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「落ち着け勇者よ…我らも最初はそのつもりだった…しかしお前達が旅立った後に魔方陣を動かして見たが…」


王が言葉を詰まらせる


「どうなった」


カズキが先を促すと


「結論から言うと勇者達…お前らを帰す事は出来ない…」


王は目を逸らした。


「なんだって…」


「うそ…」


カズキは唖然とすると横ではナナミが口を覆っていた…


「そこでだ我らは勇者をこの国に迎えたいと思っている…」


そう言うと王は側近に合図を出すと…側近が綺麗な女の子を連れてきた。


「誰だ…」


カズキがいきなり現れた女の子を見ると


「わしの娘のメアリーだ、勇者には娘と結婚してもらいこの国の住人となって頂きたい」


「はぁ?何言ってんだあんた…」


カズキは思わず素で喋る。


「君らは異国から来た者だ、だがメアリーと結婚すればこの国の者と認めよう。そうすればわしの息子としてこの城に住まわすことを許す」


「許す?」


あまりの言い分に呆れていると…ふとナナミの事を思う。


「俺はそうなったとして…ナナミはどうなるんだ?」


カズキが隣のナナミを見ると


「彼女にも結婚をしたいと言う貴族が何人か声をかけてきた…その中からランドール侯爵が是非と言ってきたので彼と結婚せよ」


「ランドール侯爵…」


ナナミが呟くと…


「あれだよ!旅立つ前に君の体をじろじろと見てたハゲ親父…」


フールがナナミとカズキにそっと呟く…


「あんな倍以上歳の離れたオヤジとナナミを!ふざけるな!」


カズキがダンッ!と足を踏みつけると地面に亀裂が走る…


「もういい…俺達は出ていく。お前らともう関わる事は無いだろう、ナナミ行こう」


カズキがナナミに手を差し出す…


「でも…カズキあなただけでもお姫様と結婚すればこの国で幸せになれるかも…」


ナナミがカズキの手を掴むことを怯んでいる。


「あんなはじめて見た女どうでもいいよ…俺は…ナナミが好きなんだ」


カズキがナナミを見ると…


「お!ようやく言ったな!」


ラルクがニヤニヤと笑う。


「カズキ…」


「元の世界に帰りたかったのも…そこで告白しようと決めてたからさ…でももう帰れないなら今言う!ナナミ!お前に会った時からずっと好きだった!」


差し出した手をそのままにカズキは頭を下げた…


すると小さな柔らかい手がカズキの手を掴む。


「私も…カズキが好き…ずっと好きだった…」


カズキはバッと顔を上げると、目の前には目をうるませて笑う美しいナナミの顔があった…


「やっとくっついたか…」


「見てるこっちが焦れったかったもんな」


フールとラルクの二人だけが想いが通じたカズキとナナミの事を喜んでいると…


「何を馬鹿な事を…そんな事をすればこの国には居られなくなるぞ」


王が冷たく勇者達を睨みつける。


「それがこの国を救った勇者に向ける顔ですか?」


「それはそれ、これはこれだ。どうするんだ選べ、今ならまだ許してやろう。メアリーを選ぶならずっとこのこの国の為に働くだけで許してやろう」


「俺はナナミを選ぶ」


「だよな」


「当たり前だ!姫を選んだとしたら俺がこいつを殴る」


フールとラルクが頷き合うとカズキに拳を向けた。


「わかった…どうやら魔王の討伐に向かった勇者達は魔王の力によって気を狂わされていたようだ…残念だが…これより勇者…いや反逆者を殺すんだ!」


王が命令を下すと部隊兵達が剣を構えた!


「フール、ラルクお前達は手を出すな!こいつらは関係ない!」


カズキがナナミを背に庇うとフール達に声をかける。


「はっ!何を今更…もう俺達だってこの国にはいれねぇよ!」


ラルクが剣を抜く。


「本当ですよ…どう責任取ってもらおうか、……」


フールが魔法の為に呪文を唱える。


「すまない、みんな…」


カズキがフール達に謝ると


「「気にすんな」」


二人は心底嬉しそうに笑って答えた。


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