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発足編23 団結の先にはその日、迫る!

 咲良が偶然見付けたSK探偵事務所なる謎の組織、そしてそこが掲載する地元に特化した超常現象の数々。

 言ってみれば鍛冶ガール、超常現象解決部に協力しようとしているとしか思えぬその事務所に、心当たりがあるまことは真剣な目つきですーさんを問いただしていた。



 すーさんはついに話す時がきたのかと一つ咳払いをするとゆっくりと、そして話す内容を頭の中で整理しつつ喋り始めた。


「たぶんまことちゃんが思っている通りの()()が運営しているのがSK探偵事務所です。俺達萬屋は鍛冶ガールを全面的にバックアップするために日々奔走しているんだけど、それにも限界があるんだよね。そこで外部組織にも協力を……と言うか()()()萬屋から切り離して独立した団体を()にやってもらっているのよ。まぁ、それが彼のやりたかったこととリンクしたから出来たことなんだけどね」



 話の意味がサッパリ分からぬ咲良はまこととすーさんの顔を順番に見ては首を傾げるしかなかった。

 そしていつの間にかキレイに食器やらを片付けた茜らもその話を拝聴していた。


「その人は何処にいるんです!?」

「…………それは言えない。彼の希望で内緒にしていてほしいと釘を刺されてるんだよね」


 咲良らはどうやらまことがSK探偵事務所について何か知っているのだと確信し、誰が運営しているのかまことに聞かずにはいられなかった。



「はぁ……みんなよく知っている人よ。SK……つまりS(柊一)K(鍛冶町)。私の兄よ……」


 鍛冶町柊一(かじまちしゅういち)

 まことの3つ上の兄であり、先の天文令和大騒動ではまことと彼の祖父にして世界に有名を馳せる鍛冶師である第十三代目巌鉄斉(がんてつさい)らと共に鍛冶ガールに協力してくれたのだ。


 眉目秀麗(びもくしゅうれい)でスラッと背が高く、いつも涼しげな表情をしていた柊一は騒動後、忽然(こつぜん)と姿を消していた。

 まことが気になっているのはどうして急に行方をくらましたのか、元気でいるのか日々心配する毎日を送っていたのだ。


 すーさんの話によると、萬屋に出入りするようになった柊一はその仕事の内容、取り分け探偵業に強く興味を示し、すーさんの伝手(つて)で東京の事務所に探偵の勉強に行っていたのだとか。


 帰郷後、SK探偵事務所を設立し、目下三条市に蔓延(はびこ)る様々な超常現象をスクープし解決部の手助けをしていた。



「えー!? まことのお兄さんだったのぉ?!」

「そ、そう。けど彼のサイトを教える前によく見付けることができたね」

「そこは()()の執念が! ね! 姫子さん!」

「そうなんです! 咲良()()がきーぼぉどをかたかたってやったら出てきたんですよ!」


 話の具合からただ適当に打ち込んだだけであろうことは咲良がパソコンのビギナーであると知っている茜と軍司であったか。



「まことちゃん安心して下さい。柊一君は元気ですよ! それに彼が東京に行くこともご両親は応援してくれていたようですし」

「そ、そうなんですね。まぁ柊兄(しゅうにぃ)のことだから大丈夫ですよね……」


 ここ最近の心配事が解決したかのように安心した顔をしたまことを仲間達は笑顔で囲んだ。


「さてそれではあと一週間あまり。学業をおごそかにしないように稽古・ちゃんこ・昼寝をやって行きましょう!!」


『おう!!!』



 それから昼間は学校、放課後はムチ昇龍との連携プレー、そしてちゃんこに昼寝と心を一つにするための大三原則は一丸となって遂行(すいこう)された。


 その傍らで栞菜と四季彩は海野と共に実に手の混んだ化粧マワシを作り上げていたし、咲良や姫子は稽古の合間をぬって目安箱に投函されたものを回収し、部活の掛け持ちをする形となった茜と軍司は大忙しであり、生徒会長としての責務を果たしつつもまことも熱心に稽古に参加した。



 町の食を守るという大義名分が出来たムッチもその老体に鞭打って鋼の下半身を作り上げ、精神を研ぎ澄ます力士へと育っていった。



「よしそこで火炎張手!!」

「よっしゃ! いくぜぇぇぇ」

「頑張れームチ昇龍ぅぅ」


「この数日で格段に実力があがってるぜ。俺の式神力士がてんで相手にならねー」

「ムチ昇龍が厳しい稽古に耐えているからですよ!」

「うん……それに咲良達とのシンクロ率も上がっている」


「それでもあの妖怪・千秋楽に勝てるかどうか……」

「足軽先生、なに弱気なこと言ってんすか! 先生の地獄のメニューをこなしてんだぜ!」

「そうですよ。ムチ昇龍と私達の力で必ず勝ってみせますよ!」


「あぁ早くこの化粧マワシを身に着けて土俵入りするムチ昇龍関の勇姿を見てみたいですわね、栞菜さん!」

「えぇ! あたしらがここまでやってんのよ? 敗北の2文字なんてありえないわ!」



「よぉし今日の稽古はここまで! さぁちゃんこにするかぁ!! 今日の当番は誰だ!?」

「はぁーい! 姫子が腕によりをかけた()()()()御膳でぇ〜す」



 もはや一端(いっぱし)の相撲部屋と化した越後三条は南高校超常現象解決部なのであった。 

 



 そして探偵事務所を立ち上げた柊一はある()()()と共に妖怪・千秋楽の監視を怠ることなく三条城に詰めていた。


「おとなしいものですね。宮天狗(みやてんぐ)様……」

「うむ。ヤツも我々が監視しとることを既に承知しとるわい。それもこれも因縁の嘉坪山。もといムチ昇龍との一戦に全てを賭けているからといったところじゃな……」



 柊一はなんと天文令和大騒動で鍛冶ガールらに協力した神々。

 その中でも最も老練(ろうれん)にして奇しくも妹のまこととパートナーを組んでいた宮天狗と行動を共にしているのであった。



 ※天文令和大騒動については前作、鍛冶ガール〜戦国時代にタイムスリップして世界を救う美少女物語参照



 つづく

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