発足編10 謎のサイト発見! その名もSK探偵事務所!?
発足編のあとにサブタイトルを付けることにしました!
鍛冶ガール必須アイテムをズラリとテーブルに置いた咲良、姫子、そして四季彩はパソコンに夢中であった。
咲良は足軽がちょちょいと作ったホームページの雛型をもっと派手にしたいと述べ、姫子は可愛い感じにしたいと主張。
四季彩はお習字のような文字にしたらどうかと、点でバラバラであった。
(いやちょっと待とう! この妙な道具について説明は始まらないのかい?)
空気のような存在、足軽教諭は部室内の一角で脱力しながらも、生き生きと活発に部活に勤しむ美少女らを見詰めたが、いつの間にか部室内に溶け込んでいた海野教諭を見付けるとびくついた。
「あ、あれ? 海野先生、いつの間に」
「……さっき……」
ぶっきらぼうに答えた海野はおもむろに椅子に腰掛けると、咲良達が持ち込んだ道具らを一心に見詰め、ごにょごにょと呪文のようなものを唱え出した。
(またですか? また説明ナッシング!? ていうか、この先生も相当な変わり者だよな……)
「ねぇ、海鏡! 黒鐵とかその一式をどうするの?!」
相変わらず、パソコンから手を離さない咲良は、モニター越しに顔を出すと海野教諭を本名で呼んだ。
「ダメだぞ。学校では海野先生と尊敬の念を込めて呼べ」
尊敬の念を込めなくてはならなくなった咲良は、それでもお構い無しに同じ質問を繰り返したが、それっきり海野教諭は黙りを決め込むと道具類に集中。
そして咲良はパソコン持ち込みの件について、部長席の左右にかしずく姫子と四季彩に説明し始めた。
「あのね、お姉ちゃんがいつも自宅でパソコン使って仕事してるんだけど、あたしもパソコン使って部を宣伝したくなったんだよね! それに情報収集ってやつもかねてね!」
実はかなり歳が離れた姉がいる咲良。
姉である吉乃は、在宅ワークにパソコンを使用し、どうやら咲良はいつも脇でその風景を見ていたようだ。
「それでね、お姉ちゃんに言ったら快く、このパソコンをくれたんだよ!」
そんなわけあるか、と足軽は心ツッコミをした。
それには理由がある。
見ればそのパソコンは最新機種であり、ツルツルのテカテカ。
まるで新品同様だったからだ。
実際にはかなり無理を言って、半ば強引に学校に持ち込んだであろう咲良は乏しき知識をひけらかした。
「ブラインドタッチっていってね、キーボードを見ないでカタカタって文字を打つところがカッコいいんだよね」
言動からして初心者であることは明々白々、しかしパソコンすら知らなかった姫子と四季彩はいちいちオーバーなリアクションでキャピキャピした。
「やってみて下さい! 咲良さん!」
「そうですよ、何か見せて下さいよ!」
「えっ……」
実際はそんなこと出来るはずはなかったのだが、部長の威厳を保とうと、咲良はひきつった顔をしながらも、適当にキーボードを叩いて見せ、最後にEnterを押した。
するとどうだ、デタラメに入力したはずの文字はネットに繋がり、見たこともないサイトへとアクセスした。
「凄いですね!」
「なんなのですか!? これは!」
それは咲良が一番知りたかったが、とりあえず閲覧することにしてみた。
「SK探偵事務所……なにこれ……」
どうやらどこぞの探偵事務所のサイトに飛んだようだが、驚いたのはその探偵事務所は怪奇現象やUMAなどのスクープ写真などを惜しげもなく掲載していたことだ。
「あっ! 見て下さい! 例のお相撲さんの写真もありますよ!」
姫子が目敏く見付けたそれは、確かに三条界隈に時々現れる妖怪だかなんだかの力士であった。
そしてそれらの写真はどうやら全て咲良達が暮らす町の風景のように見受けた。
手持ち無沙汰の足軽は気になり、パソコンの画面を覗くと、いきなり大声を張り上げ、流石の海野もビクッと肩を震わした。
「こ、これは! 妖怪・千秋楽!!」
その大声に耳がビンビンとなった咲良らは、突然変異したかのような足軽を見上げた。
「うるっさいなぁもぅ! 何なのー!?」
「ビックリしました足軽先生!」
「鼓膜が破れたかと思いました!」
だがそんなことはお構い無しに妖怪・千秋楽についてベラベラと喋り倒す足軽なのであった。
(特性開眼だな……)
その風景を見ながら海野はそう心の中で呟くと、また作業に戻るのであった。
つづく
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