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串焼き屋の食べ比べの騒ぎに村の人達も集まってきた…


親父とおばさんは汗をかきながら渾身の串焼きを焼いている!


「ちょうどいい!お前達も味を判断してくれよ!その為なら今日はタダで肉を配ってやるぞ!」


親父が集まってきた人達に声をかけると


「ただ!よしもらおう!」


村の人達が親父の串焼きに殺到する!


「おお!美味いな!いつもは高くてあんまり食べられないがダダならもっと貰おう」


村の人達がもう一本と頼んでいると


「おいおい、あっちの串焼き食べる前に勝敗がついちまったか?」


親父がニヤニヤと笑うと


「こっちも焼けたよ!」


おばさんの串焼きのいい匂いがしてきた…


「あっちも美味そうな匂いだ…」


村の人達がフラフラと匂いに誘われておばさんの屋台へと向かう。


親父はそれを笑ってみている。


あそこのババアの串焼き肉も確かに美味いが俺は村長のツテでさらにいい肉を仕入れている!しかもあそこの味を真似てそれよりもいい素材を使っているんだ…負けるわけがない!


ふふふ…親父は心の中でほくそ笑む。


これであのガキが持っていた大金は俺の物だ!


ギラっとあのガキに目を向けていると…


「う、美味い!」


「なにこれ!」


村人達の驚く声が聞こえてきた…


「なんて柔らかくて美味しいの…何本でも食べれちゃう…」


「おばさん!もう一本!」


「私にも…一本じゃ足らない、あと五本ちょうだい!お金は?いくら?」


「狡いぞ!おれは十本だ!」


俺も私もとおばさんの屋台に人が殺到する…


「な、なんだと」


親父が唖然とすると…


「はいこれ、おばさんの串焼き」


声をかけられ見るとあのガキが串焼きを手に目の前に差し出していた…


「あんなババアの串焼きなんて…」


「でも食べなきゃ公平な判断できないでしょ?」


目の前でパクッと自分が焼いた肉を食べられる。


モグモグと口を動かしているとゴクッと飲み込み…


「うーん…何か足りないね」


眉を下げた…そしておばさんの串焼きを食べると美味しそうに頬を赤らめ口いっぱいに頬張っている。


その姿に親父も思わず唾を飲むと


「寄越せ!」


串焼きをひったくるとガブッと噛み付いた!


その瞬間ジュワッと肉汁が溢れ出す、噛めば噛むほど旨みが広がりいつまでも噛んでいたい…がすぐに無くなってしまった。


もう一本…食べたい…


ついそう思ってしまうと目の前であの子供がニコッと笑った…

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