞菜」
普段物知りで通っている栞菜でも間違えることがあるのだと一同は笑ったが、メガネを外した栞菜は叫んだ。
「そんなのどっちだっていいでしょー!! 今は設置する場所の話よ!!」
なかなか設置場所が決まらぬ事態を打開すべく、権爺は新たな助っ人を呼ぶために、最近覚えたばかりの携帯電話を懐から大事そうに取り出していくのであった。
「なんだぁ!? また誰か呼ぶのか??」
「わっかんない! けど次は誰が来るのかなぁ……」
軍司と咲良は馴れぬ手付きで電話を持つ権爺に熱い視線を送るのであった。
つづく
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