発足編 最終回 始まり地で!
三条マルシェでの苛烈を極めた文字通り男同士戦いは最終的には天界から舞い戻った嘉坪山の勝利で幕を閉じ、それから早数週間が経ったある日、咲良は登校前の僅かな時間に超常現象解決部の面々を三条城が一望できる嵐川橋に呼び集めた。
決着の後、千秋楽が三条城敷地内で新たに妖怪大相撲なるものを立ち上げ、それと並行して食事処ちゃんこ嘉坪を開店することを容認した彼女らは、それぞれは違った形で応援してきていた。
咲良とまことは共に妖怪大相撲のプロデュースを、茜と軍司は広場の整地、栞菜と姫子は食事処のデザイン、四季彩は地産地消の名の元に農家を奔走し、萬屋の面々はバイトする妖怪達のサポートに回った。
もちろん長老衆は町に理解と協力を要請、これには行司を務めた宮天狗が加わったことにより大きな反対もなく全てが順調に進んでいた。
そしてそれもようやく実り、本日に至るわけなのである。
咲良は欄干にもたれ掛かるようにそんな熱気むんむんな城をワクワクドキドキしながら望み、皆が揃ったところで口を開いたか。
「今日からちゃんこ嘉坪がプレオープンするんだって! 色々と協力してくれた人達をたくさん呼んで賑やかになるんだろうなぁ」
学校があるが故に参加出来ないことを残念がる咲良は振り向くと、これまで多くの人々との交わりと協力なくして今回の事件を解決に導くことは出来なかったと部長らしくまとめ上げたが、その場が何故ここなのかと一同は不思議でならなかった。
「だってさぁ。ここから始まったんだよ!? あたし達の物語は!」
「そうだったわね。始めはあのお城が蜃気楼(※)だったんだもんね」
「天文時代のあの城には景虎様がいらっしゃられたのよねぇ❤」
咲良を慮ってか、景虎の話を遠慮なしに楽しげに話す栞菜の口を抑えた姫子とまことはごまかすように言葉をつづる。
「そ、そうですねぇ……今や善玉妖怪達が楽しく過ごしてるなんてとても不思議です!」
「えぇ。私達の行動も少しは世界の平和のためになってるって実感するわよね」
「そうですとも! 超常現象解決部がある限り地球の平和は永久に不滅ですわ!」
後方でそんな鍛冶ガールらの会話に耳を傾ける三顧問と萬屋すーさん、そして軍司らは顔を見合うと微笑み合い、権爺が口を挟んだ。
「その通りじゃ! これからも我々がいついかなる場合とてお主らをフォローしてみせる。お主らはその直向きな心の思うがままに突き進めばよいのじゃ。そうですな? 龍神様」
「まぁな。俺も天界で暇してるよりかはよっぽど楽しいしな! なぁ? 海鏡」
「……うん…………」
「およばずながら萬屋も全面的にサポートするです! はい!」
「まぁ俺は大騒動の時からの用心棒みたいなものだし! それに足軽先生もやる気出たみたいじゃないっすか!」
「えぇ! なんだか今からワクワクしてきましたよぉ! 見て下さい、妖怪・千秋楽の手形付きサイン色紙! 部室に飾りましょうか」
空は一層高く、日照時間が少ない日本海側のとある町を照らし出す。
さながら何か大きな力によって守られるかのように。
無銭飲食を繰り返した千秋楽の更生に町の料理人達は惜しみない協力を、バイトでお世話になっている土木関連の業者は立派な土俵、そして稽古場の建設に従事しゆく。
数多の妖怪と神々、はたまたその頂点たる龍神が揃い踏みする不思議な町。
今をときめくうら若き美少女集団・鍛冶ガールがいる町。
鍛冶の町、越後三条はさらに活気づいていくのであった。
「んじゃまぁ学校でも行きますか! 鍛冶ッガールゥゥゥ、出陣!!」
『おう!!!!!』
リーダーにして心優しき咲良を筆頭に生真面目な茜、ぶりっ子な姫子、天然四季彩、博識の栞菜、そしてまとめ役まことらは自転車を駆り母校は三条南高校へと溌剌と向かう。
そして美少女達の物語はまだまだ続いていくのであった。
※前作鍛冶ガールを参照
これにて鍛冶ガールNext!!超常現象解決部発足編は終わりとなる。
この本編をA面として、その舞台裏、鍛冶ガールの6人らのサイドストーリー、B面を数話つづって終わりとしたいと思う。
鍛冶ガールNext!!〜超常現象解決部〜
発足編 A面 完
次回、B面その1 姫子とお買い物
これにて一件落着!
B面のサイドストーリーを数話つづって終わりとなります、よかったらブックマーク登録などよろしくお願いしまぁーす(`・ω・´)ゞ




